与党でたった一人のサムライ・村上誠一郎議員

サムライ、なんて言い方は好まないけれど、少し煽りたい。
以前から話題になっていた自民党村上誠一郎議員。


http://iwj.co.jp/wj/open/archives/148766
2014/06/27 集団的自衛権、「最終的には、徴兵制も視野に」 自民党村上誠一郎議員が解釈改憲を真っ向批判


http://blogos.com/article/89500/
2014年06月30日 11:54集団的自衛権自民党で一人反対、村上誠一郎議員が会見
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6月27日、自民党村上誠一郎衆議院議員外国特派員協会で会見を行った。村上氏は、集団的自衛権の行使容認に向け公明党との協議を続ける自民党内にあって、一人、異議を唱え続けているほか、特定秘密保護法にも反対していたことで知られる。


村上氏は与党協議について「重箱の隅をつつくような話で調整し、同意できたところから突破しようとしている」と指摘、「『自分の国が攻められていないのに、なぜ戦争をするのか』という命題に正々堂々と、正面から国民に答えるべきだ」とし、邦人を米艦に載せるというような"レアケース"を出してきて行使の必要性を説明するのは詭弁だと批判した。


さらに、「先人たちが築いてきた、"日本型ブランド"の平和主義を180度転換する意味があるのか。吉田茂さんや岸信介さんは、経済再生のため、日米安全保障条約憲法9条によってできるだけ防衛費をかけなくて済むようレトリックとして使ってきた。残念ながら、お二人のお孫さんたちは、そのお爺さんたちの気持ちを斟酌できていないのではないか」と、皮肉めいた発言も。

村上氏によれば、多くの議員や官僚たちも自らと同じ考えだが、「内閣改造を示唆されていて、人事をちらつかせられたら何も言えない。」「官僚の600の幹部ポストは内閣人事局に握られることになった。官僚は一度左遷されれば戻ってくることはできない」などの理由から反対の声が上げられない状況にあることを示唆した。


村上氏の冒頭発言

中略


30年近く国会議員をやらせて頂いていますが、今回の問題はどうしても単純に認めるわけにはいかないので、特に憲法、法律の関係についてご説明いたします。まずこの解釈変更による集団的自衛権行使容認の問題点は、三権分立立憲主義に違反するのではないかということであります。


安倍さんは予算委員会で"私は内閣の最高責任者である、だから内閣の一部局である内閣法制局長官憲法の解釈についても、自分が責任を持つ。だから内閣法制局による憲法の解釈の変更によってできるんだ」という意見を言っておりました。


残念ながら、それは私は間違いだと思います。
憲法解釈の責任の所在、法解釈の権限は裁判所、すなわち司法、最終的には最高裁判所にあります。立法府=diet、行政府=governmentがやることは、最高裁違憲だと判断されないような法律をつくり、そしてまた解釈し、運用することであります。閣議決定で解釈を変えて。それに基づいて自衛隊法などを改正するということは、下位の法律によって上位の憲法の解釈を変えるという禁じ手、やってはいけないことだと私は思っています。


そして、内閣の一部局である内閣法制局は、そもそも内閣の法律顧問として、行政内部から政策を法的にささえ、憲法の番人として一貫した法解釈を示し、歴代政権も、その見識を重んじてきました。本来内閣法制局は法律的良心に従うべきで、何が政権にとって好都合かという姿勢で、その場しのぎの無節操な態度を取るべきであはりません。


そもそも今回のこの議論が混乱した原因は、亡くなられた小松前内閣法制局長官が、本来ならば法律顧問として止める立場にあったのにも関わらず…ちょっと例がいいかどうかはわかりませんが、相撲の行司役の人が、自ら回しをつけて土俵に上がってしまった、ということから始まったと思っています。その証拠に、阪田雅裕氏、その前の秋山收氏など、歴代の法制局長官は今のやり方について異議を唱えています。ですから、そもそも安倍さんがインティメイト・フレンドの小松氏を法制局長官に据えた時から、この問題が起きてきたんだと私は考えています。


