ガラパゴス化する日本・・・慰安婦問題、ヘイトスピーチ

このごろのテレビって、こんな論調なんでしょうか?
立派な肩書きを持った男性が、これほど力説してるのを聞くと、それまで関心をもったことの
ない人は、そーだそーだ、日本は誤解されている、と信じ込むと思う。
公娼私娼と同列に考えているが、軍が制度化した慰安婦はそんなものではないです。
何よりも、このスタジオの雰囲気。これが異常。
狂ってる。影響力の強いテレビがこんな調子だと、戦中の日本はすぐそこ、だと感じられる。


国際女性法廷の一部始終の記録映画を見たことがあります。
たいへんに理性的なもので、クマラスワミ報告も感動的に緻密なものだったと記憶しています。
慰安婦問題が政治圧力をこうむったはじめは、2001年NHKETV特集でした。
そのときのプロデューサー永田浩三氏が、この夏、岩波現代文庫から「NHKと政治権力」という
本を出しています。ぜひお読みください。
その永田氏のインタビュー記事。


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http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/153502/1
元NHK永田浩三氏 「安倍政権の局支配が着実に進んでいる」

2014年9月22日


局内は昔に比べて息苦しくなっている


 菊池寛賞、芸術祭賞など、賞を総ナメにしたNHKの敏腕プロデューサーは、安倍首相らが「圧力」をかけたとされる「番組改変事件」のあと、NHKを去った。再び、注目を集めているのは、OBたちが連帯し、「籾井勝人会長辞任要求」の署名を突きつけたひとりだからだ。署名数は1527人。事務局によると、OB10人に1人が署名に応じた計算になるという。NHKでいま、何が起こっているのか?


――過去にもNHK批判はありましたが、1527人もの辞任要求は初めてではないでしょうか。

 専務理事経験者、放送文化研究所の元所長、放送支局長経験者、それから看板キャスターや有名なアナウンサーだった退職者が名を連ねました。OBたちは「このままでは安倍政権の『NHK支配』が進んでしまう。何とか歯止めをかけたい」という切なる願いで署名をしたのでしょう。署名集めの中心は、私より10年ほど先輩たちで構成する「放送を語る会」です。NHKの番組について精緻なウオッチングを続けており、「集団的自衛権を報じたNHKのニュースはおかしい」という批判の声を受けて、関連のニュース・情報番組を検証しました。


――公正、中立な報道ではなかった?

 集団的自衛権のニュースで、与党側の主張の時間が114分に対し、反論側が77秒という動かぬ証拠を突きつけたこともあります。籾井勝人会長は「個々の番組で公正、中立のバランスを取らないといけない」と言っていますが、100対1はどう見ても異常です。


――籾井会長就任以来、こうした動きが露骨になった印象を受けます。

 去年の秋、安倍首相の覚えめでたい経営委員4人が送り込まれ、その結果、籾井会長が就任した。籾井会長は就任当日の会見で「(国際放送で)政府が右と言ったら右を向く」などと発言し、批判が続出した。しかし半年以上経っても辞めないどころか、5月と7月の人事で会長にすり寄る管理職が重用された。今回の内閣改造でも高市早苗総務相は「領土問題を国際放送で伝えてもらう」と就任早々に発言しています。危険なサインで安倍政権の「NHK支配」が着実に進んでいるようにみえます。



■現役職員には言論の自由がない

――OBは声を上げていますが、現役の職員はそれでいいんですかね?

 NHKの現役職員には言論の自由がないのです。朝日新聞では、池上彰さんの記事をいったん載せないと判断した時、多くの現役記者がツイッタ―で「おかしい」と発信しました。朝日では世の中に自由に発言できる記者がいますが、NHKにはそういう制度はない。堀潤さんがNHKの原発報道批判をつぶやいたことで結果的にアナウンサーを辞めることになりましたが、NHKでは広報が了解しないと、職員が個人的に取材を受けることも、集会で一市民として発言することも許されていないのです。


――それは昔からですか?

 昔はもっとおおらかでしたね。50年代の水俣病事件では、チッソを相手に闘う患者支援団体「水俣病を告発する会」の先頭にNHK職員が立っていました。当時に比べると、今は非常に息苦しくなっています。


――番組制作に対する、上からの圧力はどうですか?

 NHKは戦争の旗振りをした反省から敗戦後、出直すことになりましたが、“政府のお先棒担ぎ”という体質は残りました。70年代にロッキード事件が起きた時もNHK会長が田中角栄元首相にご機嫌伺いに行ったものだから、職員は一斉に反発し、137万人の署名を2日で集めました。現場は経営に対して、その時々に闘ってきたんです。上層部も、途方もない取材の中で、真実に迫ろうとする現場の矜持は分かっているので、苦々しく思いながらも、どこかのところで現場を尊重してきたんです。それが崩れたのが慰安婦問題を取り上げた01年の番組改変事件です。


