このブログ記事と、朝日社説とを、比較してみてください。

もと新聞記者だったらしい方のプログ「世に倦む日々」氏の記事。
この方は、昨春は、徹底的小沢嫌いでした。


同じお金を払うなら、どちらがそれに値するか。
じっくりと読み比べてもらいたいものです。


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http://critic6.blog63.fc2.com/blog-entry-364.html
小沢一郎の代表選出馬を歓迎し支持する - 政策軸の対立こそ本質


小沢一郎の代表選出馬に対して、マスコミは大義なき抗争だとか国民不在
の権力闘争だと矮小化して貶めているが、これは菅陣営と一体となったマ
スコミによる根拠のないプロパガンダである。本当は、まさに政策こそが
争点になっているのであり、対立は政策路線の相違によって生まれている。


マスコミが政策の対立軸に焦点を当てて代表選を報道しないのは、その本
質を隠蔽するために他ならない。小沢一郎を権力の亡者の如く仕立て上げ、
小沢一郎への国民の反感をテレビで焚き付け、小沢叩きの世論を燃え上が
らせて、1年生議員の票を菅直人に流し込むためだ。実際には、信義を欠
く無用な抗争を仕掛けているのは、小沢一郎の方ではなく菅直人の方では
ないか。事実認識を誤ってはならない。


代表選を避けようという意思があるのなら、菅直人が人事で挙党態勢を配
慮し、政策を昨年の政権交代の原点(鳩山マニフェスト)に戻せばよかった。
参院選で大敗した菅体制は権力続行の正統性を失っていて、本来なら代表
辞任が当然であり、それができないのなら、官房長官・幹事長・政調会長
一新して責任をとり、新体制で出直すのが道理だったのである。


挙党態勢を拒否し崩壊させているのは菅直人の側で、小沢一郎を屈服か出馬
かの選択に追い詰めたのは菅直人の方だ。


その狙いは、代表選に小沢一郎を誘き出し、政治生命を断つためで、
国民の生活が第一」の政策を破棄する根拠と前提を得るためである。  




菅直人の政策は、小泉・竹中の「構造改革」を引き継ぐ新自由主義の路線
であり、財務省中心の官僚主導を基軸とするもので、これは鳩山マニフェスト
の理念を真っ向から否定するものだ。


民主党の議員の多くは、4年前からの「国民の生活が第一」の政策へ支持を
国民から受けて当選を果たした者たちであり、彼らが菅直人背信と変節に
不信感を持ち、党の現状に危機感を覚えるのは無理はない。


菅直人は路線を転換した。党機関での事前調整もせず、財務官僚と謀って
消費税増税に踏みきり、それを議員の頭越しに参院選の選挙公約に据えた。


参院選民主党が負けたのは、昨年の衆院選で国民に約束した4年間増税
据え置きの公約を裏切り、国民の怒りを買ったためだが、選挙敗北後も菅
直人は消費税増税を撤回していない。おそらく代表選に勝てば、また消費
増税を言い始めるだろう。


鳩山マニフェストは官僚主導政治からの決別を強く打ち出していて、天下
りの根絶が謳われ、特別会計を含めた予算のトータルな見直しで新財源を
捻出することが公約されている。


しかし、菅直人天下りを認めて政治主導を骨抜きにし、予算編成は財務
官僚に唯々諾々で丸投げされ、特別会計には手が付けられなかった。


財務官僚とマスコミが振りかざす財政再建の論理ばかりが予算を支配して
いる。その結果、「国民の生活が第一」が後退させられ、政策着手が棚上げ
されている。自民党時代の官僚支配に逆戻りしていて、政治主導は空文化の
極みにある。




先日(8/18)、菅直人パソナ南部靖之ら人材派遣会社のトップと会食
をする一幕があった。この報道には驚愕させられたが、鳩山由紀夫が首相で
あれば、このような場面はあり得なかっただろう。


