【必読】小池・前原ドタバタ劇の裏側と選挙のあとに来るもの

twitterをひらいたら、矢部浩治さんのこんなツィートが。
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矢部宏治‏ @yabekoji

今回の奇怪な「前原民進党・解党事件」は、決して個人の軽挙妄動ではなく、米軍による日本支配の最終段階として起きたものです。非常に厳しい状況ですが、民主主義の原則を守って戦えば充分逆転のチャンスはあります。キーワードは「沖縄との連帯」です。
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やっぱり、ね。
矢部浩治さんの近著『知ってはいけない』をお読みください。
ここに、ひじょうに簡潔に、わかりやすく、戦後の日本のおかれた状況が説明されて
あります。


つまり、戦後の日本国憲法をもった民主主義国家は、表の仮面。その裏で、米軍に支配
されていた。政治経済には主権を回復させたが、軍事部門は米軍従属の密約がかわされて
いた。朝鮮戦争のさなかにこういう体制がつくりあげられた。これは、国際法の構造の
なかにかっちりと組み込まれている。


ブッシュ政権下のライス国務長官でさえ、日本と韓国を統括している太平洋軍司令官は
昔から植民地総督のようなもので・・・と言っており、米国政府と太平洋軍司令部とは
しばしば軋轢をおこしているらしい。


日本は、半主権国家です。しかし、国際法上、法的な正統性をもつ「日本国憲法」を
もっています。これが、米軍支配の密約をおもてだたせることを抑制してきた。
だが、安部政権によって、密約が大手をふって顔を出すようになってきた。


日本国憲法」を作ったのも、米軍支配の密約も、すべては法的な正統性をもった
解釈があるわけで、そこでのせめぎあいの均衡がくずれ、いまは、米軍支配による
植民地化が最終的に実現しつつあるということなのです。



矢部宏治さんの、記事をご紹介します。
これは、必読です。
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http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53127
誰が首相になっても、総選挙後に必ず起こる「2つの重大な出来事」

『知ってはいけない』著者の警告




「野田民主党・自爆解散事件」との共通点


けれども実を言えば、私自身はあまり驚かなかった。なぜならいまから5年前、民進党の前身である民主党のなかで、同じくらい奇怪な事件が起こったことをよく記憶していたからだ。それは2012年11月に、当時の野田佳彦首相が起こした「民主党・自爆解散事件」である。もう昔のことなので、忘れている人も多いと思うが、これは簡単に言えば、


① 当時、政権公約と真逆の政策(消費税増税)を「命をかけてやりとげる」と公言していた野田首相が、
② 自党の選挙準備がまったく整わない状況のなか※、野党の党首(安倍晋三自民党総裁)との国会討論中突然解散に合意し、わずか2日後(11月16日)には本当に衆議院を解散して、230議席から57議席へという壊滅的な敗北を喫してしまった
③ そして政権を失ったにもかかわらず、野田氏はその後、政界から引退も離党もせず、そのまま党の実力者でありつづけた


という、きわめて不可解な事件である。そしてこの事件は、


○ 突然決まった衆議院選挙の混乱のなかで、
○ 最高責任者が意図的に党を壊滅させるような行動をしたにもかかわらず、
○ その後、議員辞職もせずに党内にとどまり、実力者としての地位を維持しつづけた


という点において、前述の「前原民進党・解党事件」と完全な相似形をなしている。



2つの奇怪な事件は、なぜ起きたのか


ではこの2つの奇怪な事件は、いったいなぜ起きたのか。その理由については、私などよりもはるかにわかりやすく、しかも簡潔に説明している人物が存在する。元航空自衛隊のトップ(幕僚長)であり、対中国強硬派、核武装論者としても知られる右派の論客、田母神俊雄氏である。

彼は「前原民進党・解党事件」が起こった直後、自分のツイッターでこう述べている。


希望の党ができて民進党は解散になる。小池さんも前原さんも、日本の左翼つぶしに是非とも頑張ってほしい。右と左の二大政党では、国がつねに不安定だ。保守の二大政党制になってこそ、安定した政治になる。〔現在の〕日本のおかれた状況で、憲法改正に反対しているような政治家には、国民生活を任せることはできない」(2017年10月1日、下線筆者)


