あの日の小出裕章さんのツィート、そして警告

京大助教小出裕章さんが、津波直後、3月12日に発信した原発事故のときのツィートです。
このとき、小出さんはまだツィッターでも充分な発信力をもっていなくて、もっとも
届けたい人々のところへ、この情報はわたりませんでした。


http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-2397.html
このブログ主さんが、探し出してきたくださったものです。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
小出さんから緊急メッセージ
2011-03-12 18:21:57
テーマ:お知らせ
皆様


福島原発破局的事故に向かって進んでいます。
冷却機能を何とか回復して欲しいと願ってきましたが、できないままここまで来てしまいました。
現状を見ると打てる手はもうないように見えます。
後は炉心溶融が進行するはずと思います。
それにしたがって放射能が環境に出てくると思います。
その場合、放射能は風に乗って流れます。
西向きの風であれば、放射能は太平洋に流れますので、日本としては幸いでしょう。
でも、風が北から吹けば東京が、南から拭けば仙台方面が汚染されます。


今後、気象条件の情報を注意深く収集し、風下に入らないようにすることがなによりも大切です。
周辺のお住まいの方々は、避難できる覚悟を決め、情報を集めてください。

              2011/3/12  小出 裕章





福島原発の現状について 小出
2011-03-12 22:41:22
テーマ:ブログ


8時の枝野長官の記者会見を聞き、爆発は格納容器と原子炉建屋の間で起き、格納容器はまだあるとのこと、ちょっとほっとしました。
もし、それが本当なら、爆発は水素爆発です。
そしてその水素は、燃料棒被覆管材料である、ジルコニウムという金属と水との反応で生じた水素だと思います。
それが格納容器ベントを開いたことで、原子炉建屋に漏洩し、爆発に至ったと推測します。


格納容器は放射能の放出を防ぐ最後の砦で、それがまだ形として残っているということは、せめてもの救いです。
その格納容器の中に、海水を注入するという説明でしたが、どうやって海水を送るのでしょうか?


そのためにはポンプが動かなければいけませんし、そのためには電源が必要です。
電源が失われたからこそ、事態がここまで悪化してきました。


何故、いきなり海水を送れるようになったのでしょうか?
注水できるポンプの圧力の能力hああります。
原子炉圧力容器内は大変高圧になっており、消防用のポンプ車の吐出圧力では原子炉圧力容器の中に直接水を送ることはできませんが、格納容器の中であれば送れると思います。


それでもなお、核の容器の中に水を送る作業はもっと早くやれたはずだと私は思います。
十分な情報がない中、申し訳ありませんが、正確な判断ができません。
もし、格納容器内を海水で満たすことができるのであれば、もちろん原発は2度と使えませんが、最悪の破局は免れることが出来ると私は思います。


格納容器内に海水にホウ素を混入させることは必要です。
今直面している危機は、原子炉が溶けてしまうこと、そして一度は停止させたウランの核分裂反応が再び始まってしまうかもしれないことの2つです。


原子炉を溶かさないためには水を供給すること、核分裂を再び始まらないようにするためには中性子を吸収できる物質を供給しなければいけません。
中性子を吸収する物資がホウ素です。
ですから、ホウ素を混入した海水を格納容器に注入することは有効です。
成功してくれることを願います。

政府の提供する情報は大変不十分です。
爆発前後で正門前での放射線量が、減ったなどということは、格納容器が破壊を免れたという証明にはなりません。
単位風向きが変わった可能性の方が遥に大きいです。
今後も、あちこちからの情報に常に注意してください。

このメールは失礼ながらたくさんの人たちに一斉に送ります。
事故の対応に追われており、お許しください。
 
                     2011/3/12  小出 裕章


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



このメールを出した直後に原子炉実験所の所長が呼出をくらったそうです。
箝口令がしかれていたのですが、小出さんは発信することを選んだ。



上記のブログに転載されていたのですが、小出さんの三十四分の一の意見を
口に出す勇気についてのエッセイ。
ひとりひとりが、ほんの少しの勇気を出して、自分のこころに嘘をつかない
言葉を発していきたい。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
わたしたちの願い,小出裕章
2012-09-30 01:41:02



たとえば,あなたのクラスに34人の生徒がいるとします。その中の33人が,あることを賛成したとします。
よく考えて賛成というひともいるし,あまり考えずに「みんながそうなら、そうしよう」と、
まわりに合わせてしまうひともいるかもしれません。

クラスは、あなたひとりを除いて,「賛成」の意見でまとまりそうです。
けれど,あなた自身は,どうしても賛成できません。
そのとき、あなたはどうするでしょう。

...
たったひとりで、33人を前に「反対」といえるでしょうか。


「いえない」とあなたが思うなら,それはなぜでしょう。


みんなとちがうと、クラスで浮いちゃうから?
孤立するから?みんなに合わせておいたほうが、らくだから?
ひとりだけちがうと、「かっこつけて」とか「目立ちたがり」とか「生意気」とかいわれそうだから?
そして,仲間外れやいじめにあいそうな気がするから?


理由はたぶんいろいろだと思います。
しかし,反対なのに,反対である自分を消して,まわりに合わせた自分を,
あなたはいつか「いやだな」と思うようになりませんか?