麻生太郎が首相を続けていても、人材派遣会社のトップと親密に会食して
報道で発信させるなどという妄動を思いついたかどうか疑わしい。
この行為は、派遣労働者を含む全ての非正規労働者を敵に回す最悪の暴挙だ。


昨年の総選挙は雇用問題が争点になった選挙だった。鳩山マニフェストでは、
製造業への派遣禁止と日雇・スポット派遣の禁止が公約になっている。
菅直人が派遣会社のトップと懇親するということは、マニフェストで公約した
派遣労働の規制強化を方針転換し、それを放棄することを態度でメッセージ
するもので、非正規労働者に対する悪質な裏切り行為に他ならない。


この席で菅直人は、「若者たちが夢を持てるよう頑張りたい」と発言したと
言われている。若者たちの夢を奪い、生活と将来を奪い取っているのが、
懇親した相手の人材派遣会社ではないか。


小沢一郎は4年前に代表に就いた後、経団連など経済団体との接触を断ち、
連合との蜜月関係の構築に専念し、民主党が資本ではなく労働寄りの政党で
ある姿勢を強調した。民主党が選挙で連勝して政権を獲得できたのは、その
路線のシフトが明確だったからで、「構造改革」で痛めつけられた労働者や
地域経済の立場に立ったからである。




普天間問題についても、小沢一郎菅直人は同じではない。普天間基地
県外国外移設を求めて動いた民主党議員の一団があったが、多くは小沢派
所属あるいは小沢支持の面々である。川内博史がそうだ。



普天間問題を含む安保外交政策で、党内で最も親米盲従なのが菅直人の一派
であり、その次が鳩山由紀夫で、米国との間に距離を持つのが小沢一郎という
構図になっている。


この政策事実について、社民党共産党はもっと注意して内在的に見るべき
で、政策だけを純粋に捉えれば、社民党小沢一郎支持を言っていい立場と
思われる。


単に「政治とカネ」の世論に迎合する論理で、小沢一郎の出馬を頭から非難
する志位和夫の主張は頷けない。端数政党が保身の動機でマスコミに阿って
いるだけだ。こうした原則論に依拠した小沢批判は、結果的に小沢潰しを図
るマスコミに利用され、小沢一郎が包摂する政策の中身までを潰すことにな
る。


政治倫理は重大な問題だが、小沢一郎と検察の攻防については、政治倫理の
問題を超えたところで検察の政治暴走と権力濫用の契機があり、その点を
視野に入れて全体を判断する必要がある。


同じく、民主党内の旧社会党Gとか江田五月小沢一郎ではなく菅直人
担ぐのは、政策軸的には明らかに逸脱した本末転倒の行動だろう。
政策を吟味した上で菅直人につくのなら、それは横路孝弘ら旧社会党Gの
集団転向を意味する。




菅政権の新自由主義路線への旋回に危機感を抱く者、官僚主導政治への回帰
に憤懣を覚える者、普天間を始めとする安保外交政策で親米盲従から脱出す
る必要を感じる者は、小沢一郎の代表選出馬を歓迎して支持するべきだ。


菅直人の政治と政策は、基本的に小泉純一郎麻生太郎と同じで、政権交代
の意味を失わせるものだ。この3か月間の菅直人の政治は、鳩山マニフェスト
を根本から否定し、党の政策を自民党とコンパチブルに転換させるものである。


だからこそ、菅直人は官僚とマスコミに歓迎され、マスコミ報道で「支持率」
を回復させてもらっている。われわれが言わなくてはいけないことは、小沢
一郎に対する悪感情の多数世論はマスコミによって意図的に作り上げられた
もので、検察とマスコミの連携権力によって醸成された政治環境であるという
事実である。


その目的は、小沢一郎の政治生命を抹殺することであり、小沢一郎の包摂
する政策を殲滅するところにある。鳩山マニフェストを葬り去るために、
繰り返し執拗に小沢叩きをテレビで流し、小沢一郎金正日と同じ悪魔表象
に仕立て、国民に小沢一郎への憎悪を扇動しているのである。


