小沢弁護団の言い分・・・・by しなたけしのブログ

感情的な小沢嫌い、枕詞の小沢嫌い、こういう先入観をふりまく言説はうんざり
です。理性によって判断したい。・・・というと、高みから法律をふりまわす学者
のブログなどにもぶちあたり、そういうことでもないんだよな〜と、虫けら国民の
一人であるわたしは困ってしまう。


さて、新聞テレビはもちろん、ネットニュースにおいても、あまりにも「非対照的
な」報道が繰り返されている小沢問題について、小沢弁護団の記者向け発表文を見
つけたので、ここに掲載しておきます。


しなたけし氏は、民主党衆議院議員です。そのブログより。
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http://shina.jp/a/activity/3353.htm
最高裁憲法解釈を問うー小沢氏弁護団

By しなたけし • 2010年10月27日


(以下は、先ほど公表された小沢氏弁護団によるプレスリリースです)

小沢一郎弁護団は,検察審査会による起訴議決の執行停止及び東京地裁による指
定弁護士の指定の仮の差止めの申立てを却下した東京地裁決定に対し,平成22年
10月21日,即時抗告を行いました。


しかし,翌22日,東京高裁は,実質的な審理を経ないまま上記地裁決定をほぼ踏
襲する内容で即時抗告を棄却し,同日,同地裁は,かねてより当弁護団から起訴議
決に無効事由があるため指定弁護士の指定を見合わせるよう要請していたにもかか
わらず,指定弁護士を指定しました。


弁護団としては,このような下級審の対応を到底容認することはできず,起訴議
決及び指定弁護士の指定につき効力停止を得るため,本日,最高裁に特別抗告と許
可抗告を行いました。特別抗告は違憲を,許可抗告は法令解釈上の重大な誤りを根拠とするものであります。ただし,理
由書の提出は追って行うため,以下の内容は現時点で予定しているものです。


高裁による棄却理由は,起訴議決及び指定弁護士の指定の違法ないし無効は,刑事
裁判で争えば十分だと言う点に尽きています。
つまり,起訴議決は,検察官による起訴や裁判所による付審判決定に準ずるものであって,手続が進行し後に刑事訴訟の中でこれらの違法を争うことができることを前提にしつつ,本件のように刑事訴訟とは別に行政訴訟の場で起訴議決の無効等を争うことは,司法権の運営の機能性,効率性を害し,また,二重の司法チェックをすることになり,二つの訴訟制度が矛盾・重複する恐れがあるとしました。


しかし,まず,本件起訴議決のように,重大明白な違法があって無効とも言える極
めて例外的な場合には,検察審査会による起訴議決を法的仕組みが著しく異なる検
察官の起訴や付審判決定と同視した考えを前提とした上記のような議論は,当ては
まらないものと考えます。


また,少なくとも,現実に起訴され,刑事訴訟が係属しない限り,行政訴訟との重
複や司法権運営の効率性が害されるおそれが生ずることはありません。起訴議決と
指定弁護士の指定の違法性について司法判断を求めている本件では,起訴以前の段
階で,二つの訴訟制度が矛盾・重複するわけはなく,むしろ起訴議決の取消判決が
確定すれば,本来無用の刑事手続を進める必要がなくなるのです。


さらに,本件では刑事訴訟の主題である犯罪構成要件事実の有無を争点としている
のではなく,陸山会が申立人から4億円を借入れていたとの事実について強制起訴
に必要な二度の議決がなされていないという,検察審査会の権限逸脱を争点として
います。この争点につき行政訴訟で司法判断がされたら刑事訴訟で蒸し返すことは
できないと考える限り,二重の司法チェックとはならないはずです。


加えて,刑事訴訟のみを認めるなら,起訴議決の重大な瑕疵以外に犯罪事実の有無が争点とならざるを得ず,審理の中で起訴議決の重大な瑕疵が認められれば,他の通常の刑事手続は全く無駄な手続となります。したがって,起訴議決の手続上の重大な瑕疵を争点とする行政訴訟を先行させる方が制度運営としてかえって効率的と言えます。