実にわかりやすい「解説」ではないか。つまり、安全保障の問題から左派(リベラル派)の影響力を完全に排除する――。それこそが今回の「前原民進党・解党事件」と、5年前の「野田民主党・自爆解散事件」のウラ側にあった本当の目的であり、グランド・デザインだったというわけだ。実際、この2度の自爆選挙によって、かつて旧民主党政権に結集したいわゆるリベラル派勢力は、ほとんど消滅寸前まで追い込まれてしまった。




枝野幸男氏が新たに立ち上げた立憲民主党をはじめ、選挙を戦うリベラル系の候補のみなさんに対しては心からのエールを送りたいと思うが、今回どのような選挙結果が出たとしても、選挙後に姿を表すのは、巨大な「自民・公明・希望・維新」による保守連合体制であり、その最終的な目的は、軍事問題についての「野党の消滅」または「大政翼賛体制の成立」なのである。




選挙後に必ず起こる2つのこと

では、具体的に、これから何が起こるのか。選挙後に誕生する巨大な保守連合の、新たな目標として設定されているのは、まちがいなく、


① 全自衛隊基地の米軍使用
核兵器の陸上配備

の2つである。いずれも以前からアメリカの軍産複合体シンクタンクで、集団的自衛権とともに日本の課題とされてきたテーマだからだ。


今回の選挙結果がどうであれ、日本の首相に選ばれた人物には、この2つの課題を早急に実現せよという強烈な圧力がかかることになる。そのときわれわれ一般人は、いったいどう考え、行動していけばいいのか。その手がかりとなる情報を、以下、簡単にスケッチしておきたい。


自衛隊基地の米軍使用」については、多くの人が知らないだけで、すでに進行中の現実である。たとえば下の図のように、現在、富士山の北側と東側には広大な自衛隊基地(富士演習場)が存在する。ところが現実には、これらはすべて事実上の米軍基地なのである。





これからやってくる「大政翼賛体制」のもとで、一度日本に返還された米軍・普天間基地が、民間利用ではなく自衛隊基地となり、さらには現在の地位協定と密約の組み合わせによって、事実上の米軍基地となる可能性は非常に高いと私は思う。

もし本当にそんな事態が起きたとき、われわれ本土の人間が沖縄と一緒になって、「そこまでバカにするのか!」と、真剣に怒ることができるのか。そうした事態についても、あらかじめ想定して準備しておく必要があるのである。




核兵器の本質」とは?


そしてここからが、もっとも重要な問題だ。戦後日本の「国体」ともいえる「朝鮮戦争ジーム」は、いま最終局面を迎えている。このまま半永久的に続いてしまうのか。それとも解消へと向かうのか。実はこれまで、絶対に揺るがないように見えていたその体制が、終わりを告げる可能性が出てきているのだ。



そのことについて説明する前に、読者のみなさんには、ひとつだけおぼえておいてほしいことがある。それは「核兵器の本質」が、「置いた国と置いた国のあいだで撃ち合いの関係になる」ということだ。そして一発でも撃ち合えばその被害があまりにも大きいため、両者の間には「恐怖の均衡」が成立する。

アメリカとロシア・中国の間には、すでにこの「恐怖の均衡」が成立しており、両者が直接戦争する可能性が消滅して久しい。そしてさらにいま、少し前まで誰も予想しなかったことだが、北朝鮮アメリカの間にも、この「恐怖の均衡」が成立(※)しつつあるのである。




これはアメリカの本音というよりも、世界の常識だと言えるだろう。1994年の第一次核危機で、「韓国側に50万人の死者が出る」という予測が出たために、北朝鮮への軍事攻撃を思いとどまったアメリカが、どうしていま、本格的な核の撃ち合いなど容認することができるだろう。トランプも、もちろん本当はそのことをよくわかっている。


メルケル首相やプーチン大統領が「北朝鮮問題に軍事的解決などない」とくり返し警告しているのは、トランプや金正恩に対してというよりも、むしろ自分たちが一番危険であるにもかかわらず、なぜか声高に強攻策を主張しつづける、理解不能な日本の首相へのメッセージなのである。


