右へ右へと動く元「市民派」管一派と、 国民目線の亀井・小沢派・・・ブログ「世に倦む日々」より

一年前ほど前、ブログ「世に倦む日日」の記事を初めて読んで以来
こんなに同感するものはなかった。


本当に、いま起こっていることはこのとおりのこと。
かつての革新派・市民派がおくめんもない右擦り寄り派に変貌し、
かえって昔の自民党ばりばりのこわもてのおじさんが、憲法九条や
二十五条を護ろうとする。


二十年ほど前、細川政権後のもめていたころ、元海軍中尉だった穏和
な方が「小沢しかいないなあ・・・。ちょっとコワイけど」と言われ
たことが耳に残っている。その頃、わたしは「え〜、オザワねぇ」と
心の中で思っていた。人相悪い、と、電車の吊り広告を見て思った。


だが、認識をあらためた。
それは、前原が投げ出した滅亡寸前の民主党の代表を、懇願されて
引き受け、地方の演説をしてまわっているというニュースがあった
ころのこと、一枚の写真を見て。田舎の、畑のなかに、蜜柑箱を
すえて、そのうえに乗っておじいさん、おばあさんたちに演説をして
いる。聞いている人の数は、ぱらぱら。

こういうことは、誰にでもできることではない。津々浦々廻るからこ
そ、過疎地のおじいさんおばあさんの顔を見るからこそ、いま日本が
どうなっているか、わかる。テレビに出て顔を知られて、わーっと
大衆に取り囲まれて、サインをもとめられていい気になっている政治
屋には、とうてい見えない部分が見えてくる。


亀井大臣は、はっきり言って女性にあんまり理解がない。しかし、
この人なら、困っているとき、きちんと説明すれば、耳を傾けて
くれるだろう、助けてくれるだろう、という、そういう信頼感を
もてる。人間の苦しみというものを知っていると感じられる。
それは、テレビではわからない。
無編集の三十分くらいの談話でも聞いて見てほしい。


自分自身思いがけないことだが、わたしは今や、小沢・亀井派
多く共感をもつ。彼らの意見が尊重されず、排除されていく時代
は、わたし自身がドブドロに突き落とされる時代だ。


それでも、生きていかなければならないのだが・・・・。


以下、ブログ「世に倦む日日」の記事を貼り付けます。
有料制で、一日後には記事は見えなくなる。全文貼り付けては
本来いけないので、適宜省略する。
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http://critic6.blog63.fc2.com/blog-entry-314.html


96年9月、菅直人は「排除の論理」の政変で、さきがけの老幹
部を新党から締め出す冷酷な仕打ちを断行する。
若い菅直人厚生大臣に抜擢した武村正義は、裏切られ、丸裸に
されて惨めに政界引退へと追い込まれた。
菅直人は、今度は小沢一郎を第二の武村正義にして、リンチを加
えて屠る気だ。
民主党が悲願の政権交代を果たした原動力は、4年前からの小沢
一郎の「国民の生活が第一」の政策転換と、小沢一郎が導入した
(支持団体整備とドブ板の)選挙戦略の奏功だったが、言わばそ
の大恩を忘れ、恩に仇で報いるのが政治の常道とでも言うかの如
く、小沢一郎から一切の権力を剥ぎ取って地に堕とそうとしてい
る。小沢一郎は9月の代表選で起死回生の勝利を目指し、3か月
の雌伏と養兵に入ろうとするが、菅直人はそれを許さず、小沢派
に対する追撃を仕掛け、徹底的な掃討戦で小沢派を壊滅に追い込
もうとするに違いない。
この政治は、5年前の小泉純一郎の「小泉劇場」の模倣と再現で
ある。あのときの「抵抗勢力」が小沢一郎であり、正義が悪を滅
ぼす勧善懲悪の政治ショーだ。早速、参院選の2人区の立候補者
の再調整が宣告された。小沢一郎が設計した選挙戦略は白紙化さ
れる。次に、菅直人は昨年の衆院選で当選した小沢ガールを含む
1年生議員に狙いを定めて切り崩しをかけ、小沢派から数を削ご
うとするだろう。参院選での彼らの応援投入計画を差配し、「ノ
ーサイド」とか「全員参加」を根拠に小沢一郎のコントロール
ら切り離し、執行部の私兵に変えて行くだろう。  