今回の下級審の言うように,起訴議決の重大な
瑕疵を刑事手続でしか争えないとすると,救済が遅れ,申立人に重大な不利益(犯
罪事実の有無に関する審理,捜査,逮捕,取り調べの精神的,肉体的,経済的負担
など)を及ぼしかねません。本件の起訴議決の権限逸脱の主張は,今後真相が明らかになるであろう犯罪事実の有無に関するものではなく,すでに成熟している争点に関するものです。後の刑事手続まで待たせ,その手続でしか争えないとする理由がありません。



以上述べた点は,先例もなく,行政訴訟の処分性,刑事訴訟と行政訴訟の役割分担という重要な問題に関する法解釈であるため,許可抗告事由に当たります。
そして,起訴議決に看過し難い無効とも言える重大な瑕疵があるにもかかわらず,起訴議決,指定弁護士の指定の違法ないし無効を一切行政訴訟で争わせないとする原決定は,適正手続の保障(憲法31条)及び裁判を受ける権利(憲法32条)に違反する誤った解釈であり,特別抗告事由にも当たります。最高裁判所が当弁護団の主張を汲み入れ,賢明なるご判断をなされるよう期待しております。





「起訴議決」と「起訴」は異なるー小沢氏弁護団
http://shina.jp/a/activity/3409.htm
By しなたけし • 2010年11月13日


(以下は、昨日公表された小沢氏弁護団のプレスリリースです。)


去る10月27日小澤一郎氏は,東京第五検察審査会の行った起訴議決及び東京地方裁
判所が行った指定弁護士の指定につき効力停止を得るため,最高裁判所に特別抗告
東京高等裁判所に抗告許可の申立てを行ったところでありますが,本日,その理
由書を当該裁判所に提出しました。


東京高裁の原決定は、起訴議決及び指定弁護士の指定の違法ないし無効は,刑事裁
判で争えば十分だという点に尽きていますが,その前提として,起訴議決は,検察
官による起訴や裁判所による付審判決定と同視しうるものとする誤った判断を行っ
ています。


そこで,当弁護団は,本件理由書の冒頭部分で,検察審査会の設置趣旨や組織構成,また,起訴議決の法的性質を仔細に考慮すれば,それは刑事手続に先行する、民意を反映するための行政機関による判断であって,正に行政訴訟の対象たりうる処分に当たることを論証しています。



さらに,指定弁護士の指定についても,裁判所による裁判ではなく,弁護士会から推薦された弁護士を指定弁護士として,客観性・公平性の高い組織としての裁判所が単に検察官役の任命を行う行政処分に過ぎないことも論述しました。


その上で,本件特別抗告等を申立てた当日にプレスリリースしました「最高裁で争う理由」(10月27日付)と題した書面に記述した各論点について,適宜判例を引用するなどして多角的に,かつ,詳細に検討して,刑事裁判で争えるからといって,それまで法的救済が受けられないと解すべきでなく,行政訴訟手続において成熟している争点として、行政訴訟の基本理念であり、憲法32条からも要請される権利救済の実効性を確保する観点から、早期に実体判断の対象とされるべきであることを論述しています。



しかも、これは,検察審査会の強制議決、指定弁護士の指定の法的性格に加えて、刑事手続と行政訴訟との役割分担如何という,重要な法解釈問題であるから、最高裁への抗告を許可すべき事由に該当することを主張しています。



さらに,それらの主張が認められないとすれば,裁判を受ける権利の実効性を保障する憲法32条に違反することになること,また,検察審査会の起訴議決は,2度の議決を要するが,「陸山会が小澤一郎氏から4億円を借りたことを政治資金報告書に記載しなかった」とされる事実は,最初の議決の犯罪事実として記載されていないので,2度の議決がなされていない点において,憲法31条の要請する「適正な」手続とは評価できないことからして,本件起訴議決は違憲であり特別抗告事由に当たることを主張しています。

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これで、ようやく「特別抗告」と「許可抗告」の意味がわかった。
ニュースは、この二語のみしか報道しなかった。