さらに消費税増税について一、二
時間の余裕がなく、じゅうぶんにこの話題について、まとめができて
いません。
今日も、断片的な話題になりますが、一、二のブログより貼り付けて
おきます。
一つは、経済学者植草一秀氏のブログから。
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http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-3fab.html
主要国税税目の推移を改めて提示する。
(ここ、グラフあり。リンク先で見てください。)
グラフに示されるように、消費税は1990年度の4.6兆円が
2009年度には9.4兆円に倍増した。
法人税は1990年度の18.4兆円から2009年度の5.2兆円
に激減した。4分の1に激減したのだ。
このなかで、菅政権は法人税減税と消費税大増税を提案しているのだ。
政府税制調査会が2007年11月に発表した「抜本的税制改革に向
けた基本的考え方」の17−18ページに以下の記述がある。
「法人実効税率とは、国・地方合わせた法人課税の表面税率のことで
ある。我が国の法人実効税率は、国際的に見て高い水準にあり、引き
下げるべきという議論がある。この問題を検討するに当たり、当調査
会は、平成19 年度の税制改正に関する答申を踏まえ、課税ベースも合
わせた実質的な企業の税負担、さらに社会保険料を含む企業の負担の
国際比較を行った。また、企業減税による企業部門の活性化が雇用や
個人の所得環境に及ぼす影響等についての調査・分析を行った。課税
ベースや社会保険料負担も考慮した企業負担については、モデル企業
をベースとした試算において、我が国の企業負担は現状では国際的に
見て必ずしも高い水準にはないという結果も得た。」
つまり、日本の法人税率は国際比較上、高い水準にはないとの結論を
日本政府の見解として示しているのだ。
にもかかわらず、菅政権は消費税大増税・法人税減税の方針を示している。
政権交代の最大の目的は、米・官・業による日本政治支配の基本構造を
打破し、主権者国民による政治支配の構造を構築することにある。
この目的を達成する試金石になるのが、?普天間基地の海外移設、?官
僚天下りの根絶、?企業団体献金の全面禁止、である。
ところが、菅政権は米官業による日本政治支配構造に逆戻りさせる政策
方針を相次いで示し始めているのだ。
税制改革については、党内の民主的な意思決定手続きも経ずに、独裁的
に消費税大増税=法人税減税の方針を明示してしまった。法人税減税は
大資本を消費税大増税賛成に引き込むための施策であると考えられ、
菅政権が主権者国民から大資本に基軸を移したことを意味すると受け取れる。
政府支出の無駄排除を優先しない消費税大増税、20年間に4分の1に
激減した法人税をさらに減税する大資本優遇の法人税減税方針に賛成す
ることはできない。
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驚くじゃあありませんか。この二十年間に消費税歳入は二倍弱に、法人
税は四分の一に激減しているとは! しかも、国際的に見ても法人税は
高くないという。
国民奴隷化を考えているとしか、思えません。
つぎに、植草氏関係で、こんな記事も。山崎行太郎氏のブログから。
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http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/
昨日は、豊島公会堂横の某所で行われた「月刊日本」主催の「植草
一秀講演会」に行って来たが、狭い会場だったとはいえ、椅子が足りな
いほどの盛況であったが、半数は申し込みの段階で、満員ということで
お断りしたらしいから、植草先生の個人的な人気というのはもちろんあ
るだろうが、それだけではなく、もっと根深い社会的な流動化の「うね
り」のようなものを強く感じた。
植草先生は、「米・官・業・政・マスコミ」の、いわゆる「悪徳ペンタ
ゴン」による国家支配の実態を経済の観点から暴露していったわけだが、
とりわけ菅直人に関して、これまでの個人的交流等を踏まえて、あまり
にも急激な言動や思想の変化、つまり「菅直人の変身」の有様を語った
のが印象的だった。
菅直人も、結局、「米・官・業・マスコミ・・・」の支配権力に屈服し
たのであり、屈服することによって「小沢一郎排除」「官僚・マスコミ
迎合」「日米合意の尊重」等を交換条件に総理総裁の椅子を手に入れた
ということになる。
植草先生の話を聞きながら、「左翼」「市民派」の出身とは言いながら、
地位や権力のために「魂を売った」菅直人内閣は、おそらく自民党政権
