新刊『フェミニズム文学批評』岩波書店刊

フェミニズム文学批評』新編日本のフェミニズム11 岩波書店刊、2009.9.29
   【編集委員】天野正子・伊藤公雄・伊藤るり・井上輝子・上野千鶴子江原由美子大沢真理・加納実紀代
   【編集協力】斎藤美奈子
   【解説】斎藤美奈子


本書に、阿木津英執筆「女歌と女歌論議の時代ーー七〇年代から八〇年代前半まで」の抄出が収められました。
この初出全文は、加納実紀代編『リブという<革命>--近代の闇をひらく』(文学史を読みかえる7)インパクト出版会、2003。
馬場あき子・河野裕子道浦母都子の歌を中心に論じています。


1994年に、岩波書店より「日本のフェミニズム」全七冊、別冊一が刊行されましたが、そののち新しい編著を加え、新しい主題を加えて、このたび新編日本のフェミニズム全12巻が刊行中、掲げた本書はその11巻にあたります。
旧版の「表現とメディア」から「フェミニズム文学批評」を独立させたということです。


構成は、
「Ⅰ フェミニズム批評の出発」として
駒尺喜美さんの1978年「魔女の論理」、高良留美子さんの同年「女性詩人について」、富岡多恵子さんの1988年「死語となる言葉」など、そのほか三枝和子、水田宗子、斎藤美奈子各氏の執筆
「Ⅱ 近現代文学を読む」として
黒澤亜里子さんの1985年「女の首」の高村智恵子論、関礼子さんの1993年「姉の力 樋口一葉」の一葉論、金井景子さんの1995年「販女の手記」の林芙美子論などの抄出、そのほか西川祐子、田辺聖子、小林富久子、江刺昭子の各氏の執筆
「Ⅲ うた・ことば・ものがたり」として
藤本由香里さんの1990年「女と恋愛−−少女マンがのラブ・イリュージョン」、横川寿実子さんの1991年「初潮という切札−−日本児童文学の場合」、栗原葉子さんの1993年「歌の中の母親像−−瞼の母からわがママ冬子へ」、大塚ひかりさんの1997年「源氏物語の幸福感」、それから阿木津英の2003年「女歌と女歌論議の時代」の抄出で締めくくりです。


このたびの新編では、ようやく「フェミニズム文学批評」というテーマが一冊として立てられたわけです。