そうして,いつも,まわりに合わせてしまうことがあなたのくせになって,
ずっとそんなふうに生きていくことになったら、あなたは自分を好きでいられるでしょうか。


みんなの意見に無理に自分を合わせることに必死だった11歳のある子は。ある日、いいました。


「ずっと、ずっと、消しゴムでゴシゴシ自分を消しているみたいだった。
そんなのいやだと思いながら,ゴシゴシ消していた。
そしたら、自分が消えて、自分でなくなっちゃったみたい」と。


わたしは、日本という国がひとつになって,原子力発電に賛成する人たちがどんどん多くなっていくときにも,反対をしてきたひとりです。


「たいへんだったでしょう」と、よくいわれます。


けれど、わたしは、そうは思いません。


自分に対して誠実に生きることはとても気持ちのよいものです。
自分にウソをつくことのほうが、わたしにはたいへんなことであり、いやなことであるからです。


少なくとも私は,自分の考えを裏切らずに済みましたので,ありがたい人生だと思います。


しかし,十分に原発の危険性を伝えることができず,今回の事故が起きてしまったのは,
とてもくやしい思いがします。


原子力発電は、あなたのいのち、あなたの人生に直接かかわることなのですから,しっかりと学んでください。


私はやがてはいなくなります。あなたよりずっと年上なのですから。


そのときに、自分で考えて,ひとりでも行動できる,そういうひとになってほしいと願います。
そして思ったことをひとに伝えて、みんなで話し合いながら未来を考え,
決めていくような社会が来ることをこころから願います。


起きてしまった原発の事故を起きなかったことにはできないし、過去を変えることはできないけれど,現在と未来をつくることができるのは,一人ひとりの「あなた」です。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



こういう考えをもち、こういうふうにして生きてきた小出さんが、以下のように警告して
います。
ブログ「幸せは深呼吸」さんが、講演の一部を書き起こしてくださったもののようです。
講演そのものも、リンクされています。


つい、わたしたちにも慣れが生じて、たいしたことないや、と思い、やたらに「ホーシャノー」の語を発することもはばかられるような思いをすることもありますが、
わたしが信じるのは、小出さんのような方の言葉です。
信じてまんがいち、間違いがあったとしても、それはしようがないのです。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
http://blog.goo.ne.jp/skrnhnsk/e/ad5bdcd731757c7cdf070e75589b12d6
「それを安全だと思ってはいけないのです、本当は」小出裕章氏9/29佐野市講演(音声書き出し)
2012-10-03 | 放射能
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-2403.htmlから




(音声のみ)

音源 http://www.ustream.tv/recorded/25784721
2012年9月29日(土)  栃木県 佐野市 小出裕章氏講演会より



会場から:
先生が先ほどいわれた「栃木県塩原市の野菜が危ない」って言われましたけれど、
実は私は10ベクレル宣言というか10ベクレル以下は食べれると思っていまして、
自分たちで野菜をつくって測っているんですよ。
そうすると、2〜3ベクレル、10っていうのはあんまりないんですね。
ですから、さっきの発言だけ取り消していただきたいと思います。



小出裕章
はい、もちろんみなさんご存じだと思いますけれども、放射能はむしろ消えていないのです。
福島の事故が起きて以降ずーっと消えていませんし、
今でも、塩原だとしても、土地の汚染は残っています。
それとどうやって戦えばいいのか?って言う事ですけれども、
放射能と戦ったって勝てません」
放射能は無敵です」
私たちがどんなに煮ようと焼こうと叩こうと、放射能を消すことなんてできないですし、
放射能と戦う事は全く無意味です。



その私たちがもし戦うとすれば、国です。行政です。
子どもたちを被曝させないで済むようにどうやって彼らを動かすことが出来るか、という事が
いま私たちに課せられている仕事だと思います。


今、野菜が1kgあたり、10ベクレルか、数ベクレルとおっしゃったでしょうか、
それがみなさんは大したことが無いと思われるんでしょうか?


日本の国は1kgあたり100ベクレル以下は全部安全だと言っているわけだし、
ほとんどの市町村も国の基準より下回っていて安全だと言ってしまっているわけですけれども、


放射能はどんなに微量でも危険なのです。
1kgあたり100ベクレルはもちろん危険だし、
50ベクレルだって危険だし、10ベクレルだって危険なのです。
福島第一原発の事故の前に日本の食べ物がどれだけ汚れていたかと言えば、
たとえばお米の場合は1kgあたり0.1ベクレルしか汚れていませんでした。
もし、いま1kg当たり10ベクレルのお米があるとすれば、
すでに100倍汚れている。


それを安全だと思ってはいけないのです、本当は。


ただし…ですけれども、……
人々は恐怖を持続することが出来ないのです。
何とか忘れたいんです。安全だと思いたいのです。
「本当は危険があったって安全だと思いたい」それが人間という生き物だと思います。
皆さんの周りに住んでいる人もみんなそうですし、
行政を担っている人も、みんなそう思いたいという思惑で動いているわけで、


「これが危険だ」という発言をすれば周りから煙たがれ、嫌がれる。
「お前黙れ」と場合によっては怒られるかもしれない。
でも危険なのは本当なのです。


それをやはり言わなければいけないと思うし、
さっきから私は何度も聞いていただいていますけれども、
「子どもたちは、やっぱり守る」という事を大人の責任でやりたいと思いますので、
周りからどんなふうに嫌がられても、事実というものをきちっと周辺に知らせる。
そして説得しながら、少なくても子どもが生活する場所からは放射能をどけるとか、
子どもには出来る限り汚染の少ない食べ物を与えるとか、
そういう仕組みをとにかく作らなければいけないと思うのです。


とても難しいです。
わたしは本当に非力でそんな事も出来ないできたわけですし、
今の国家、あるいは行政の仕組みというものを見ていると、
本当に壁が厚過ぎて何にも出来ないという事を日々痛感していますけれども、でも、
やりたいとおもいます。
みなさんも諦めずに、出来ることを一つ一つずつでもやっていただければと思います。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・