メディアの煽る民主党代表選挙

「@masason 国のリーダーを決めるのに国民が直接参加出来ない事を皆さんどう
思いますか。」


masason さんは、ソフトバンク社長の孫さん。今日はこんなツィートが流れ
てきました。
これは、昨日、元日本経済新聞経済部部長・テレビ朝日副社長という肩書を
もつ池内正人氏の発言と響き合います。
もう一度その部分を引用しておきましょう。


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○議会制民主主義の盲点

 国民は民主党の規約に口出しはできない。その間隙を縫って、一国の最高

首脳が国民の手が届かないところで誕生する形になる。これは議会制民主主

義の盲点かもしれない。
菅氏についても似たようなことが言える。国民の審判なしに、2度も総理

の座に就くことになるからだ。ただ菅氏の場合は、急に引退した鳩山氏のあ

とを継ぐ形で副総理から昇格したという事情はある。

 本来からすれば、ある政党の代表が国民の審判を経ずに総理になる制度は

改めるべきである。新聞はこの問題をもっと追及しておくべきだった。だが

今回は残念ながら間に合わない。

(中略)

○外部からの影響力

 だが国民の側からみての“対抗手段”は他にもありそうだ。大新聞が得意

世論調査をやればいい。その結果が「是認する」なら、それはそれでいい。

しかし「認められない」の世論が強ければ、民主党も考えざるをえないだろう。

(中略)

 国民は民主党の規約に文句は言えない。それならば新聞が世論調査で、

外部からの影響力を行使する。これが民主主義における力のバランスとい

うものではないのか。
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上記の文章と、以下の田中良紹氏の文章と比べてみてください。
マスメディアが何を考えているか、わかるでしょう。
悪い文章ばかり見ていると、その悪さ、いかがわしさに気がつかない。
田中氏のような文章こそ、理性の風の通っているもの。

こういう優れた解説こそ、何百万部という発行部数の新聞コラムに
現れるべきなのに。


以下、省略しつつ。全文はリンク先で。
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2010/08/post_230.html
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民主党代表選挙とは何か



 英国のように政権交代を繰り返している国の政党は、国政選挙に勝利
した党首を党首選挙で交代させる事はしないし、その逆に国政選挙で負
けた党首をそのまま続投させる事もしない。政党は国民の投票の結果を
受け止め、それによって党首選挙をやったりやらなかったりする。

(略)

 ところが「民主主義もどき」のこの国ではそう考えない。国政選挙と
関係なく党則で決めた任期に従って党首選挙が行われる。中選挙区時代
自民党には5つの派閥があり、その領袖を次々総理に就かせる必要が
あったから2年ごとに総裁選挙をやった。「歌手1年、総理2年の使い捨
て」と自嘲しながら、しかし自民党単独政権時代にはそれが総理を決め
る唯一の選挙であった。



 今も自民党は3年、民主党は2年ごとに党首選挙をやる決まりになって
いる。そして困った事に小泉総理を誕生させた2001年の自民党総裁選に
国民が熱狂した。国民が参加しない、つまり国民主権と関係のない選挙
に国民は熱狂したのである。それに味を占めた自民党自民党総裁選挙
をPRの道具と考えるようになった。


 ここ数年、自民党総裁選挙には総理になるだけの経験を積んだとは思
えない候補者がぞろぞろと出てきて、「口先三寸」の演説を新聞とテレ
ビに連日報道させる茶番が繰り返されてきた。すると民主党にもそれを
真似る議員達が出てくる。その連中は「国民に開かれた選挙」と言って、
民主主義と関係のない選挙を民主主義であるかのように吹聴する。
昔は自
嘲気味に語られた「総理と流行歌手」が最近では本当に同レベルになった。


参議院選挙に敗北した民主党が代表選挙を行うのは当然である。国政選挙
に敗北した党首がそのまま続投する事は民主主義の考えに反する。
辞任をするか、辞任をせずに続投するならまず党内で信を問うべきである。
それもやらずに続投させるのは民主党が国政選挙の結果を無視する政党だ
という話になる。


 ところが代表選挙をやると党が分裂すると言う反対論がある。これは
「私」の論理である。国民には関係のない話だ。第一、党首選挙をやると
分裂するという政党は同じ政党である事の方がおかしい。党首選挙は次の
国政選挙に勝つために党首を選び直す選挙である。その度に分裂するとい
うならさっさと分裂してくれた方が国民のためになる。



しかも今回の民主党代表選挙は対立軸がはっきりしている。昨年の衆議院
選挙で民主党が掲げたマニフェストを続けるか、やめるかという対立である。



(略)


従って民主党代表選挙はこの10年ほど日本が模索してきた路線対立の決着点
になる。同時に政界再編の対立軸を作る選挙にもなりうる。小泉構造改革を支
持する政治家は菅民主党と、小泉構造改革に反対する政治家は小沢民主党と手
を握る事が出来る。実に意味のある選挙なのである。



 それを「選挙で政治空白を作ってはならない」などというバカがいる。
そんなことを言えばアメリカ大統領選挙は1年がかりで行われるが、誰一人
「政治空白」を問題にする国民はいない。むしろそれだけ時間をかけてくれ
るから国民も国家の現状や進路に関心を抱くことが出来る。この選挙は国民
が参加する選挙ではないが、この国の「分かれ道」を考える貴重な時間を国
民にも与えてくれる筈である。


 ところが昨夜鳩山前総理が菅総理と会談して「トロイカ」体制の確認を
行ったことから、メディアは一斉に代表選挙回避と報道し始めた。しかし
トロイカ」体制を確認したからこそ代表選挙は行われると私は思う。党が
分裂することなく代表選挙を戦うための「トロイカ」体制ではないか。
選挙を回避したら政治が分かりにくくなるだけの話だ。


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あー、ほんとに胸がすっきりする。どうしてこんな良い解説者が、メジャーな
メディアで発言の場をもてないのか。