日米同盟には、日本語の正文がない。町村外相と大野防衛庁長官によって、国会審議なく結ばれた。

孫崎氏インタビューを聞き、著書『日米同盟の正体』を読まれた方には、わかっていると思います
が、この日米同盟なるものについて、ブログ「Goodbye! よらしむべし、知らしむべからず」でも
わかりやすく取り上げてくださっています。二点、ここに抄出させていただきます。
また、岡田外務大臣の記者会見にいつも出席し、質問をしている岩上ツィートを付しておきます。
岡田大臣はつねに「日米同盟」としか言いいません。


http://c3plamo.slyip.com/blog/archives/2010/05/post_1726.html
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○「道具になれ、死を覚悟せよ」


日米同盟は紛れも無く軍事同盟であり、すなわち血の同盟である。


リチャード・サミュエルズ著『日本防衛の大戦略』(日本経済新聞出版社)の中で次のように書いています。


・・・・日本は安全保障の範囲を拡大すべきである、という米国の要求がこれほど大幅で必要になったのは
これまでにないことであった。米国国防総省は日本の防衛を維持すると確約しているが、本土から離れた地
域での緊急事態に日本が協力することを明確に期待している。在日米軍基地と日米同盟を世界的な安全保障
の道具として利用するのは米国の明確な意思である。



また、孫崎享著『日米同盟の正体』の中で、気を抜けないジョセフ・ナイがでてきます。


 こうした冷戦終結後の日本を含む米国アジア安全保障政策の実質的推進役になったのが、一九九四年から
九五年国防次官補の任にあったジョセフ・ナイ教授である。このナイ教授がオバマ政権発足後、真っ先に駐
日天使の最有力候補として浮上したことは極めて興味深い。オバマ政権は日本を含む対東アジア安全保障政
策を、九四年、九五年に構築された枠組みで進める意図を持っている。冷戦終結後、米国が安全保障面で日
本をどのように使おうとしたかを学ぶことは、単なる歴史的興味からではない。オバマ政権での米国の対日
安全保障政策の理解を助けるものとなる。
 米国は冷戦終結以降、日本に安全保障面で役割分担を拡大させることを主たる目標にした。日本に危険の
負担を引き受けてもらいたいという意向が強く働き始めた。危険の負担とは、露骨な言い方をすれば、海外
での自衛隊の活動で死者を覚悟してくれということである。
 国連のPKO人道支援、災害援助活動を提唱している人がどれくらいこのジアラの考えを理解していたの
か。流れはいま、ジアラらが描いた通りの動きになっている。
 今日、米国は、イラク戦争への協力、アフガニスタンへの自衛隊派遣の模索に見られるように日本に軍事
力を高めさせ、これを積極的に米国戦略の中で活用していくという姿勢が明確である。そしてこの傾向は間
違いなくオハマ政権に継承される。ではこうした流れがいつ出たか。これに日本がどう対応してきたのか。




○ことし日米安保50年です。政府は「日米同盟を深化させる」と宣言しています。


深化とはなんぞやと疑問に思っても具体的にはその内容がさっぱりわかりません。言葉だけみれば同盟をよ
り強化するとも取れます。



実はその「深化」という言葉より、もっともっと重大な事を日米両政府がサインしていたという事実です。
町村信孝(まちむらのぶたか)外務大臣大野功統(おおのよしのり)防衛庁長官がサインしています。
2005年10月29日でした。これも小泉のときでした。


 「Security Consultative Committee Document U.S.-Japan Alliance:
   Transformation and Realignment for the Future 」



これが正文です。

ちなみにこの文書には日本語の正文はありません。英語のみです。


日本の未来を大きく変えた重要な文書なのに日本語がないのです。いかにニッポン人が舐められているかが
分かろうと言うものです。アメリカにしろ、外務省にしろ、防衛庁にしろ、ニッポン国民を愚弄してます。
どうせわかりっこないから、ということでしょう。当時の新聞テレビもこの文書の本当の意味を解説した情
報はありませんでした。ですからほとんどの国民はなにがサインされたかも分からずじまいできょうまでき
ています。
かろうじて、外務省が仮訳を出していますが、あくまで仮訳であって正文ではないので、その日本語文書で
アレコレ議論してもなんの決め手にもなりません。 仮訳「日米同盟:未来のための変革と再編」