もしも小沢一郎新自由主義の政策を掲げ、官僚の特権と省益を保護し、
自民党と同じ政策路線の政治家であったなら、マスコミはバッシングせず、
検察も捜査をしなかっただろう。小沢一郎が「悪の象徴」なのは、小沢一郎
が官僚と財界と米国にとって容認できない政治悪だからだ。




この選挙で菅直人が圧勝するような事態になれば、間違いなく年末の党税
調で消費税10%(場合によっては15%)増税が決定される。労働者派遣
法改正は現在のままの形では上程すら見送られ、逆に業界の要望を汲んで
改悪されて国会で可決されるだろう。


仙谷由人枝野幸男玄葉光一郎が政策を決めれば、そういう法案になる
のは当然で、自民党みんなの党の賛成票も入る。道州制、外国人移民、
自衛隊海外基地、憲法改正と、自民党政権が積み残した課題を強力に片づ
ける恐怖の政権になるだろう。


国民は間違いなく不幸になる。マスコミが報じているとおり、この代表選
は総理大臣を選ぶ選挙であり、国民生活が懸かった重要な政治戦に他なら
ない。党員でない一般国民のわれわれには投票権はないが、この選挙が生
活に直結する以上、傍観者でいられるわけがないし、自分自身の生活を守る
ために積極的に参加を試みる必要がある。



選挙が小沢一郎に有利になるように言論活動しなくてはいけないし、一票でも
多くの票が小沢一郎に投じられるべく、ネットの政治世論を喚起しなくては
いけない。マスコミのプロパガンダに反撃し対抗する言論力を作らなくては
いけない。


敗北したとしても、小沢派が党内に止まるにせよ、外に出るにせよ、新自由
主義に反対する政治勢力を可能な限り大きくして、影響力を行使できるよう
結果を出させる必要がある。党を割る結果になってもよいのだ。


なぜなら、今の国会には野党の存在がないから。新自由主義の政策遂行に歯
止めをかける野党を創出することを考えれば、小沢一郎の出馬は国民にとっ
て福音だ。




4年前、偽メール事件の後の代表選も、小沢一郎菅直人の一騎打ちだった。
そのとき、ブログは3年目に入っていて、私は左派の菅直人を応援する立場
だった。あの代表選では、おそらく前原誠司野田佳彦も、小沢一郎に票を
投じたはずである。


まさか4年後に、このように政策的に両者がスイッチした位置と構図になる
とは想像もしなかった。小沢一郎は次第に左に寄り、菅直人は劇的に右に転向
した。


私は、4年前からの「国民の生活が第一」への政策転換は、てっきり代表代行
菅直人が手綱を握っているものと思い込んでいたのである。前原誠司が退け
られ、そこから民主党の掲げる政策の標語と性格が変わり、従来の新自由主義
色が薄れ、都市型一辺倒だった姿が変容を遂げた。弱者に政策の手をさしのべ
る国民政党に変わって行った。


しかし、実際には、それを主導していたのは小沢一郎だった。人は変わる。
政治家も変わる。亀井静香がこのような政治家に化けるとは、10年前には
思いもよらなかったことだ。


政治家の出自や来歴は重要で、どのような信念と思想を持ち、過去の場面で
どう行動したかの実績は無視できない。政治家を評価する上での決定的な要
素である。


だが、それ以上に重要なのは、彼の現在の政策の中身だ。国民の生活と将来
に直結する政治要件は、過去ではなく現在の政策なのだから。


3年前、小沢一郎福田康夫と取引して、自民党と大連立に動いたとき、
私は他の誰よりも峻厳苛烈に小沢一郎を批判した。それは間違っていたとは
思わない。



しかし、小沢一郎の現在が予測できなかったのと同じく、菅直人の現在が
予測できなかったことを反省すると、政治の判断としては、過去の事実や
情報は、時間の経過の中で相対化されるものだと言わざるを得ない。

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(有料ですから、どこかで省略しなければならなかったのですが、できま
せんでした。どうか、心ある氏は、これを見本としてごらんになって、
有料登録してください。)