いま、消費税をあげたい裏事情・・・ブログ「世に倦む日日」より


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(略)

菅直人が消費税増税を急いでいる理由について、もう一つ重要な事実を指摘しない
といけない。それは、今年度の法人税収の回復である。(略)


菅直人増税論者のキラートークは、借金が税収を上回る財政危機であり、前年度
比9兆円の税収の落ち込みである。この事実を突きつけられて、われわれは消費税
増税の脅迫に対してホールドアップの状況になっている。


しかし、よく考えてみれば、この当初見込よりも9兆円も税収が落ち込んだ異常事
態には原因がある。それは、リーマン・ショック後の世界金融危機の直撃による経
済のリセッションに他ならない。(略)
現に企業業績はすでに好調に転じつつあり、09年度の税収は補正後の見通しを上
回ると菅直人自身が6/1に発表している。この情報をマスコミは大きく取り上げず、
9兆円の税収マイナスの水準が、今年度以降もそのまま続くかのように報道し、さ
らに政治家も、その悲観論を増幅して消費税論をプロパガンダしている現実がある。


(略)


重要な事実をもう一つ挙げないといけない。それは、今週発表される政府の月例経済
報告で、景気回復が宣言される予定になっている点である。


1−3月の日本のGDPは年率換算で前年比5%成長を達成するまでに至っており、
企業業績の回復が顕著になっている。今年度の成長率も公表値の1.4%から2%台半
ばに引き上げられる。


菅直人が、消費税を増税しても経済成長できると奇妙なレトリッ
クを言い出したのは、実はこの実体経済の回復があり、金融危機によって急激に落ち込
んだ時点をベースにすれば、確実に成長の数字を達成できるという読みがあるからだ。
狡猾な男である。


(略)

本来、民主党が消費税増税の勝負をかけた正念場のこの時期に、政府が月例経済報告で
景気回復を宣言するのは、政治的には具合の悪いことに違いない。できれば、もう少し
後に先延ばししたいはずだ。しかし、それができないほど、企業の業績が回復し、指標
を悪く捏造できない段階まで実体経済が好転しているのである。




政府がこうして景気回復宣言をした以上、企業も儲かっていませんとは言えない。
法人税を払わざるを得ない。すると、間違いなく今年度の法人税収は予算額を超えて大幅
増収となるはずだ。


そうなった後では、消費税増税を国民に脅迫する財政危機の事実がなくなるのである。
財政状態は景気回復で改善されてしまうのだ。だから、今のうちに、財政危機の脅迫で国
民を騙せるうちに、素早く消費税増税を決めてしまおうと急いでいるのである。


(略)


菅直人の政権と政策を新自由主義だと性格規定できるかどうかは、今後の政策過程を見る
前に、党と内閣の人事を見れば明らかである。人事こそ戦略だ。(略)


最後に、ブログでは何度も何度も繰り返して論じていることだが、民主党の結党以来の
「基本政策」が、そもそも新自由主義の路線と性格を色濃くしている点に注意をいただ
きたいと思う。


そこには、具体的にこう書かれている。「自己責任と自由意思を前提とした市場原理を貫
徹することにより、経済構造改革を行う」。「規制改革を長期的経済発展の基本と位置づけ
、経済的規制は原則廃止する」。「金融機関の自己責任と市場原理に基づく競争を原則と
する」。


これらの文言を見ながら、小沢一郎が代表になって以降の「国民の生活が第一」の路線とは
相当に異なる事実に誰もが気づくし、これでよく国民新党社民党と連立できたものだとい
う感想を持つだろう。


政治に詳しい方はすぐにわかるが、この「基本政策」を小泉純一郎竹中平蔵がパクったの
だ。パクって、自民党の基本路線に据えたのである。民主党新自由主義の方が先なのだ。
先に自民党の方に取られて政策化されたのである。



第三の道」などと言っているが、実際には菅直人の政策も、この民主党の基本政策も
「第二の道」である。新自由主義構造改革だ。騙されてはいけない。


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小沢一郎が、民主党を「国民の生活が第一」の党に変え、小泉竹中路線の格差社会に悲鳴
をあげはじめた国民が民主党を昨秋選んだ、というのが、この間の経緯なのでした。