安保条約からなにがどう変質したのか。

ちなみに日米安全保障条約はれっきとした二国間の条約であり、きちんと日本語の正文があります。


① 世界のあらゆる場所、制限が外された。  ⇔ 安保条約では「極東地域」にきっちり限定されていた。
② 「日米共通の戦略」として武力行使が最前面にでてきた。その中に強制的にニッポンが引き摺り込まれる
ことになる。 ⇔ 安保条約では国連憲章を重視している。その概念は「主権の尊重」であり「武力行使の抑
制」である。



変質したのをまとめると、
自衛隊が世界のどこへでも飛ばされ、そして露払いをさせられる。もちろんそこは戦場です。


国連憲章をもないがしろにし、日本国憲法さえも無視するその考え方に、町村信孝外務大臣大野功統防衛
庁長官が易々とサインしたのです。


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付録・今日の岩上ツィート




今日の岡田外相の会見で、昨日のパッカードの講演を引用しつつ、質問した。


岡田外相、パッカードの著書は読んでおり、彼がライシャワーの補佐官だったことも知っていると評価しつつも、
昨日、パッカードが「普天間は小さな問題であり、問題を大きくした責任は米軍の軍部にある」と語ったことや、
「駐日米軍基地は縮小すべき」とした一連の発言には、触れずじまい



「米国にもさまざまな考えの方がいるでしょう。しかしそれは個人の考え」と岡田外相、にべもない。目の前の
キャンベルしか、もう見えないのね、岡田さん。。。(涙)


もう一人、名前をあげて質問。防衛研究所の柳沢協二氏。これもこの前まとめてツィートしたが、政府の曖昧な
抑止力論議に疑義を呈している人物。岡田外相、すらすらと「官房副長官補だった方。尊敬している方です」と
述べ、「そういう方が、そのように仰っているのは残念」と。


曖昧な抑止力論議のままでは国民はもっとショックである。柳沢氏は、官房副長官補だった時の経験として、
中国のコーストガードが出てきて、自衛隊を出すか、という時に、米軍がどういう態度をとるか疑問だったと、
毎日新聞で述べている。これに関して尋ねると、「コメントせず」。



私が聞きたいのは、たとえば尖閣諸島に中国軍が侵略してきたときに、米軍がまず最初に動くことはないし、
海兵隊自衛隊を差し置いて先に戦うこともない、という事実の確認である。これについては今日も岡田外相は、
「第一義的に戦うのは自衛隊である」と明言。ならばなぜ…


なぜ、岡田外相は、海兵隊をさして、即応性や抑止力などというのか。先端が開いても、すぐに動かないのであ
れば、前線との距離など、意味がない。「日米同盟〜変革と再編」で署名している通り、島嶼部では米軍は戦わ
ない、島嶼部の防衛は、自衛隊が分担しているという点を、私は繰り返し指摘。



むろん、岡田外相は反論はしないし、できない。できるわけがない。「日米同盟〜」は、防衛相、外務相の2プ
ラス2で、米国と正式に署名している外交文書なのだから。私以外にこの点を質問する記者はほとんどいないが、
大臣が「有事の際の海兵隊の即応性」だのと言うなら、何度でも釘を刺す。


自主防衛努力についても、再度聞いた。秋にも、防衛大綱の見直し論議が。日本の安全保障を論じるなら、まずは
同盟ありきで話を始めるのではなく、自主防衛ありきで始めるのが当然。何でも憲法の制約で論議を逃げるべきで
はない。実際、同盟はそんなに信じられるのかと問えば、答えに詰まるのだ。


実際、中国海軍が尖閣諸島に侵略した場合、それを撃退できるのかどうか、憲法では交戦権を認めていないが、
自衛権は認められている。この場合はどちらなのか、とも問いただした。岡田外相の回答、是非、ビデオでご確
認ください。私は釈然としない。


もちろん、「日米同盟〜」には、ミサイルも、テロも含めて、攻撃を受けた場合の役割分担が細かく規定されて
います。どんなことだってあり得ますから、それを想定して備えるのが当然でしょう。RT @nypd_y 島嶼部以外、
例えば本州に外国軍が攻めてくる事態はあるのでしょうか?


「抑止力」という概念の濫用で、国民をごまかすのはやはりおかしいですから。RT @honnosense @iwakamiyasumi
5月14日岡田外相会見にて・米軍は尖閣諸島を守らないことを再度確認〜岩上安身つぶやき編集http://bit.ly/9bJQKh


今日も岡田さんは、「日米同盟」と繰り返しておられたが。何度も言うが、同盟は日米安保とは違う。同盟を
強調しながら、沖縄に負担を押し付けることを是とするなら、普天間のみの県内移設反対運動は、嘉手納をふ
くむ米軍基地反対闘争へと変化していく可能性もある。ごり押しは反動を生む。


それなら案山子と同じ。もうばれているので、中国に対して効き目なし。案山子のためになぜ日本国民の血税
が? 役に立つものにカネは使いましょう。RT @pureblue_s 実際に動かなくても、存在することを相手が脅威
と感じるのならば「抑止力」となり得るのではありませんか? 