それからもう一つ。立憲主義とは国家の役割は個人の権利や自由の保障にあると定義した上で、憲法によって国家権力の行動を厳格に制約するという考えで、日本国憲法の基本原理だと考えています。1930年代にドイツにおいてナチスが全権委任法を議会で通すことによって民主的なワイマール憲法を自主的に葬り去った歴史があります。


安倍さんは憲法は不磨の大典だとおっしゃっていますが、私は主権在民、平和主義、基本的人権の尊重は変えてはならないものだと考えています。もしこのような方法で突破することがされたとすれば、いつか主権在民基本的人権の尊重まで侵される危険があると心配しています。このように憲法の基本原則が機能しなくなり、憲法が有名無実化されたら、私は立憲主義が崩壊する危険性があると心配しております。


みなさんご高承のように、内閣はいくらでも変わるものであります。
内閣が変わるたびに憲法の解釈が変わり、法律が変わることになれば、法の安定は根本から覆され、法治国家としての体をなさなくなると考えております。例えば、共産党さんや社会党さんになれば全部ひっくり返すでしょうし、同じ保守党の中でも、総理が変わればひっくり返る可能性があります。


集団的自衛権とは、自分の国が攻撃されていないのにも関わらず同盟国や近い国が攻撃されたら戦争するということであります。
憲法9条戦争放棄と戦力不保持を定めていて、自衛権の発動による武力行使は、我が国への武力攻撃があったとき、他に適当な手段がない場合に必要最小限度で認められていることであります。その必要最小限度をいくら緩めたところで、我が国への直接攻撃が無ければは、武力攻撃はできないと私は考えております。


ですから憲法に書いていないことを行わなければならない、集団的自衛権の行使がどうしても必要というのであれば、正々堂々と憲法改正を主張し、徹底的に国民に説明をし、議論をし、憲法の改正するかどうかは最終的に国民の判断に委ねるしかないと考えています。
私はそれが民主主義だと思っております。 良く最近言われるのは、日本がアメリカに見捨てられるから、日本国民の若者の血を流さなければいけないとか、国際情勢の変化だから必要だという意見があります。それは私は間違いだと考えております。日本がアメリカに出している思いやり予算は、はじめ60億円程度でしたが、今は2,000億円近くになっています。


それから安倍さんのお爺さんであった岸信介さんが言っていたのは、日米安全保障条約は片務条約であるけれども、これだけアメリカに基地を提供しているということは、双務条約に等しい、と。要するにアメリカの最終ラインがきちっと出来ているわけです。これを全部はずして一からやり直すということは、アメリカにとっても大変な経費がかかるわけです。 だから、日本とアメリカと今以上の緊密な仲になるのであって、日本が見捨てられるとは考えていません。


それからもう一点、尖閣諸島が緊迫した情勢になった理由は二つあると思っておいます。
一つは、石原慎太郎氏が14億円を集めて、野田首相に国有化しないのは君たちの責任だと煽り立てて、最終的に野田さんが着地点も考えずにやってしまったこと。
もう一つは、安倍さんが、アメリカのバイデン副大統領や皆から中国や韓国と上手くやってくれと頼まれているにも関わらず、靖国神社に行ってしまったこと。
私は石原さんや安倍さんがやったことに対しても、やはりきちっと反省すべき点があるんではないかと思います。


実は私も、母親の兄貴がビルマで戦死して、靖国に祀られています。私も他国から言われるのは嫌です。しかし、公の立場に立った人間は、自分の感情だけで、物事を判断してはならないと考えています。以上です。

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そして、今日は、IWJの岩上安身によるインタビュー。
七月六日までustreamを無料公開だそうです。必聴です。
国会議員の質のひどい劣化。倫理的な劣化。まずそれを語っています。
日本のあらゆる場所で、これはすすんでますね。
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http://iwj.co.jp/wj/open/archives/150285
2014/07/04 「たとえ一人でも、やらないといけない」集団的自衛権行使容認に反対した自民党村上誠一郎衆院議員に岩上安身がインタビュー 時折涙を見せる場面も