党への政党交付金を仕切っていた小沢派の金庫に査察を入れ、資
金を押さえ、小沢一郎の権力の源泉であるヒト・モノ・カネを干
上がらせ、軍団を無力化と武装解除に追い込むだろう。3か月あ
れば十分できる。今度の参院選は、菅新政権にとって自民党との
戦いではなく、小沢一郎との戦いであり、民主党から小沢一郎
影響力を消し、小沢派を解体して壊滅させるための選挙戦だ。敵
自民党ではなく小沢一郎である。それは、あの郵政選挙が、小
泉純一郎にとって民主党との戦いではなく、郵政民営化に反対す
る「抵抗勢力」との戦いであったのと同じ構図である。菅直人
菅政権の幹部たちは、マスコミと結託して小沢一郎への挑発を続
け、小沢派が執行部に反旗を翻すように仕向けて行く。意図的に
対立を煽って演出する。喧嘩を嗾ける。6/4の夜、小沢一郎は議
員会合の席で、9月の代表選には独自候補を擁立して雪辱を期す
ことを宣言したが、そうした宣言を発しないと、派閥の結束を維
持できない状態に追い込まれているのだ。9月勝利の目標を立て、
それまでは臥薪嘗胆だと言い含めないと、政治経験のない若い1
年生議員は動揺して浮き足立ってしまうのである。


(略)


この小沢叩きの手法が奏功して内閣支持率が高くハネ上がれば、
マスコミの風を武器に菅直人は衆参ダブル選挙に打って出るだろ
う。まさに、小泉純一郎の手法のコピーだが、それだけではなく、
もっと極端な小泉劇場の再現を国民は目にするのではないか。つ
まり、小沢派の議員の選挙区に刺客を送り込む図である。切り崩
しに応じて離反せず、最後まで抵抗を続ける小沢派の側近議員、
例えば松木謙公とか、山岡賢次とか、鈴木克昌などの選挙区には、
刺客を送り込んで駆逐するのだ。5年ぶりに再演される真夏の劇
場選挙にマスコミと国民は興奮して喝采を送る。マスコミに頭を
漬け込まれた国民は、5年前以上にB層的傾向を強くしていて、
この子供騙しの政治に涎を垂らして狂喜するだろう。衆参同日選
ということは、当然、昨年のマニフェストは破棄され、菅直人
よる新しい「改革」マニフェストが掲げられる。
目玉は消費税増税。従来の「国民の生活が第一」の政策を財政赤
字を招くバラマキだとして否定し、小泉純一郎的な「痛みを伴う
改革」の路線を定置する。そして新自由主義的な成長戦略、さら
には道州制、場合によっては憲法改正の明記もある。


(略)


菅直人の手口は、不要なロートルの強硬派に対しては刺客を送り
込んで消し、小沢ガールなどの若い1年生議員に対しては甘言で
釣って寝返りさせる戦法の二つの使い分けだ。小沢派は、組織を
防衛するためには、この小沢派潰しの政局で積極的に多数派との
対決姿勢を強調せざるを得ない。指導者である小沢一郎が、明確
なメッセージを派内に発信して、切り崩しに応じずに一致結束せ
よとフォーメーションを固める必要に迫られる。しかし、そうし
た組織防衛のための指令の一言一句は、マスコミに攻撃材料とし
て拾われ、執拗に叩かれ、菅執行部による小沢派殲滅作戦に逆利
用される。その繰り返しの中で、小沢派はますますハリネズミ
ように身を固めて異端化する方向に流される。菅直人とマスコミ
の術中に嵌る。