05年の「日米同盟〜変革と再編」は国会で論議せず、承認もせずに結ばれました。承認した覚えがないのは
もっともです。RT @SukiyakiSong @iwakamiyasumi 「日米同盟」を我々国民が承認した覚え全くなし。日米
安全保障条約なら知っている。



ですから別のものなんですって。同盟の文書を読んでください。RT @fox_sendai 「日本国とアメリカ合衆国
との間の相互協力及び安全保障条約」には「日米同盟」の「同盟」の文言が見当たりません(?-?)
@iwakamiyasumi 同盟は日米安保とは違う。



おほめいただき感謝。会見をオープン化した岡田さんの姿勢は今も評価していますよ。それと安全保障問題
論議する事はまた別です。RT @8taros 岩上安身氏は、記者会見オープン化を評価する一方で、その端緒を
開いた岡田外相には記者会見で厳しく追及する。これぞジャーナリスト。


まったく違います。名前こそ同盟ですが、水平的な関係ではなく、従属的な縦関係です。僕のHPの孫崎インタ
ビュー参照。RT @hayatama1971 同盟は双務的と考えていいでしょうか?


もちろんです。彼はおバカさんではありません。自覚的に安保ではなく、同盟と言っています。
RT @Goodbye_mgr 岡田氏わざとそうゆってるんでしょうかhttp://bit.ly/91Bcwc @iwakamiyasumi 今日も
岡田さんは、「日米同盟」と繰り返し。



もし安保だったら、国連も、憲法の制約も加わってきます。米国は、日本をイラクやアフガンに協力させら
れなくなる。同盟とは、米国が中東などにおいて軍事行動を起こすために日本を利用するための枠組みです。
同盟という名前の別の枠組みだから、憲法を超え、国連を超える行動が可能、という話。


安保とは冷戦時代の日米間の枠組みであり、同盟とはポスト冷戦時代、とりわけ「9.11」以後の世界におけ
る日米間の枠組み。同盟の意味するところは、まだ十分に理解されていない。なぜアフガンやイラクで戦争
を始めなくてはならなかったのか。テロへの脊髄反射にしては実に用意周到。


先ほど、電話で孫崎さんと話していたのですが、外相記者会見の内容を知っていて、孫崎さん、「今、世界
一面白い記者会見じゃない?」と爆笑していました。RT @Kirokuro 書店で孫崎さんの「日米同盟の正体」を
買ったので、勉強してみます。


よく考えましたね、2+2という枠組み。町村外相と大野防衛庁長官。両人ともおそらく中身を理解して
いない。RT @keita_cl .@iwakamiyasumi 憲法の制約を外れて、国会で審議されたわけでもなく、国民も知
らないうちに同盟を組むことが許されるのでしょうか?


皆さん、まずは単純に知らないと思いますよ。知ったかぶりはいますけど。説明すると現実逃避します(笑)。
RT @HplProfessor @iwakamiyasumi 既存のメディアは日米同盟を読んでいるのでしょうか。報道を見ていると、
既存メディアは見てないか、無視している感じ


結ばれたのは、ブッシュ・小泉時代です。郵政民営化を亀井さんがひっくり返したように、同盟をひっくり
返し、安保まで戻そうという政治家が現れないと。RT @taketake9833 「日米同盟」。こんなに重要なことが
本当に国会審議なしで決まったのですか?


ある意味では。RT @gurpon @iwakamiyasumi 自民党マニフェスト集団的自衛権を盛り込むようですが、
「日米同盟」上では既に集団的自衛権の議論が無意味のように思えるのですが、いかがでしょう?


それはいい(笑)。孫崎さんにお伝えしておきます。RT @hayatama1971 孫崎さんによると仮訳なんだから、
同盟(仮)というべきですね(笑RT @iwakamiyasumi もちろんです。自覚的に安保ではなく、同盟と


矛盾しますねえ。RT @taketake9833 これを読むと日米同盟と憲法は完全に矛盾するように思われますが…
RT @iwakamiyasumi: 結ばれたのは、ブッシュ・小泉時代です。郵政民営化を亀井さんがひっくり返したよう
に、同盟をひっくり返し、安保まで戻そう…