全国で違憲訴訟が起こる可能性

 今回の閣議決定を受け、秋の臨時国会では、集団的自衛権行使に向けて、自衛隊法の改正を含め、十数本にわたる関連法案が提出されると見られている。しかし村上議員は、これから全国の地方裁判所で、集団的自衛権に関する違憲訴訟が相次ぐだろうと指摘する。


自民党の変質〜「為政者としての謙虚さ」が欠けている

 村上議員は、特定秘密保護法強行採決集団的自衛権行使容認の閣議決定など、極めてタカ派的な外交・安全保障政策が、なかば強引なかたちで次々と決められている理由について、自民党の「変質」をあげる。


「(自民党からなくなってしまったのは)為政者としての謙虚さではないか。人事で抑えこむのはよくない。かつては、そういうことを自重している人が上にいたから、自由闊達な議論が行われていた。最近、党内の部会に行っていても、問題点がどこまで分かっているのかと考えさせられてしまうことが多い」


亡き父の教え「自衛隊員に死傷者を出すな」


 愛媛県今治市出身の村上議員は、中世に瀬戸内海で活動した村上水軍の末裔である。また、父親の村上信二郎氏は元防衛庁審議官、伯父の村上孝太郎氏は大蔵省事務次官を務めたトップ官僚である。村上議員はインタビューの中で、父の信二郎氏から言われた言葉に触れ、涙を浮かべながら次のように述べた。

 「親父が死ぬまで行っていたのは、防衛予算は少なければすくないほどいい、ということ。それから、自衛隊員に絶対に死傷者を出すな、と。

 私には分からない。防衛庁長官をやった人たちが、自分より40も若い人たちを行かせるのに、いとも簡単に、地球の裏側にまで行ってもらうんだと、そういう惻隠の情のないことを言えてしまうのかと。私には、分からない」
 今回の集団的自衛権行使容認の閣議決定をめぐり、自民党内部で孤軍奮闘した村上議員。「自分こそがミスター自民党だ」とも語り、「生きている間は、正論を言わせてもらう」と力を込めた。

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40も若い人にどうしてそんな惻隠の情のないことを言えるのかと、そこで熱い涙が溢れました。
この人には、自衛隊員の一人一人の顔が見えている。
「勝ち馬に乗るだけが政治じゃない」。後の世代に、たった一人でもこのような生き方をすることで
背中を見てもらわなければならない。
わたしも、こういう生き方をしたい。



今日も、中国がせめてきたらどうする、なんて、短絡的な意見を聞きましたが、
ほんとうの政治家の意見というものがどういうものか、ということを、こういう村上議員の話を聞いて
知るべきですね。



ついでに、以下のドイツの記事。新宿焼身自殺報道に関する日本のメディアの異常を伝えています。
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http://tkajimura.blogspot.jp/2014/06/nhknhkahk.html?spref=tw
2014年6月30日月曜日


257:ドイツ紙がこぞってNHKの集団自衛権抗議の焼身自殺報道の欠落を指摘/報道不作為で自殺したNHKAHKである/追加あり
 6月29日の新宿での集団自衛権抗議の焼身自殺事件は、海外でも広く報道され、 それらの→ロイターに続いてイギリス公共放送→BBCが電子版で報道、同内容の動画もつけて速報しました。いずれも、集団自衛権に抗議するものだとの証言をとりあげ、安倍晋三内閣の平和憲法を守るといいながらそれを破棄する「二重基準」のごまかしを指摘するものです。


 それらの中でも、ドイツの→ハンデルスブラット紙の東京特派員が、電子版で「日本の新たな安全保障政策に対する焼身自殺」との見出しと、「日本の首相は第二次大戦後に定着した平和憲法という日本の安全保障政策の基軸を揺さぶっている:これが東京で悲劇的抗議を呼び起こした」との小見出しで詳しく報道しています。


 最初の記事では、日本メディアの報道に関して以下のように伝えています。:
ただし、電子版の差し替え記事では削られていますので、その部分を保存のため訳出しておきます。