政治家には、左から右に寄って行く政治家と、右から左に寄って
行く政治家の二つがある。これまで私が見てきた政治家の殆どは、
前者の類型と範疇の政治家だった。その最も典型的な人物が菅直
人である。政治家だけでなく、評論家や政治学者も、悉く、見事
なまでの華麗さで左から右に転向を遂げた。羞恥という言葉を辞
書に持たない人間の生き方を見せつけてくれた。生きるというこ
とが、自らの思想信条を裏切って地位とカネを貪ることだという
真実を、彼らは私に教えてくれた。だから、今では、左から右に
流れ動く政治家や論者については、それは社会常態であり自然現
象であると映り、軽蔑して鼻先で笑う程度で、特に憤慨や憎悪の
感情を覚えるまでには至らない。「万物は流転す」と言ったのは
ギリシャの哲学者のヘラクレイトスだったが、日本の現代政治に
おいては「万物は左から右に流転す」である。万物は左から右へ
流転するので、すなわち自分も一生懸命に右へ右へ向かって走っ
ていないと、ボーッとしていると、すぐに世間で「左翼」の立場
になってしまう。トレーニングマシンのルームランナーのような
ものだ。日米安保に対する是非、自衛隊海外派兵に対する是非、
消費税に対する是非、日中友好への反応。これが常識的で中立的
な立場だろうと思い定め、世間から指を指されずに済む位置に違
いないと確信して安住していると、10年も経たない間に、異端
の「左翼」に決めつけられて不審視されてしまう。日本人は不断
に自らの立ち位置を右にずらす努力をしないと、周囲と歩調を合
わせて右に寄らないと、自己の政治的中立の表象を獲得、確信、
安心できない。



そうした中で、きわめて例外的に、右から左へ動いていると判別
される政治家像が二つある。亀井静香小沢一郎だ。
亀井静香がテレビ番組でゲバラを絶賛するのを聞いたときは驚い
たが、20年前の亀井静香は清和会四天王(森喜朗三塚博・加
藤六月・亀井靜香)の一人の武闘派で、典型的に右の世界の政治
家だった。
郵政民営化に反対して小泉純一郎に斬られた5年前も、派閥は志
帥会で、平沼赳夫中川昭一が所属するグループのボスだった男
である。警察官僚出身という不気味な経歴が、いかにもその思想
的立場をよく説明していた。
通常、9条系の政策軸(安全保障・歴史認識・教育)で右側に立
つ者は、25条系の政策軸(社会保障・労働法制・資本法制)で
も右側、すなわち新自由主義の陣営に立つ。例外はない。
ところが、亀井静香の現在の政策は、25条系の軸線のセグメン
テーションでは明らかに左側に立っている。
小沢一郎についても同様な指摘ができる。
小沢一郎の9条系の政策軸について言うと、従来より「普通の国
改憲論者で、特に集団的自衛権については、それを明文改憲ある
いは解釈改憲と立場を変えつつ、この20年間、集団的自衛権
合憲化する策動の先頭に立ってきた。
だが、25条系の軸線については、4年前に民主党の代表に就き、
そこで小泉・竹中の構造改革路線を否定する立場に立ち、亀井静
香と同じような左側の表象属性を際立たせるに至っている。
否、9条系においても、例えば「第七艦隊以外は不要」の発言や、
日中関係へのコミットメント、さらに普天間問題についての姿勢
など、党内で相対的に左の印象を浮かび上がらせる政策スタンス
が注意を惹く。


無論、これには背景があり、小沢一郎が選挙の集票基盤として組
合(連合)と結びついている事情がある。が、いずれにしても、
政治の全体が新自由主義の方向へ靡く中で、地方経済や中小企業
に目配りし、官僚やマスコミの妨害を阻止して弱者への再分配に
動く小沢一郎亀井静香の政策姿勢は、積極的な評価が与えられ
てよい。


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