よりも自民党的になっていき、日本国民にとっては不幸なことだが、権
力維持と政権維持のためには何でもやる…警察も闇の力も行使する…と
いう「小泉政権の再来」ということになっていくのだろうと思った。
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菅首相と個人的交流のあった植草氏も、あまりの急激な思想や言動の変化
に驚いているという。
つぎに、「嘘ばかり言う管直人」という記事を、ブログ「世に倦む日日」氏
から。
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http://critic6.blog63.fc2.com/blog-entry-326.html#cm
(略)
今回、菅直人が代表になった民主党は、安保系の政策でも右傾化が顕著で、
小沢一郎が代表時に廃止していた憲法調査会を復活させている。
消費税大連立の後は、改憲大連立の展望が見えている。マスコミはそれを嗾
けるだろう。
?消費税、?道州制、?外国人移民、?憲法改正。この四つを一挙に問う
解散総選挙が発動されるかもしれない。
無論、民主党と自民党の政策大連立の体制下で。そして、そのときは、衆院
の比例定数を80議席削減した上で。今度の参院選は、二大政党制を政策大
連立に収斂させ、一党独裁制に移行させる契機となり得る。実際のところ、
官僚もマスコミも二勢力に分かれていない。「重要な問題は与野党を超えて」
と言えば、誰も異論を唱えず、この国では一瞬で正当化される。
昨日(6/22)の討論会でも、菅直人は、「所得の低い方に大きな負担はかか
らないで済むような軽減税率とか、消費税負担分をお返しする還付制度も合
わせてきちんと考えをまとめていきたい」と言っている。
しかし、言葉を見ればわかるように、軽減税率と還付を制度導入すると言っ
ているのではなく、「考える」と言っているだけだ。「検討」が始まれば、
すぐに雲散霧消にされるだろう。何度も同じことを言うが、軽減税率を制度
設計するためには行政の準備時間がかかる。財務省は「数年かかる」と言い、
要するにこの制度を作業する意思がないのである。
(略)
6月は来年度予算の重要な指針が決まる時期で、この「公務員基本方針」も
そうだが、6/18に閣議決定された「新成長戦略」と「法人税減税方針」もそ
うである。閣議では、法人税率引き下げ(40%→25%)の時期は明示さ
れていない。
時期を明示しなかったのは、この法人税減税が消費税増税とセットになって
いるからで、参院選で消費税10%増税が国民の信認を受ければ、直ちに
国会(自民党)と税調で取り纏め、来年4月から同時にスタートさせる気だ。
官僚には官僚の国家事業計画があり、それは経団連と米国に冨を分配して奉仕
し、さらに自分(官僚貴族)が冨を貪るためのもので、国会や政党や選挙は
そのための単なる形式的な手続きに過ぎないのである。
官僚が作成し実行する国家事業計画には、下賤の国民の意思は介入させない。
この法人税率引き下げと消費税率引き上げのセットの問題については、共産党
だけが指摘していて、マスコミは当然のこと、他野党も口を噤んで何も言おう
としない。
(略)
菅直人が政変で首相になって3週間、雌伏していた新自由主義者が奪権して、
凄まじい勢いで「構造改革」路線を復古させている。
例の、「消費税を上げる前には衆院を解散して国民に信を問う」という話も、
おそらく嘘だろうし、参院選の開票後はきれいに忘れているだろうが、気に
なるのは、参院選後の消費税の政策大連立を契機に、そのまま2党の政権大
連立に直進した場合で、その場合、衆院の300小選挙区は、候補者擁立の
段階で2党間で調整がされ、殆どの候補が無風で当選する事態となる。
中国や北朝鮮の「民主主義選挙」と同じ。
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政治家が公約を護らないのは、よ〜〜〜く知っています。
それでもほだされる気弱な善良なわたしたち。
いったん消費税をとりあげて還付なんて、そんな手間のかかることはしてもらい
たくない。その手間だけでも莫大な税金がかかるでしょうに。
「世に倦む日日」氏も、山崎行太郎氏とともに、新自由主義への傾斜と、それば
かりでなく、政界再編ならまだしも大政翼賛的連立政権の出現を憂えています。
アメリカでは、刑務所までも民営化する新自由主義と、戦前の治安維持法に似た
愛国者法によって、聞くだにおそろしい事態になっているようです。
「阿木津英の本屋さん」で紹介している、堤未果さんの『アメリカから〈自由〉
が消える』それから、『貧困大国アメリカ」二冊を、ぜひ読んでみてください。