イスラミックセンタージャパンの声明&田中宇さんの分析

同志社大学内藤正典教授のツィートです。

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身代金要求ビデオに対する日本国内の反応を、犯行グループは必ずフォローしている。
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こういう事件に際して、マスメディアが注意すべき点。人質事件は人質解放という一点に焦点を合わせて報道する。どうでもいいことに時間をかけて報じると、犯行グループ側から「不慣れで操りやすい」とみなされる恐れがある。あるテロ多発国のジャーナリストに言われた。
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ニュースからバラエティに至るまで、それを考えて放送してほしい。身代金の話は絶対にするべきではない。人質個人についても絶対に報じるべきではない。何が弱みとして利用されるか分からない。逆に政権のミスは指摘すべき。政権が対応を誤っても国民は気づいていることを報じるのは相手を躊躇させる。
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イスラミックセンタージャパンの声明が非常に適切。ぜひ全イスラム圏にあらゆるメディアを通じて訴えるべきもの→ https://m.facebook.com/islam.japan/posts/802492113156463
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その、イスラミックセンタージャパンの声明は、以下のようなもの。
たいへん納得できるものです。
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https://m.facebook.com/islam.japan/posts/802492113156463


イスラミックセンタージャパンは、2人の日本人の人質を殺害するというイスラム国の脅迫に対して、抗議します。


(2015年1月22日 東京にて)
イスラミックセンタージャパンは、2人の日本人の人質、後藤健二さんと湯川遥菜さんを殺害するというイスラム国の脅迫に対して、抗議します。イスラム国は数カ月に渡り、彼らを人質として拘束しています。

我々は、イスラム国が重大な過ちを犯しているとみなしています。そして、イスラム国が良識的な意見に耳を傾け、人質を即座に且つ無条件で解放するように要求します。



上記を主張するにあたり、以下の様な理由が挙げられます。


・日本は、パレスチナイスラエルが紛争をしている際に、パレスチナに対して支援をする等、多くの場面において、相対的に公正な立場をとってきました。欧米社会から激しい圧力があったにもかかわらず、日本は長年このような公正な姿勢を貫いてきました。


・日本はパレスチナにとって、最大の援助国です。ガザ地区、及びヨルダン川西岸地区において、数多くの復興プロジェクトを実施してきました。それらは、日本政府及び日本の団体からのみの資金援助によりなされてきたのです。


・日本では、我々イスラム教徒は平和的に過ごしています。欧米諸国で見受けられる様な、イスラム教徒に対する差別やハラスメント、そして屈辱を受けるといったことも、日本ではありません。ヒジャーブ(頭につけるスカーフ)やニカーブ(目以外を覆い隠す格好)をしたイスラム教徒の女性に対して、危害を与えるといったような事例は一つもありません。


・日本にいるイスラム教徒は自由に宗教活動を実践しています。モスクを建てたり、イスラム教の啓蒙活動を行う際に、政府から干渉を受けることもありません。


・しかし、おそらく最も重要な理由は、日本はイスラム国を含め、いかなる国に対しても宣戦布告をしない世界で唯一の国であるということです。なぜならば、日本の領土が侵された際の自己防衛の場合を除いて、いかなる軍事活動も、憲法によってはっきりと禁止されているからです。


・よって、日本の首相は「テロと戦う為」に2億ドルを拠出することを表明しましたが、決してイスラム国に対する軍事的行為を支援するものではありません。その2億ドルの支援金は、長期の紛争によって住む所を失ったシリアとイラクの難民を支援するためのものだと、すでに計画されていました。日本社会そして日本のメディアも、今では、支援金を言い表すのに、首相は「テロとの戦い」という言葉を使うべきではなかったと認識しています。なぜなら、その支援金はテロとの戦いの為ではなかったし、そのような目的の為には支援金を使えないからです。



一方で、我々イスラミックセンタージャパンは、イスラム国に対して警告します。日本人2人の人質を殺すことで、日本人のイスラムに対するイメージ、そして日本に住んでいるイスラム教徒に、とても大きな影響を与えることでしょう。このような影響に対して、我々は全能のアッラーの前で、イスラム国が責任を負うべきだと主張します。なぜなら、日本人の人質を殺すことについて、いかなる弁解の余地もなく、正当性もないからです。


人質の殺害は、コーランの教えにも反します。アッラーが、コーランのAl-Mumtahana(試問される女)章8節で述べられています。


アッラーは、宗教上のことであなたがたに戦いを仕掛けたり、またあなたがたを家から追放しなかった者たちに親切を尽くし、公正に待遇することを禁じられない。本当にアッラーは公正な者を御好みになられる。」

