中国ドラマ「燃ゆる呉越」

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韓国ドラマに一時熱中したが、資本主義化がすすんでくるとつまらなくなった。韓国ドラマは、ぺ・ヨンジュンが二十代前半のころ、あのころのがいちばん面白い。
「初恋」「愛の群像」、古いものと新しいものとがせめぎあっているあの時代、役者の顔もいきいきとしている。


いま、韓国ドラマでは「ソドンヨ」を見ているが、完全なる娯楽ドラマで、役者の顔も日本のドラマと似たり寄ったりになってしまった。どうして、資本主義化がすすんでくるとあんなに陰翳のない似たような顔になっちまうのかねぇ。


それに比べると、中国ドラマが充実している。
「燃ゆる呉越」は、原題「越王公践」。呉越同舟、臥薪嘗胆の故事、誰でも知っているが、それを呉に敗北して奴隷になった越王を中心に、呉に復讐を果すまでを描く。越王が呉王に献上した西施も登場。


このドラマ、シェークスピア劇だと思った。台詞の応酬がみごと。このドラマの監督は必ずシェークスピアを意識しているはず。日本映画やドラマではこんな理による言葉の応酬はできない。中国というところは、こういう文化をもっているのだ。


また、衣装もセットも、みごとに西欧と中国伝統とが調和したしつらえ。ハリウッド式金にあかした豪華さではなく、しぶい豪華さであるところがよい。


役者もいい。資本主義化した美男美女はいない。
絶世の美女「西施」も、なんだかちあきなおみ?と最初は思うが、次第に何ものにも替えがたい美女に見えてくる。


越王の臥薪嘗胆は、いまや、呉を倒さんとする勢いの中にあって、それを振り返る中国の人々の心境でもあろう。
そういう中国の人々の関心によって、この地味なドラマが見られたのかも知れないが、それにしても、この芸術度の高い地味なドラマを中国の民衆がよろこんで見ているとしたら−−。


前半二十回分が一挙配信されているのを見終わり、さっそく後半のために貸しDVD屋に走った。昨夜は、最後から二番目の回を見終わり、すっかり満たされて、もったいないので、最終回は見なかった。