籾井会長に恥じらいはゼロです


――『ETV2001』のシリーズの「戦争をどう裁くか」ですね。永田さんは総括プロデューサーという立場でした。

 上の命令で放送直前に番組が劇的に変わった。この時、NHK幹部は今の安倍総理らに会い、その足で現場に戻って改変の指示を出した。NHKは「自主的に変えた」と言っていますが、外形的事実を見れば、「政治家に放送前に会って意見を聞いた直後、決まっていた番組の骨格を大幅に変える」という手荒なことが行われたのです。真相はいまだ不明ですが、これを自主的というのは無理で、政治介入と考える方が自然です。放送前日、伊東律子番組制作局長は、日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」が編さんした「歴史教科書への疑問」という本のページを開き、「言って来ているのはこの人たちよ」と告げました。そこには、「若手議員の会」の前事務局長だった安倍氏らの名前が列挙されていました。伊東さんは「政治家が言って来ているのだから、分かってね」と恥じらいを持って伝えました。しかし籾井会長にはそうした恥じらいはゼロです。



吉田証言なくても従軍慰安婦問題は存在する


――NHKは番組改変事件後、13年以上も慰安婦関連番組を作っていません。番組制作の自由も損なわれているのですか。

 90年代、NHKは慰安婦問題の番組を何本も放送しました。慰安婦問題の何がわかっているのか。「この際、NHKや朝日の壁を越えて、一緒に考えよう」という検証番組を作ればいい。金学順さんが91年に名乗り出て、93年に河野談話が出るわけですが、慰安婦問題を知る人の間では吉田証言がいかにズサンかは知れ渡っていました。ETV2001も吉田証言をまったく扱っていません。いま朝日新聞を批判する人は「あの報道で日本ははずかしめられた」と主張していますが、すでに吉田証言を重視する専門家はいませんでした。NHKの慰安婦関連番組を再放送すれば、すぐに分かることです。朝日批判のもうひとつの理由である「挺身隊と慰安婦の混同」の経緯は複雑です。朝日だけが間違ったのではない。「日本軍と一緒に身を挺して戦う女性の挺身隊員に慰安婦も含まれていた」という受け止め方はずっとありました。「戦争――心の傷の記憶」(98年8月14日放送)で紹介された姜徳景さんは、挺身隊員として富山の軍需工場「不二越」で働いた後、松代大本営慰安婦の仕事をさせられた。「いい仕事がある」と言われて行ったら、慰安婦の仕事だった。強制連行の有無だけではなく、甘言や嘘、移動の自由の剥奪などトータルの人権侵害に目を向ける必要があります。


――NHKはこの署名で変わりますかね?

 籾井会長は「慰安婦関連番組は流さない」という方針かもしれませんし、現場は自粛を続けるかもしれません。それでは、多様な番組を制作するという公共放送の責務の放棄です。NHKの機能不全は、国民に不利益をもたらす。今回の署名が会長辞任に直結することはないにしても、経営陣が100%無視することはできない。われわれOBは「現役職員にはなんとか踏ん張って欲しい」という切なる思いを署名に込めて、エールを送っているのです。

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アメリカでもどこでもメディアは権力がコントロールを強めてきているそうですが、それでも
ガーディアンの記事はこんなふうです。
日本のテレビ新聞ばかり読んでいると、政治的痴ほう状態になってしまいます。
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http://kobajun.chips.jp/?p=20293

【 安倍政権下、多発する自由主義リベラリズム)への脅迫、迫害 】


自由主義者の学識関係者に対する脅迫を行う極右勢力、そして安倍政権の閣僚たちの関係
市民に対する極右の脅迫や暴力に対し、煮え切らない態度を取り続ける安倍政権
極右による爆弾テロ、そして殺人の脅迫の標的にされている元ジャーナリストたち
日本の民主主義は今、危急存亡の淵に立たされている

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2014年10月13日


日本国内における少数民族とも言うべき朝鮮・韓国人コミュニティに対しヘイトスピーチヘイトクライムを日常的に行い、ナチス同様の民族差別、民族迫害を主張している極右勢力と、安倍政権の閣僚と与党自民党の幹部議員との不適切な関係が指摘され、これらの勢力と一線を画すべきであるという批判が高まっています。


安倍政権による日本の急激な右傾化が図られる中、自由主義的立場を取る学識関係者を殺すと脅迫している極右グループと同政権の3人の幹部との関係が問題になっています。


日本の警察機構の最上位である国家公安委員長に就任した山谷えり子議員は、在特会の幹部である増木重夫氏と一緒に撮影された写真の存在が明らかに名乗り、安倍政権としてこうした極右団体との不適切な関係を指摘された与党自民党の3人目の幹部議員になりました。


在特会は日本在住の朝鮮人・韓国人に『ゴキブリ』のレッテルを貼って、殺してしまえと主張していますが、山谷大臣はこの在特会を批難することを拒否しました、


山谷大臣が2009年に在特会幹部と撮影した写真が公になったのは、高市早苗総務大臣稲田朋美自民党政調会長がともに日本ネオナチ党の山田一成党首と一緒に撮影された写真が公にされた直後でした。
高市早苗総務大臣稲田朋美自民党政調会長は写真撮影当時、山田氏が何者であったか知らなかったと主張しています。