従って、我々イスラミックセンタージャパンは、ただちに、そして無条件で人質を解放するように、重ねてイスラム国に要求します。


イスラミックセンタージャパン
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たいへん条理を尽くした声明です。これまでこんな外交をして関係を作ってきた人々に対する努力に感謝
したいし、改めて日本国憲法に守られていると思わせられる。


報道ステーションでの古賀茂明氏の発言も、この言論抑圧のなかでよく言ったと評判になっています。
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山本宗補 @asama888 · 2時間 2時間前
報ステの古賀氏は安倍首相の今回の中東外交は、イスラム国に宣戦布告したも同然だと、きっちり批判。70年戦争しないできた日本と反対のメッセージを政府は発信。「私は安倍ではない!」とのメッセージを、私たちが海外に発信しないといけない。
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日本国黄帝 @nihon_koutei · 3時間 3時間前
→私たち日本は平和主義で戦争をしない国。フランスのデモで、「私たちはシャルリー」というプラカードでデモをしたように、私たち日本人は安倍とは違う、「I'm not ABE」というプラカードを掲げるべき”…って、よくここまで言い切ったものだ。古舘も古賀も覚悟の上なのだろうが拍手を!
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日本国黄帝 @nihon_koutei · 3時間 3時間前
報道ステーション。古賀茂明がスゴい事を言っている“後藤氏がISISに拉致されている事を知りながら、安倍が中東に行ってISISと戦う為に支援すると言って廻ったのが信じられない。人命尊重優先ならば相手を刺激しないことをまず考える筈。あれを聞けばISISも交渉の余地はないと考える→
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加藤梅造 @umezox · 3時間 3時間前
報ステでの古賀茂明氏のコメント「後藤さんが拘束されていることを知っていながら、安倍さんはわざわざ中東を訪問して対イスラム国・有志連合を支援すると宣言した。これでイスラム国は交渉を中止し、あのビデオメッセージを出したのではないか。」
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かばさわ洋平 @ykabasawa · 3時間 3時間前
この間のテレビ番組に出る専門家が安倍外交の知失敗を指摘せずにお茶を濁してただけに、今日の報ステの古賀茂明さんは素晴らしかった。アイアムノット安倍というプラカードを掲げるというというメッセージは強烈だけど、多くの人が同感と思えたのではないだろうか。権力の監視が本当に必要です。
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有福屋 @masashika · 3時間 3時間前
報道ステーションで、古賀さんがまともなコメントをされた。安倍政権は一番言って欲しくなかった内容。要は安倍政権としては、人質をとられ、脅される可能性を認識していたにも拘らず、有志連合の一員だと世界にアピールした。二人の命を捨てる事を覚悟して。見栄に比べて軽いもんだね二人の命は。
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I'm not ABE!!!! と 声を大にしていいたいですね。


田中宇さんの分析記事です。
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http://tanakanews.com/150123ISIS.htm
安倍イスラエル訪問とISIS人質事件

2015年1月23日   田中 宇



 イスラエルのハアレツ紙は、安倍がイスラエルにくるたびに人質事件と戦争が起きると皮肉った。安倍が前回首相だった06年にイスラエルを訪問した際には、2人のイスラエル軍兵士がヒズボラに誘拐され、それを機にイスラエルレバノンの戦争が勃発した。今回は日本人人質事件だけでなく、安倍がイスラエルに到着した日、イスラエル軍機がシリア領内に侵入してヒズボラとイランの要員を空爆し殺害する戦闘も起きた。 (For Shinzo Abe in Israel, it's strictly business)


ヒズボラやイラン要員は、アサド政権を支援してISISと戦うためにシリアにいた。イスラエル空爆はISISを支援する効果をあげている) (Israel attacks Syria in support of ISIS)


 安倍のイスラエル訪問は、経済関係の強化が主眼だった。「平和憲法」を持つ「経済大国」(いずれも終わりかけているが)として、軍事や敵対に首を突っ込まず経済だけに注力する姿勢だ。しかし今のイスラエルは、ガザ戦争や西岸でのパレスチナ人弾圧を国際的に人権侵害(人道の罪、戦争犯罪)と非難され、最大の貿易相手だったEUは経済制裁を強めている。イスラエルは、EUに代わる貿易相手を探すのに必死だ。そこに日本の安倍首相が、おそらく米国のタカ派政治家から頼まれ、経済関係を強化すると言ってイスラエルを訪問した。日本は、戦争犯罪を犯して国際制裁されて罰せられそうなイスラエルに抜け道を用意してやった。すばらしい平和主義だ。 (Netanyahu forced to look for new markets in Asia as the EU rejects Israeli goods in face of Illegal Settlement Policy)



