世界のメディアとの福島原発事故報道格差・日本の情報統制


いま、『図書新聞』七月九日号をひらいたら、この書評が目に飛込んできました。
仙台に住むジャーナリスト大沼安史氏が、パソコンで収拾した英語・ドイツ語・フランス語におよぶ海外メディアの、福島原発事故報道。


書評は、図書新聞編集の米田綱路氏。


こんなことが書いてあるそうです。
箇条書きにしてみよう。


●日本メディア
放射性瓦礫の撤去報道のみ。
●海外メディア
NT4月8日 米国原発関係企業の上級役員
2号機の外で燃料棒の破片が見つかって、ブルドーザーで土をかぶせているところだ」「そうしないと、そばを通る人間、料理(cook)されちゃうからね」「日本政府のSPEEDIの解析結果を聞いている」
(2号機は建屋がくずれてなかったので、この燃料棒は1号機か3号機のもの?
燃料棒が飛び出ているとすれば、格納器が爆発したということだよね。やっぱり三月二十一日の3号機格納器爆発はほんとうみたいだ)



●日本メディア
政府の復旧対策計画。(いつ発表されたんだっけ?)
●海外メディア
NT4月19日フランス原子力企業アレヴァのCEOアンヌ・ロベルジョン記者会見がフクシマの復旧対策発表。「事故処理と廃炉対策は米国主導で行ない、フランスは補佐体制に当る」(三月末サルコジ大統領来日、四月十七日クリントン国務長官来日)
クリントン来日以後、日本政府・東電の事故対応を批判しつづけて来た米国メディアはトーン・ダウン。
サルコジクリントンは、国家的巨大ビジネス契約のセールス&調整に来たというわけだった)



著者は、いう。


下請け・孫請け会社の労働者たちが被曝にさらされつづけている復旧対策を、なぜ日本政府でも東電でもないフランス企業が記者会見して発表するのか。


事故対策費用や廃炉対策費用は、日本国民が電気料金や税金(消費税10%計画までされて)として吸いあげられることになるが、それをなぜ米国企業やフランス企業が請け負うのか。




●日本メディア
報道なし。
●海外メディア
英・ガーディアン4月12日、クリントン政権原子力政策に携わった米国専門家「現場作業員が被曝で「ボディ・バンキング」させられているのではないか」



ボディ・バンキングとは、放射性物質を身体の中と外で貯め込む「銀行」と化する危険性をいうのだそうだ。




生命を危険にさらしつづけている現場の作業員、血税を絞りあげられる日本国民。
それを生贄として、唯々諾々と米国とフランスに差し出す日本政府。
それを国民に伝えるどころか、目くらましをかける日本メディア。


売国奴」という言葉があるが、「売国民奴」であることは間違いないね。