「中国が北朝鮮の核開発を凍結させ、きちんとした査察を受けさせるなら、米軍を朝鮮半島から撤退させるという交渉もありえる。もっとも、かなり先の話になるだろうが」

バノンのこの発言も、多くの日本人にとっては非常に意外かもしれない。米軍が日本や韓国から撤退することなど、絶対にありえないとほとんどの人が考えているからだ。



しかし国際的な常識からいえば、このバノンの発言は、ごく当然の話なのである。朝鮮戦争(※)を北朝鮮とともに戦った中国軍は、すでに1968年には朝鮮半島から完全に撤退している。休戦から64年もたつのだから、米軍も撤退するのが本来は当たり前なのである。





日本の未来を切り開くために



こうして生まれた新しい状況のなかで、私たち日本人が今後注意しておくべきことは、たったひとつしかない。それは総選挙後に始まる安全保障の議論のなかで、核兵器の地上への配備だけは絶対に認めてはならない」ということである。


これから米軍、とくに日本と韓国に軍をおく米太平洋軍は、日韓両国に核兵器を地上配備させようと猛烈なプレッシャーをかけてくるだろう。もしもその圧力や巧妙な説得に負けて、日本と韓国が何百発、何千発もの核兵器を地上配備してしまえば北朝鮮の攻撃対象は当然、日本と韓国へと向く。その結果、北朝鮮アメリカの間の「恐怖の均衡」は崩れ、アメリカ本土は安全を回復する。結果として韓国からの米軍撤退の可能性も消え、日本における「朝鮮戦争ジーム」も永遠に続くことになるわけだ。



それは、核を地上配備するのは、沖縄の嘉手納と辺野古の弾薬庫だということだ。



本当の平和国家になるために



私も6年前から本に書いているように、本土への復帰前は沖縄に、最大1300発もの核兵器が地上配備されていた。


そして嘉手納と辺野古には当時それぞれ数百発の核兵器が貯蔵されていた巨大な弾薬庫がいまもあって、さらにはそれを「将来必要になったらいつでも使えるように維持しておく」という密約まで結ばれているのだ(1969年の佐藤・ニクソンによる「核密約」)。黙っていれば、自然にそういう流れができてしまうことは確実だ。


けれどもこの沖縄への核兵器の地上配備だけは、本土の人間も一体となって、日本人全員で絶対に食い止めなければならない。


おそらく身勝手な本土の人間たちは、「沖縄なら自分は安全だ。核兵器だろうと何だろうと、配備すればいいじゃないか。オレには関係ない」と考えるかもしれない。ところが、そうはいかない。



ここが問題の本質なのだが、北朝鮮対策という名目で沖縄に核が配備されたとき、それは自動的に、中国との間で核の撃ち合いの関係を生み出してしまう「恐怖の均衡」が成立するのである。そしていうまでもなく、中国のもつ核兵器は、日本列島全体を瞬時に壊滅させるだけの威力をもっている。



今回の「前原民進党・解党事件」でもよくたとえに登場した、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の教訓を思い出してほしい。「オレだけが助かればいい。ほかの奴らは地獄に落ちてもかまわない」と思った瞬間、われわれ日本人はみな、一体となって地獄へ落ちていくことになる。



同じように核兵器の配備について「沖縄ならいいか」と思った瞬間、「核大国・中国との間での、永遠につづく軍事的対立」=「永遠の朝鮮戦争ジーム」という、最悪の結果がそこには待ち受けているのだ。




けれども逆に、核の地上配備を沖縄と連帯する形で、日本人全体で拒否することができれば、北朝鮮アメリカの間で「恐怖の均衡」が成立し、バノンが予言していたとおり、やがて北朝鮮の核開発の凍結とひきかえに、米軍は朝鮮半島から撤退し、日本の朝鮮戦争ジームも終わりを告げることになるだろう。


われわれ日本人が望んでやまない「みずからが主権をもち、憲法によって国民の人権が守られる、本当の平和国家としての日本」という輝ける未来は、その先に訪れることになるのである。

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アメリカとしては、日本と中国、北朝鮮とのあいだでに「恐怖の均衡」を成立させて、自国は安全を保証する。
日本は、おかげで永遠にアメリカの露骨な軍事的植民地になるわけです。



国際法における正統性をもったわたしたちの日本国憲法の精神を、実現していきたいものです。