東京新聞こちら特報部「米が望んだ菅首相?」・・・そしてウィキリークスの読み方

先に書きました東京新聞の記事の要約が阿修羅にあがっています。
ここにも紹介しておきます。
リンク先に行きますと、写真もついています。
活字の大きさや見だしが確認できます。


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http://www.asyura2.com/11/senkyo105/msg/168.html
東京新聞 2011年1月20日朝刊 
こちら特報部「米が望んだ菅首相?」「鳩山-小沢に不信感」の要約と感想


東京新聞 2011年1月20日朝刊・こちら特報部「米が望んだ菅首相?」「鳩山-小沢に不信感」
(以下、抜粋・要約)


「米が望んだ菅首相?」


 「戦後最も親米的」とさえいわれる菅政権は、どのように誕生したのか。
 経緯は、昨年末に内部告発ウェブサイト「ウィキリークス」が公開した
米外交公文書に垣間見ることができる。


 昨年二月三日、ソウルでキャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は

韓国青瓦台(大統領府)の金星煥(キム・ソンファン)外交安保首席秘書官
(現外交通商相)と面会した。


 その会談内容について要約し、在韓米大使館から本国へ送られた公電に、こんな記載がある。

「両者(キャンベル、金)は、民主党自民党は『全く異なる』という認識で一致。
北朝鮮との交渉で民主党が米韓と強調する重要性も確認した。
また、金氏が北朝鮮が『複数のチャンネル』で民主党接触していることは明らかと説明。

キャンベル氏は、岡田克也外相と菅直人財務相と直接、話し合うことの重要性を指摘した」


 この公電の意味を読み解くポイントは、米国は交渉相手として当時の鳩山首相ではなく、岡田・菅両氏を名指ししたことにある。
 鳩山氏は09年の総選挙前に普天間飛行場を「最低でも県外」と主張、政権交代後の交渉で米政府が猛反発、鳩山政権は迷走を始める。
公電が打たれたのはそんな時期と重なる。
 沖縄では「県外移転」への期待は高まるばかり、一方で米側の鳩山氏への不信感は深まっていった。


 ソウルでの会談から二ヵ月後には、米紙ワシントン・ポストのコラムで鳩山氏が「ルーピー(現実離れした人)」と呼ばれ、
笑いものにされる。 同じ頃、民主党渡部恒三氏は、
普天間問題を解決できずに鳩山君が責任を取ったら、おそらく菅直人君が首相になるでしょう」と発言した。


 その言葉通り、鳩山氏は急転直下、移転を断念し、六月に首相を辞任。
 後継首相になった菅氏は、
普天間飛行場を名護市辺野古沖に移転する」
という日米共同声明を尊重する意向を示した。


 その後もロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問や、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件が発生すると、
「日米関係の冷却が周辺事情に影響した」という脅威論が幅をきかせるようになり、
結果として、鳩山氏が打ち出した「東アジア共同体構想」は忘れ去られた。これは偶然の結末か?




○「鳩山-小沢に不信感」


 元外務省国際情報局長で元防衛大学校教授の孫崎享さんは、
ウィキリークス公電が意味するのは、米国が鳩山首相(当時)と距離を置き、岡田、菅両氏を対話すべき相手と判断したこととする。

「米国が同意したその後の、鳩山降ろし、菅首相誕生のシナリオにつながった」とみる。


 キャンベル氏は、金氏との会談前日、小沢一郎民主党幹事長(当時)と日本で会談した。
「キャンベル氏は、小沢-鳩山ラインは米国の防衛戦略に乗ってこないと判断した。
一つは在日米軍基地について米国の意向に合わない考え方をしていること、
もう一つは対中政策について、融和外交を進めようとしていたことだった」
と指摘する。


 代わった菅政権。孫崎さんは、「米国にすべて丸投げしている」と批判。
普天間飛行場辺野古移転方針、日米共同統合演習の実施、在日米軍駐留経費(思いやり予算)の維持など、
米国側の意向通りの施策を進めている」



だが、こうした米国追従は必ずしも安全保障につながらないというのが孫崎さんの意見だ。
「中国の軍事力は増大しており、もはや軍事力に軍事力に対抗しようとしても効果はない。
中国とは激しく対立するのではなく融和する道を模索するのが現実的だ」


東京財団上席研究員の渡部恒雄私注・反小沢で知られ、「小沢君、さよ〜なら」とテレビ生番組でほざいた肛門様こと渡辺恒三の息子】さんは、「鳩山氏の方針がぶれたことが米国の不信を招いた」とみる。
(鳩山氏ははっきりしなかったため、米国は疑心暗鬼になったのではないか)。


