「秘密保護法は21世紀中最悪の法律」元米NSC高官モートン・ハルペリン・・・IWJ緊急インタビュー

先日、議員会館で公開勉強会がありましたが、岩上さんが単独インタビューをし、
その内容の重大さに、動画の一般公開を三日間するそうです。
以下のアドレス、あるいは、岩上チャンネルの1で視聴することができます。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/138702
2014/05/08 岩上安身が元米国防総省高官モートン・ハルペリン氏に緊急単独インタビュー
「米国政府は安倍政権に懸念を抱いている」


 「21世紀に民主政府によって検討された秘密保護法の中で最悪なものだ」――。

 昨年末、安倍政権が国会で強行採決した「特定秘密保護法」について、痛烈に批判し話題となったモートン・ハルペリン元米NSC国家安全保障会議)高官が、2014年5月8日に来日。岩上安身の緊急単独インタビューに応じた。

 ハルペリン氏は米国防総省の高官時代、1966年から69年にかけて沖縄返還交渉に関わり、核密約などで日本側との交渉にあたった、外交安全保障の専門家である。ハルペリン氏はまた、情報公開と安全保障のバランスを定めた国際指針「ツワネ原則」作成に関わった、キーパーソンの一人でもある。



米国の関与を超えた秘密保護法「安倍政権の独自の目的」


秘密保護法の議論では、しばしば「米国の圧力」が持ちだされた。



 ハルペリン氏は「確かに、米国政府内では厳しい秘密保護法制を作って欲しいと言っていた人間はいただろう」と、この法律制定への米国の関与について認めた。しかし、「今回制定された秘密保護法は広範囲。必要な秘密保護法はもっと狭い範囲に秘密を特定するものだ」と語り、この法律が米国の意図しないものへ変質したことを明かした。ハルペリン氏はそれを踏まえ、「日本は、何か独自の目的があってこのような法律の制定を急いだのだろう」と指摘した。



「ツワネ原則」の検証なしの法律制定は「何が民主的政府かを理解していない」


 ハルペリン氏は自身が作成に関わった「ツワネ原則」について、「こうあるべきという理想と、すでに民主主義国家に存在する法律の両方を併せ持つもの」と説明した。


 安倍総理はこのツワネ原則について、昨年11月20日参議院質疑で「特定の民間団体が示した一つの参考意見にすぎない」と一蹴し、その後はこの原則について無視し続けた。


 この安倍総理の発言について、ハルペリン氏は、「『市民社会を抜き取る』と表明する民主的政府は、何が民主的政府なのかを理解していない」と批判。この原則を利用し、実行している国が多くあることを紹介し、「まずそうした国の法律を検証すべき義務がある。その検証のうえで、今回の法律制定云々だったら理屈は通るが、検証なしに最初から無視するというのは、民主主義において『知る権利』と国家の秘密保護のバランスは取れない」と指摘した。



「21世紀最悪」の法律の問題点


 昨年12月、ハルペリン氏は自身が上級顧問を務める「オープン・ソサエティ財団」を通じて、「21世紀に民主政府によって検討された秘密保護法の中で最悪なものだ」痛烈に批判した。


 「21世紀最悪」とまで言わしめるこの法律の問題点とは何なのか。
ハルペリン氏は「まず政府職員以外の一般人への罰則があるところ」
「一般市民が信頼できる第三者機関がないこと」
「情報が特定秘密に指定されるプロセスが曖昧であること」などを挙げた。



西山事件で「密約」を隠したかったのは「米国ではなく日本政府」



当時この密約の交渉に関わったハルペリン氏は、「日本政府からの基地負担の支払い(肩代わり)を隠したかったのは米国政府ではない」と断言した。

 ハルペリン氏は、日本政府がこの密約を秘密にしたがった理由について、「安全保障上の問題ではなく、それが明らかになった時に国民から批判されるのを恐れたため」と指摘した。



 日本政府は「米国のせいで秘密にしている」という言い訳を多用しているように思うが、という岩上の問いかけに対し、
ハルペリン氏は「秘密保護法は日本政府が必要だと考えたから制定を急いだのでしょう。これまでも米国にとってより必要だと思うことを、いくつも拒否してきたにも関わらず。この法律は日本が責任を持たなければならないことだ」と語った。



米国政府で非常に多くの人間が安倍政権の「歴史修正主義」と「右傾化」に懸念を抱いている


 岩上の問いに対し、ハルペリン氏は「米国の政府高官・役人を含めた非常に多くの人間が、日本が第二次世界大戦の責任を否定したりナショナリズムに傾くようなことに懸念や不安を抱いている。そうした意味で日本との関係を修復したがっている人間が多く存在する」と語った。



日本が集団的自衛権で米国のパートナーになるには「改憲せず」「過去の戦争責任を受入れ」「核武装をしないこと」が必要!?


 安倍総理の私的懇談会である「安保法制懇」では、「解釈改憲集団的自衛権は可能」とまとめている。北岡座長代理は、「集団的自衛権が認められないなら日本は核武装大国になるしかない」とまで発言している。秘密保護法の延長線上に、「核武装」の思惑まで垣間見てくる。

 日本は核武装集団的自衛権の行使がなければ、安倍政権が喧伝する「中国の脅威」に対抗できないのだろうか。



 ハルペリン氏は岩上の質問に対し、「もし日本が集団的自衛権で米軍を助けるとなれば、必要なことが3つある」と答え、話を続けた。「1つ目は改憲をしないこと。2つ目は、日本が第二次大戦で行ったことを受け入れること。3つ目は核武装をしないこと。日本だけでなく極東アジアの非核化。これが日米同盟の深化や、日本が集団的自衛権を容認する際に必要なことです」。



「日本は、戦争責任を受入れたうえで前進しているドイツをまず見習うべき」


ハルペリン氏はさらに、「日本が集団的自衛権を容認するならば、中国に対して、日本は第二次大戦時に戻らない、と説明する必要がある」と語ったうえで、「日本がしなければならないことは、ドイツをまず見ること。ドイツは戦後レジームの脱却ではなく、まず戦争責任を受入れて、そのうえで前進している」と指摘した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




アメリカは、いま二分されているといいます。
オバマ政権側は、安倍政権および安倍政権の背後にいる側と敵対している。