上脇氏による、このたびの検察審査会議決に関わるさらに詳細な雑感

さきに、上脇氏の意見を紹介しましたが、この文章では、①「議決書の作成を補助した審査補助員」の「弁護士」が
いたこと ②自称「審査申立人」についての雑感 について、詳細な感想を述べておられます。
(ちなみに、この検察審査会の委員は11名ですが、満場一致の「起訴相当」であったことは、もうご存知ですね。)


じつに有益。こういう記事が、新聞や週刊誌に載るべきなのに、いったいマスコミはどうなっているのか。


  http://news.livedoor.com/article/detail/4748810/


①の要点(議決書は、「審査補助員」なる弁護士がついていたとすれば、新米か専門外としか思えないもの
だったが、じつは大学教員、裁判官、検事を歴任したもの。しかも、所属する法律事務所が大物自民党系。)


○実は、議決書を読んだ第一印象として、「審査補助員」となって議決書の作成を補助した弁護士は、新米
の弁護士か、さもなければ刑事事件を得意としない弁護士だろうと思い込んでいた。

ところが、この弁護士は、弁護士になる前は大学の教員、その前は裁判官、その前は検事だったことを知った。
(略)
そこで、疑問が生じた。

このような経歴の弁護士が議決書の作成を「補助」したのに、何故、議決書が感情的で「情況証拠」にのみ
基づいた「起訴相当」の結論になったのだろうか、と。


○それとは別に、気になるのは、この弁護士が所属する法律事務所の「40周年祝賀会」が今年3月25日
に開催され、自由民主党総裁谷垣禎一衆議院議員ら(中井洽国家公安委員長らも)が来賓として挨拶し
ていることである。

今年3月25日といえば、東京第5検察審査会が審査している時期である。

これが審査補助員の弁護士の「補助」に影響がなかったものと信じるしかないだろうが、そのような法律
事務所にあえて就職した人物だと受けとめていいのだろうか?





②の要点(審査申立人の匿名記載は、公表のさいにはありうる。しかし、ネットで審査申立てをしたと
公言する右翼団体代表らしき人物は、どうやら自称「審査申立て人」。)


○この度の議決書を見ると、審査申立人が匿名である(「甲」と記してある)ため、審査申立人が誰
なのか不明である。

鳩山由紀夫首相の政治資金規正法違反容疑の議決書でも、審査申立人には、匿名の者が含まれていた。

小沢氏の場合には、匿名の者一人だけである。


○ところで、たまたま提供された情報によると、小沢氏につき東京第5検察審査会に審査申立てを
したとインターネット上で(氏名を公表したブログで)公言している人物がいる。

その人物は、男性で、右翼の政治団体らしき団体の代表者である。

ところが、本当にこの度の議決における審査申立人なのか、私は疑問をいだいている。


○(5)その第一の理由。
その人物は、そもそもこの事件で刑事告発をしていないようなのだ。
だが、この事件で検察審査会に申立てできるのは、「告発をした者」でなければならない。


○(6)第ニの理由。
インターネット上で審査の申立てを公言している人物は、審査申立ての受理書もインターネットで
公表しているのであるが、当該人物がブログで公表している受理書における番号は、小沢氏について
の東京第5検察審査会の議決書における事件番号と異なるのである。


後者は「(申立)第10号」であるが、前者はこの番号ではない。
この番号は、一致しなければならない。

一致しないということは、東京第5検察審査会の議決における審査申立人は、ブログで公表している
自称「審査申立人」ではなく、当該人物以外の方だろう。