 今回の安倍首相の中東歴訪は、エジプト、ヨルダン、イスラエルパレスチナ自治政府、PA)を回った。イスラエルだけに行ったのでない。しかしヨルダンもエジプトもPAも比較的親イスラエルで、これらの国の政権が、日本から資金をもらって守られる(反イスラエルの政権に転じない)ことは、イスラエルの国家安全を守るために不可欠だ。


 安倍のイスラエル訪問は、3月に予定されているイスラエルの総選挙で、負けそうなネタニヤフを応援する効果ももたらした。3月17日に予定されている総選挙では、国際制裁を無視して違法入植地を広げたり和平交渉を潰したりイスラエル国内のアラブ系住民の市民権を剥奪したがる右派を率いるネタニヤフ首相が、和平交渉の必要性を訴える中道派に破れそうになっている。 (New polls put center-left bloc ahead of Netanyahu's Likud)



 イスラエル右派の米政治団体(AIPACなど)に牛耳られる傾向が強い米議会は、ネタニヤフの挽回を助けようと、2月11日にネタニヤフを米議会に招待して反イランの演説をしてもらうことに決めた。イランはイスラエルの仇敵だが、オバマ大統領はイランと和解しようとしている。ネタニヤフを呼んで演説させ、オバマを非難するのが米議会の狙いだオバマは「3月の選挙に近すぎる日程での訪米であり、選挙に影響を与えたくないので会わない」という口実でネタニヤフとの会談を断った。 (Netanyahu's Iran speech in Congress is a recipe for an explosive U.S.-Israel clash)



 オバマイスラエルの不仲は昨秋から露呈している。米政界は、イスラエル右派に牛耳られ続ける米議会と、イスラエル支配を脱却しようとするオバマとの政争が激化し、一枚岩でなくなっている。日本(権力を握る官僚機構)の国是は対米従属であり、官僚を無力化しようとした民主党政権の反動で官僚の傀儡として成立した安倍政権は特にその傾向が強い。米国の上層部が分裂する中で安倍は、オバマでなく議会を牛耳る軍産イスラエル複合体を従属の対象とみなしているようだ。EUやオバマがネタニヤフを嫌う中で、安倍がイスラエルを訪問したことから、それがうかがえる。



 偶然だろうが、安倍と同時期にマケイン上院議員ら米議会のタカ派議員たちがイスラエルを訪問しており、安倍はイスラエルでマケインらと会って懇談した。マケインは以前、シリアを訪問して反アサド武装勢力と面談して鼓舞し、その中にのちにISISの幹部になる人々が含まれていたことで知られる「隠れISIS支援派」だ。 (安倍総理大臣のイスラエル訪問) (Angry McCain Admits Meeting With ISIS, Scolds Rand Paul For Not Knowing Terrorists) (John McCain's Whoops Moment: Photographed Chilling With ISIS)



 イスラエルの選挙で中道派が勝つと、パレスチナ和平を再開し、欧州と再和解して国際制裁を避ける策を採りそうだ(右派が全力で妨害するだろうが)。ネタニヤフが勝つと、和平推進を拒否し、国際法廷(ICC)で有罪になったり経済制裁されるのも無視して、西岸やガザを併合した上でゲットー化する「アパルトヘイト方式の解決」を突き進みそうだ。他国の指導者が選挙でネタニヤフを勝たせようとすることは、中東和平を妨害し、戦争や弾圧を広げる動きだ。安倍首相は中東歴訪で中東和平の推進を呼びかけ続けたが、実際の効果としては和平を潰したいネタニヤフを応援してしまっている。 (A settler himself, FM Avigdor Liberman drops the A-bomb)

 安倍がその点を自覚してこの時期にイスラエルを訪問したのかどうかわからない。たぶん、イスラエル右派とつながっている米国のタカ派議員から圧力をかけられ、対米従属の観点から言いなりになってイスラエルを訪問したのだろう。



 石油輸入国である日本は1970年代の石油危機以来、親アラブを貫いてきた。今回の安倍の中東歴訪は、日本が親アラブから親イスラエルに転じる転換点になるかもしれない。サウジアラビアなど湾岸産油国は、米国シェール産業を潰す原油安を加速するため、アジア諸国などに原油をどんどん売りたい。日本が親イスラエルに転じても、サウジは日本に原油を売ってくれる。 (◆米シェール革命を潰すOPECサウジ)