国家公安委員長として在特会を批難すべきであると求められると、山谷大臣は個々のグループの方針についてコメントすることは適切ではないと返答しました。
「日本には和を非常に大切にし、個人の権利を尊重してきた長い伝統があります。」


一方の増木氏はすでに在特会を脱退しましたが、ロイター通信の取材に対し、山谷氏とは教育に関する価値観を共有する10年来の知己であると返答しました。


在特会は日本国内に住む約50万人の日本国籍を持たない朝鮮人・韓国人に対し、福祉給付金や税の減免問題などに関して日本国民より有利な待遇を受けていると主張し、その停止を要求しています。
これら日本国籍を持たない朝鮮人・韓国人の多くは第二次世界大戦の戦前戦中に鉱山や工場労働者として朝鮮半島から日本に連れてこられた人々の子孫です。


日本国内の右翼活動家たちは、朝日新聞が1980年代、90年代に行った従軍慰安婦問題に関する報道が誤りであったと最近謝罪したことに勢いを得ています。
自由主義的立場の報道を行っている朝日新聞が掲載したこの記事は、韓国の最終等から女性を強制的に徴発する現場を目撃したとする元兵士の吉田清治氏の証言に基づいたものでしたが、朝日新聞はその客観的事実の証明をすることはできませんでした。


安倍首相をはじめとする日本の国会議員クラスの政治家は、朝日の誤った報道は国際社会における日本のイメージを損ったことについて責められるべきであり、なおかつ海外のメディアがそれぞれに従軍慰安婦問題に関する報道を行うきっかけを作ってしまったと主張しています。


現在は学界に身を置く元朝日新聞社のジャーナリストは、その職を奪おうとする極右による爆弾テロ、そして殺人の脅迫の標的にされてしまいました。
極右のメンバーは20年前に朝日新聞従軍慰安婦問題に関する記事を執筆した植村隆を「裏切り者」とよび、そのこどもたちの写真を公開した上で、自殺しろと脅迫しています。


「これら実際に発生している問題について組織的関与があろうとなかろうと、歴史を書き換えようとする右翼勢力によるヘイトクライムと犯罪行為に対して現在の日本政府が何の対策も取ろうとしない態度を、国民は声を上げて批判する必要があります。」
上智大学政治学を専攻する中野孝一教授がこう語りました。


植村氏を非常勤講師として採用していた札幌市の北星学園大学は、2015年に再契約するかどうかの決定を延期しました。
別のもう一人の元朝日新聞記者は脅迫状を送りつけられ、西日本にある大学の職に就くことを断念しました。


「安倍首相や他の政治家の展望は、大日本帝国の歴史に批判的態度を取る人々に対し、右翼が野蛮な攻撃を続けることを助長しています。」
法政大学の山口二郎教授がこう指摘しました。


安倍新内閣の顔ぶれは、領土問題や歴史認識問題について中国や韓国との緊張関係を一層悪化させる懸念を起こさせる程、はっきりとした右傾化を打ち出したものでした。
山谷氏、高市氏、稲田氏はいずれも安倍氏の盟友であり、戦前戦中の日本史を書き換えようとする立場を共有しています。
彼らは1920年代後半から1945年の日本の敗戦まで、主に朝鮮・韓国・中国人女性を前線近くの売春施設で強制的に働かせたとする認識に疑問を呈しています。


安倍内閣の19人の閣僚のうち、実に15名が『日本会議』のメンバーです。
この組織は日本で愛国教育を行い、第二次世界大戦中のアジア各地における『自虐史観』を一掃することを目的に1997年に設立されました。
安倍首相は文部科学省に圧力をかけ、各学校で使われる教科書から従軍慰安婦に関する記述を削除させる上で、非常に大きな役割を演じました。

現在の右翼による自由と言論に対する攻撃は、1930年代に軍国主義者が行った自由主義者への迫害をほうふつとさせるものだと、法政大学の山口教授が語りました。

「もし北星学園大学が圧力に屈して植村氏を解雇すれば、民主主義的憲法のもとに社会が成立しているはずの日本において、学問の自由、そして言論の自由が損なわれていくことになるでしょう。」
山口教授がこう語りました。
「日本の民主主義は今、危急存亡の淵に立たされています。」


http://www.theguardian.com/world/2014/oct/13/japan-ruling-party-far-right-extremists-liberal-democratic
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この記事を翻訳してくださった方は、どうしようもない焦燥を感じると。そして以下のように書いています。
「そこで皆さんにお願いがあります。
以下の『』内のメッセージを皆さんがご存知の世界各国の報道機関、人権団体や活動家、大学や研究機関、そして国際機関や各国政府にメールで送っていただけないでしょうか。
エコノミストもガーディアンも国際社会においては、品位の高い報道機関として評価されています。
その2紙が日本のヘイトクライムについて告発している、その事を世界中に発信し、日本国内の大手報道機関の多くがこの問題を無視している状況を、私たちの手で何とかしましょう。」


「」内は、リンク先に尋ねてください。英語でのメッセージです。