岡田氏への米国の信頼は厚い。
「岡田さんは米国に言いたいことはいうが、日米同盟を損なうようなことは言わない。
米は現実的な話ができる相手だと思っている」
菅首相の周辺には米との関係で現実主義を取るスタッフが多い」
「今後とも日米関係を重視していくほかない」


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この投稿者によると、この記事のあと、「渡部恒雄氏による、日米関係重視を正当化するための米国礼賛と、TPP参加は米国主導ではない、というろくでもない説教が続く」そうで、東京新聞が必ずしもジャーナリズム精神を発揮しているという
わけでもなさそうです。

あるいは、良心的な記者がこれを書くにもこんな身のヤツシが必要だったのか?

小沢とキャンベル会談は記憶に残っていますが、あのとき、小沢は主張すべきは
主張したのでしょうね。小沢は、オバマ大統領との会談を要請したと言っていましたが、キャンベルは、そのオバマ大統領と蔭にひなたに敵対しているヒラリー・クリントンが直属の上司なんだそうです。


ところで、上記を書いた直後、以下のようなツィートが。
ウィキリークスを読み解くのは、なかなか難しいようです。
筆者は、アルルの男ヒロシ氏こと学問道場の中田安彦氏。
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http://www.twitlonger.com/show/89jmcg
アルルの男・ヒロシ

On Friday 21st January 2011, @bilderberg54 said:
http://bit.ly/igmV2k


日刊ゲンダイにも掲載されたリークスの原文はガーディアンに転載されている。
北朝鮮問題をめぐる金星煥(キム・ソンファン)大統領外交安保首席秘書官とキャンベルのやりとりを駐韓大使のキャス・スチーブンス女史が報告している内容である。

このケーブルは断片を切り取ったものだ。
関係者が情報を共有するために書かれたものだから、前後の関係の説明が書かれていない。いろいろな解釈がありうる。


だから、これだけでは厳密に疑いの余地なく米国が反鳩山・小沢にかじを切ったと証拠付けるのは弱い。
状況証拠にはなりうる。重要なのはキャンベルとキムが意見を同じくしたとするところで、directlyに岡田と菅に接触という言葉が使われている点か。


「directly」という風にわざわざ表現する場合、二種類の考え方がある。


(1)下級オフィシャルではなく上級オフィシャルに接触するという考え方。この場合外務省や財務省の官僚ではなくトップに直接という意味。北関連では外務省と経済制裁という点で財務省も絡む。


(2)もうひとつは孫崎氏の指摘する意味(=「総理である鳩山や実力者である小沢を無視して岡田外相や次期首相である菅直人財務大臣に直接アプローチ」)だ。


孫崎氏はツイートで、「キャンベル氏は金氏と会う前日小沢幹事長と会談している。」と指摘している。このケーブルが論じているのは2月3日のキャンベルとキムとの会合。キャンベルと小沢はたしかにこの数日前国会内で会談はしている。
日刊ゲンダイの記事でキャンベル・ルースが一面に出た、あの時だ。


こうみるとたしかにアメリカが二番目の意味でdirectlyを使っているようにも読めなくもない。しかし、このケーブルだけを証拠に何かを断言することは、前後の文脈が見えないので難しい。


もちろん、私は状況証拠からアメリカ(の極東専門家たち)が小沢潰しに加担したことは事実だとは思うが・・・。


このようにウィキリークスは言葉の一つ一つの文脈を理解していかないと解読するのは難しい。


それに日本関係のケーブルがほかにどのくらいすでに掲載されているかどうやって検索すればいいんでしょうかねえ。

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リーク内容の翻訳がありました。

(引用開始)

日米関係

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6. (C)金氏は、民主党自民党と「全くちがう」というキャンベル氏の評価に同意し、また、民主党[訳注:DPJをDJPと誤記?]は北朝鮮に予備交渉をする際にはソウルとワシントンと調整することが重要だ、という点にも合意した。金氏いわく、北朝鮮は明らかに「民主党のドアをノックする」ためにいろいろなルートを使っている。岡田外相や菅財務相のような、民主党の重要人物に直接接触することが大事である、ということを金氏は認めた。

http://tassaleaks.blogspot.com/2010/12/10seoul290-cablegate.html
(引用終わり)
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民主党自民党が「全くちがう」からこそ、わたしたち国民は政権交替を望んだ
わけであって、「全くちがう」政治を願ったのです。


でも、キャンベル氏と金氏は、それは嫌だったわけですね。
同じであることが望ましかった。彼らは、岡田氏や菅氏とdirectlyに接触して
みごとに同じにすることに成功した・・・・というわけか。