 日本が米タカ派から圧力を受けて親イスラエルの傾向を強め、その反動としてISISが誘拐した日本人を殺すぞと脅しても、米タカ派イスラエルが本当にISISやアルカイダの敵であるなら、米イスラエルと協力してISISと戦う安定した構図が存在しうる。しかし実際は、タカ派イスラエルが本当にISISやアルカイダの敵であるかどうか大きな疑問がある。アルカイダや、それがバージョンアップしたISISは、米タカ派イスラエルが中東支配に好都合な「敵を演じてくれる勢力」として育て、こっそり支援し続けている疑いが濃い。 (◆イスラム国はアルカイダのブランド再編) (アルカイダ諜報機関の作りもの) (◆敵としてイスラム国を作って戦争する米国)



 正月早々、米軍機がシリアで反ISISの武装勢力に支援する武器を空中から投下したところ「間違って」ISISの駐屯地に武器を投下してしまう事件が起きた。イラクやイランの軍幹部は、米軍が意図してISISに武器を支援したと考えている。 (Middle East Officials Question ''Convenient Mistakes'' Of US Airdrops To Al-Qaeda)



 ISISと最も効果的に戦っているのは米国でなく、イランと、イランに支援されているシリアやイラクの軍隊だ。米国では、オバマがISISと真剣に戦う気があるようだが、国防総省はISISと戦う気がなく、それに気づいたオバマが現場の司令官に直接攻撃を指揮する傾向を強め、国防総省オバマを煙たがっている。この対立の余波で昨年、ヘーゲル前国防長官が辞任した。 (Iran eclipses US as Iraq's ally in fight against militants) (◆中間選挙後の米国の戦略変化) (◆中東覇権の多極化)



 NYタイムスの07年の記事によると、国防総省はISISの指導者バグダディが存在しない架空の人物であると知っており、アルカイダイラクに入り込むために架空の指導者をでっち上げて過激組織(のちのISIS)を作っていると報じている。米当局は、架空の人物とわかっているのに今もバグダディをISISの最高指導者として発表し続けている。 (The US Military's Stunning Conspiracy Theory Emerges From The Archives: "ISIS Leader Does Not Exist")



 ゴラン高原の国連監視団によると、イスラエルはシリアで負傷したISISの兵士をゴラン高原経由で自国の病院に受け入れて治療している。米軍がヨルダンで訓練したシリアの「穏健派反政府兵士」たちが、イスラエル領のゴラン高原を経由してシリアに入り、ISISに合流している。 (The ISIS comedy continues…) (UN Details Israeli Military Ties With Syrian Rebels) (Mossad training ISIL terrorists: Putin aide)



 ISISやアルカイダが、米イスラエルによって敵として作られた勢力であっても、ISISやアルカイダの行動のすべてが米かイスラエルの命令によるものということではない。しかし、たとえばISISが米欧や日本人を人質にして身代金を要求したり処刑する動画を世界に公開したりするのは、欧州諸国や日本をISISとの戦いに参加せざるを得ない状況にして、それを米国が指導する構造を作り、国際軍が中東にずっと駐留してイスラエルを守ってくれる状況を生み出すことにつながる。


(これまでに発表されている、米欧の人質が処刑されている映像の中には、ISISが合成したニセモノが含まれているとの指摘がある。ISISを支持して支配地域に入った米欧人が、ISISの存在を誇示するため、自分が殺される光景を撮して世界に発表する画策に賛成し、ニセモノの動画が作られた可能性がある) (Author Naomi Wolf is condemned for suggesting ISIS hostages are ACTORS and be-headings aren't real)


 フランスでは、仏政府が年末に国連でパレスチナ国家の創設決議案に賛成したり、パレスチナ和平を進めないイスラエルを制裁する態度を強めたところ、年初にパリで反イスラム的な雑誌社やユダヤ教徒向け(コーシェル)のスーパーマーケットが襲撃されるテロが起きた。国際政治の舞台に立って選挙に勝ちたいネタニヤフは、仏大統領に断られたのにパリのデモに参加し、アフリカの大統領を押しのけて最前列に立った(仏政府は彼が最前列に来ることを事前に認めていたが)。パリのテロ事件をめぐる話は改めて書きたい。 (Netanyahu's Paris appearance was a PR disaster)



 ISISに捕まった日本人を救出するため、日本政府はISISに関する情報を多く持つ(ISISの生みの親である)イスラエルや米国防総省、米タカ派議員など「軍産イスラエル複合体」に頼る傾向を強めざるを得ない。日本政府が、米イスラエルとISISとの裏のつながりを察知した上で、米タカ派イスラエルと協調するならまだしも、そうでなく米イスラエルとISISとのつながりを陰謀論扱いして無視して動いているように見えるだけに懸念がつのる。

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ひどい話ですよね。
NHKはすでにだめですが、とにかく、こういう良識ある意見が、口から口へと広がることが
大切だと思います。