わたしは読売新聞の読者ではないので、知りませんでしたが、
九月七日付の社説で以下のように述べてあったそうです。


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http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20110908/222523/?P=2
私も原子力について本当の事を言うぞ
小田嶋 隆  【プロフィール】 バックナンバー2011年9月9日(金)


(略)


最近見た記事の中では、9月7日付の読売新聞の社説が突出していた。
 社説は、《エネルギー政策 展望なき「脱原発」と決別を》と題して、真正面から「脱原発」の世論に反対の意を表明している。


 このこと(読売新聞が原発の再稼働と再建を促す旨の記事を掲載すること)自体は、もはや驚きではない。読売新聞は、震災後一貫して「脱原発」を回避する立場の言論を展開している。その意味で、この日の社説は、流れに沿ったものだった。


 社説は、4つの段落に分かれていて、それぞれに小見出しが冠されている。以下、列挙する。


◆再稼働で電力不足の解消急げ◆
◆節電だけでは足りない◆
◆「新設断念」は早過ぎる◆
原子力技術の衰退防げ◆
 いずれも小見出しを見ればほぼ内容が読み取れる明快な主張だ。


 問題は、最後の、◆原子力技術の衰退防げ◆のパートにある。
 ここで、社説子は、驚愕すべき持論を展開している。以下、この小見出しに導かれている部分を全引用する。


《高性能で安全な原発を今後も新設していく、という選択肢を排除すべきではない。
 中国やインドなど新興国原発の大幅な増設を計画している。日本が原発を輸出し、安全操業の技術も供与することは、原発事故のリスク低減に役立つはずだ。
 日本は原子力の平和利用を通じて核拡散防止条約(NPT)体制の強化に努め、核兵器の材料になり得るプルトニウムの利用が認められている。こうした現状が、外交的には、潜在的な核抑止力として機能していることも事実だ。
 首相は感情的な「脱原発」ムードに流されず、原子力をめぐる世界情勢を冷静に分析して、エネルギー政策を推進すべきだ。》


 ごらんの通り、読売新聞社は、『核兵器の材料になり得るプルトニウムの利用が認められている現状』が、『潜在的な核抑止力として機能している』ことを、『事実』として認定している。


 驚嘆すべき主張だ。
 というのも、読売新聞は、原発核兵器である旨を半ば公認しているわけで、この事実は、何回びっくりしてみせても足りない、驚天動地の新説だからだ。


(略)


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原発核兵器同等は、京大の小出さんが国家ぐるみの原発推進の真意を
このように曝露していましたし、それに反応したのかどうか、つい先日、
石破さんでしたっけ? 述べていたような気がします。

ついに、社説で説くようになりましたか。


小田嶋氏は、こんな説は、二十年前から軍事オタクがささやいていた、しかし
表では決して認めなかったといい、つぎのように言います。



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政府の人間はもちろん、お役人も、大学の先生も、新聞の論説委員も、この種の議論には乗らない。
「軍事転用? ははは。貴兄はご存知ないようですが、核兵器の製造はNPT体制の厳重な管理下にあって原理的に不可能なのですよ」
 と、百万ドルの建前論をぶっつけて陰謀論を粉砕する。そうすることが、長らく、彼らにとっての、唯一の正しい対応策だった。

 であるからして、大新聞の社説が、「原発潜在的核抑止力」に言及するだなんてことは、本来ならば、想定外のそのまた外側にある巨大津波クラスの椿事なのである。

 で、その空想科学小説的な未来が、突然やって来たわけだ。ぽぽぽーん、と。
 現実に、読売新聞は、原発潜在的な核抑止力である旨を申し述べている。しかも社説で。
 なんということだろう。

 本来なら、この種のセリフは、新聞の社説が言ってしまって良いお話ではない。

 なんとなれば、「原発核兵器論」は、「それを言ったらおしまいでしょ」的なぶっちゃけ話で、そうでなくても、著しくたしなみを欠いた議論だからだ。


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「社会の木鐸」大新聞が、衣をかなぐりすてて、鎧姿剥き出しになったというところでしょうか。


あまりにもあっさり脱ぎ捨てたので、ぼうぜんとするしかないのですが、
小田嶋氏は、「原発が欲しいのはようするにマッチョでありたいんでしょ」と見抜いています。


男のなかのマッチョな欲望。
力をもって相手を威嚇し、優位に立つおのれにほれぼれとする欲望、とでも
いえるのでしょうか?
小田嶋氏は、それを中二病、つまりガキのビョーキってことですね、そう言って
ます。