市民活動家田中優の静かな怒り

田中優」という名前は、3.11以後あちこちで見た。
なんだか、どういうわけか、アクセスしようという気がおきなかったが、
今日、たまたまそのメルマガを読みました。


みなさんはすでに、講演ユーチューブなどごらんになっているのでしょうか。


「持続する志」と題するメルマガ、文章が丁寧で読ませます。
福島第一原発が水素爆発した直後、3.15のメルマガ、とても冷静で、何をしたら
いいか、どういう心構えをしたらいいか、今から読んでも役に立ちます。
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http://archive.mag2.com/0000251633/20110315112351000.html
「2011年3月15日、今日から空気は危険になる?」


■東京に来るかもしれない放射能


 いよいよこの日が来てしまったと思う。原発に反対して23年、
いつかはこうなると思っていた事態に直面する。でもまだこれが
最悪ではない。もし核爆発を起こせばもっと悪い事態になる。
(略)


■いつまで気にしなければならない?

(略)

 しかし核爆発が起きたら、しかも風向きがこちらに向くなら、
たくさんの長寿命の放射性物質に囲まれることになってしまう。
今回排出されたひとつは放射性セシウムだった。これは半減期
30年を超える。子宮や筋肉に集まる。放射性ストロンチウムでは
骨に集まる。そこでガンなどを引き起こすのだ。しかし千分の一
以下に減るには300年以上かかってしまうのだ。
半減期は厄介な
問題だ。福島第一発電所の三号機のプルサーマル燃料として使わ
れているプルトニウムでは、半減期が2万4千年もある。だから
放射能と生命は共存できないと主張してきたのだ。


 今朝のニュースの第一、二号炉の爆発はまだ核爆発ではない。
これまで破られていなかった格納容器内での爆発だから、放射能
を多く含んだ煙を排出しているものの、それは核爆発ではない。
「絶対安全」と言い切ってきた推進派、電力会社に責任を取って
もらおう。



■みんなで被害も分かち合う


 「だから東北産の食品は食べない」というのは正しくない。降
り注いだだけなら水で洗い流すことができるからだ。しかし約一
カ月経つと食品の中に栄養素として入り込み始める。だから当面
は変わりなく洗って食べていればいい。その後は濃縮される率が
問題になる。植物は濃縮度が低く、食物連鎖の上位(例えば肉や
卵)にいけばいくほど高くなりやすい。

 しかしそれ以前に、東北の人たちにだけこの被害を押しつける
のはおかしくないか。(略)



■生きなおすために


 原発内部の燃料が冷えるには約三カ月かかると言われている。
そうならあと三ヶ月間は心配しなければならない。それまでは爆
発やメルトダウンの危険性があるのだから。そして空に飛散した
放射性物質は、雨とともに降り注ぐ。だから風向きと雨次第で放
射能が土地に濃く残ったり、ほとんど残らなかったりする。しか
しその被害を受けているのは私たちだけではない。ボスニア、イ
ラクアフガニスタンに、たくさんの放射性物質劣化ウラン弾
を浴びせてきた。原子力の開発のために放射能汚染された大地は、
世界中に数え切れないほどだ。私たちはこれほど地球を生きられ
ない場所に変えてきたのだ。

(略)

もし風で届くなら、昨日までとは違う世界に生きなければならな
いのだ。

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三ヶ月はとっくに経ちました。
原発内部の燃料冷却はいっこうに達成できず、まだ放射性物質がもくもくと
出続けています。メルトダウンはとっくになってて、メルトスルーとか
メルトアウトとかチャイナシンドロームとかいう状態だと言われている。
風にのって関東全域は、ところによっては高濃度に汚染されています。


つまり、「昨日までとは違う世界」に生きている。わたしたちは。
それがなかなか納得できないけれど、肌では誰もが感じていると思う。






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http://archive.mag2.com/0000251633/20110516185703000.html
お蔵入り寸前、幻の『地宝論』、ついに発売へ


■検閲の兆候

 この本はぼくにとって因縁の本だ。N新聞社から執筆の依頼を受
け、完成に至った時点でクレームが入った。その新聞社の上層部か
ら「再処理工場と佐賀県玄海原発についての記述を含め、この計
4ページを『著者に相談して、なんとかしてもらえないだろうか』
と伝えてきたのだ。そのことを伝えるための講演会をし、それを原
稿起こしして作った本だったからだ。しかし出なければ原稿がムダ
になる。別な本で書けばいいと考えて受け容れた。続いて今度は
『貯金が日本の戦争の資金になった』と書いた部分についても、指
摘を受けた。表現を柔らかくしろと。それも受け容れた。

 しかしさらにクレームは続いた。(以下略)

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これは、メディアの体質というものをよく教えてくれる事例です。
結末まで、リンク先でお読みください。


どこに書いてあったか、ちょっと見つけだせなくなってしまったのですが、
「足元から活動を」という数行の記事もありました。わたしたちは有名になりた
いわけでもなんでもないのだから、遠くの被災地に出かけるより、自分の足元からできることを、という意味のことが書いてあった。
同感しました。こういう地道な発想でこそ、活動は長続きします。


そして、「田中優」に出合うきっかけとなった以下の記事。
全文掲載させていただきます。




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http://archive.mag2.com/0000251633/20110701174402000.html
シュールリアリズム



 友人の住んでいる町で、静かに東日本大震災の被災者受入れを行
っていた。その被災者の中に、さらにひっそりと福島原発震災被災
者が暮らしている。何ひとつ悪いことをしていないのに、突然自分
の町に住めなくなった。これまで長年手入れしてきた農地は汚染さ
れ、二度と耕すこともない。懐かしい風景は無理やり思い出にされ
てしまった。親しい友人・知人たちとも離れ離れになり、気心の知
れた仲間と話すこともない。
 

 知らない土地に来て収入もなく、自動車も処分しなければならな
かった。梅雨の合間の暑さに耐えかねて、歩いて市役所に行った。
扇風機が欲しかったからだ。しかし市役所の用意した支援メニュー
の中に扇風機はなかった。だから再び長い距離を何も得られずに歩
いて帰るしかなかった。子どもと向き合うだけの毎日はつらい。誰
か大人と話したい。彼女は何ひとつ悪いことをしたわけではないの
にそんな暮らしを強いられている。


 一方、加害者である東京電力の清水社長は指揮能力すらないまま
退職する。推定5億円の退職金を得る。退職金や企業年金の減額の
可能性も、「老後の生活に直結する」からと否定した。枝野官房長
官は「東電の置かれている社会的状況をあまり理解されていないと
改めて感じた」そうだ。


 電力会社の適正報酬の仕組みでは、この退職金もまた人件費の一
部として、3%上乗せされて人々の電気料金から徴収される。清水
社長は経済産業相に窮状を訴える要望書を提出することだけは忘れ
なかった。コスト上昇約7千億円、値上げ率は16%、さらに賠償
額の一部負担でさらに4%の値上げする。電気事業法の規定に基づ
くと、「適正なコスト」と認めざるを得ないそうだ。私たち家庭の
電気料金は20%も値上げされる予定だ。


 扇風機ひとつ手に入れられない被害者と、5億円を老後の生活に
蓄える加害者。加害企業の職員にはボーナスが出るのに、被害者は
ろくに賠償すら得られない。しかも被曝の不安に怯えながら。これ
が2011年6月の現実だ。

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