ドイツ語原文略


 日本の諸メディアは、極端な遅滞でこの驚くべき事件に取りかかっている。公共放送のNHKにいたっては、19時の主要ニュースで事件を全く報道しなかった。理由は判らない。
 ところが、はっきり判っていることは、この放送の新会長が就任時に、放送では政府批判をしてはならないと述べたことだ。この氏名不詳の抗議者が対抗しようとする新しい安全保障政策は安倍晋三首相の長年の主要なプロジェクトである。これは何十年も効力を持った日本の安全保障政策の柱を倒すことと同じなのである。

続けて保守紙の→ディ・ヴェルト紙の同じく東京特派員が、これについて以下のように伝えています。その部分は以下のとおりです。見出しは「日本の再軍事化へ焼身自殺」です。-------------------------------------------
英語原文略


 焼身自殺は日本では非常に稀である。にもかかわらず公共放送のNHKは19時の主要ニュースで報道をあきらめている、すなわち事件から5時間後にである。この放送の中立性については、ここ数ヶ月間に疑いが増加ししつつある。ここ半年間、安倍首相によって個人的に選ばれた人物によって指導されているのである。

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まるで自殺したのはNHKであるとの印象が得られます。
 以上のふたつの新聞は、日本でいえば日経と読売のようなものです。ドイツでは保守であればこそ、メディアの中立性に厳格であることが、ここにも現れています。どちらも明らかに深い懸念を示しています。もはやAHK(安倍放送協会)と呼んだ方が相応しいでしょう。
 

また、中道左派の南ドイツ新聞と双璧の中道右派フランクフルター・アルゲマイネ紙が、NHK問題を→「政府放送局である」と厳しく批判したことは2月にすでに伝えたとおりです。 同特派員は→今回も電子版で詳しく現場情報とともに、集団自衛権を特に高年齢の日本人が懸念していることをこのデモの写真を加えて、日本のメディアはツイッターなどのソーシャルメディアに遅れて伝えたと報告しています。


 事件の背景がこの時点ではまだ明らかでないにせよ、集団自衛権への抗議行動であるとの証言は明確といえます。NHKは公共放送としての資格を完全に放棄してしまっていることがこれで明らかです。 視聴料詐欺行為どころではなく、不作為罪に当たります。NHKはこの焼身自殺報道を無視したことによって自殺したのです。


以上は6月29日。以下30日に追加します: スイスのドイツ語主要紙であるノイエチューリヒャー紙は東京から→「安倍の計画への抗議・東京で焼身自殺」と伝えていますが、その中でNHK以下の日本の大メディア全体を批判しています。その部分だけを訳出します。日本の大メディア内部の雰囲気を伝えている珍しいものです。

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ドイツ語原文略


  喰いつきにひるむメディア


新宿は東京で最も往来の多い駅出あるので、自焼行為は何百人にも目撃された。直ちにソーシャルネットワークでは無数の画像とコメントが現れた。それに反して古典的なメディアでは、極端な形の抗議をほとんど伝えていない。公共放送NHKは国民的な夕刻のニュースで焼身自殺について全くふれなかった。NHKは政府に取り入ろうとしていると長い間批判にさらされている。大メディアは全般的に安倍のやり方に強く疑問を呈することにひるんでいる。ひとりのジャーナリストは、彼の編集部では、この問題は誰も拾おうとはしない火中の栗であると打ち明けた。彼はこの発言を決して氏名を挙げて引用してほしくないと望んでいる。
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 さらにニューヨークタイムス紙は29日付で、→「抗議者が自焼」と現場の様子を報告していますが、何と記事では次の映像をリンクしています。日本の大メディアでは絶対にできない報道です。(実はわたしも昨日これを見ていましたが、残酷ですのでブログ引用は避けていました。)これで世界中が現場の実像を見ることになります。知らぬはNHK以下の日本のテレビの視聴者だけとなります。

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ニューヨークタイムズのリンク映像は、先日、ここに貼付けた映像です。
日本がガラパゴス化していることを知らなければ。
報道状況が、勝った勝ったの戦争中と同じになっていっている。