北朝鮮砲撃問題についてのいくつかの記事

北朝鮮が砲撃してきたというニュースはtwitterで、おそらく菅首相より早く(!)
知りました。韓国語のニュースで、島からもくもくと煙が立っている映像も。
さまざまな情報が飛び交い、北朝鮮はけしからんとか、がつんと一発やるべきだ
とか、そんな意見も飛び交いましたが、よく状況が把握できず、どこらあたりが
妥当な観測なのか、見定めることができなかったので、ここに記事を紹介すること
もしないできました。

ここに、いくつかの記事を選んで貼り付けます。
各自ご判断ください。
もっとも確実に言えることは、いまのマスメディアは、昭和十二年日中戦争を引き
起こしたときと同レベルであるということ。「暴支膺懲」・・乱暴な支那をこらしめよ、というおどろおどろしい大活字が新聞第一面に踊ったあの時期と、まったく
同水準にありますから、国民の「世論」を戦争賛成にむかわせることは可能です。
そのことを頭において、日々のニュースを「読む」ことが、わたしたちにとって必須
です。



田中宇の国際ニュース解説」http://tanakanews.com/index.html
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意外と効果的な北朝鮮の過激策【2010年11月24日】 


11月23日、韓国と北朝鮮の国境(軍事分界線)沿いの海上で、南北の軍
の間で砲撃戦が起こり、双方に死者が出た。従来、北朝鮮が韓国の領海に向け
て砲撃したことは何度もあるが、韓国領の民家も並ぶ地上(延坪島)を砲撃す
るのは異例だ。朝鮮戦争以来の激しい戦いと評されている。

http://edition.presstv.ir/TextOnly/detail.aspx?id=152172
Two Koreas blame each other for attack

 韓国軍はこの日、北朝鮮の沖合12キロにある韓国領の延坪島の周辺海域で、
軍事演習をしていた。韓国政府によると、この演習は3カ月に一度行う「定例
のもの」だった。北朝鮮側は演習を非難し、やめるよう求めたが、韓国側は
やめなかった。その後、砲撃戦が起きた。しばらく前に北朝鮮は、いつでも韓
国を砲撃しうるぞと警告しており、警告どおりのことを実行した。韓国側は、
北朝鮮側が先に撃ってきたと言っているが、北朝鮮側は、韓国側が先に撃って
きたと言っている。

http://www.atimes.com/atimes/Korea/LK24Dg02.html
North Korean shells aim to shock

 韓国軍は米軍の傘下にある。米軍は、演習をやっているうちに紛れて本当の戦争を起こしてしまう傾向がある。
湾岸戦争の発端となった1990年のイラククウェート侵攻は、イラククウェートに侵攻するシナリオで米軍が演習をやっている間に、本当にイラク軍が攻めてきた。背景には、米国がイラクサダム・フセインを挑発して侵攻を誘発し、米軍がイラクに「百倍返し」して湾岸戦争を起こす米側の策略があったようだ。


 01年の911事件でも、当日ニューヨークでハイジャックテロ対策の演習
が行われており、航空管制官らは、演習なのか本物なのか判断できず対応が後
手に回り、軍産複合体が望む「テロ戦争」が始まった。今年3月の天安艦沈没
事件も米韓演習中に起きた。

北朝鮮犯人説が正しいと考えられる証拠は今も出ていない。これらの先例からすると、今回の南北間の砲撃戦も、北朝鮮が先に撃ってきたと断定しない方が良いだろう。

http://tanakanews.com/911.htm
911事件関係の記事


 日本にとって北朝鮮は「敵・悪」で、韓国は「味方・善」なので、善悪論か
らすると「韓国側が先に砲撃した可能性がある」と書いてしまう私は「悪・非
国民・売国奴・北のスパイ・アカ・隠れ朝鮮人」などのレッテルを貼られる。
(と書くと、本当にそう書いて中傷メールを送ってくる読者がいたりする)
しかし、日本の国益のためには、言論統制プロパガンダに立脚した敵味方や
善悪の価値観の拘束から離れ、事態を客観的かつ複眼的に分析する必要がある。
上から下まで「鬼畜米英・神国必勝」と軽信して惨敗し、敵だったはずの相手
に60年以上も魂まで差し上げて傀儡国に成り下がっている短絡的な愚行を繰
り返してはならない。


 日本人は、世界のことにもう少し思慮深くなると、真の意味で国際貢献でき
るすてきな人々になれるのに、近年は逆に思考停止に拍車がかかっている。か
っこ悪い。(発信側である官僚やマスコミによる意味づけの歪曲が主因で、受
信側の人々のせいではないのだが)。


▼米韓の反応をさぐるための猛攻撃

 もし韓国側が演習の最中に、誤って、もしくは意図的に、先に北側を攻撃し
たのだとしても、北側からの延坪島に向けた攻撃は異常である。戦争行為その
ものだ。この異常さの理由について、マスコミは「金正恩への権力継承の時期
なので、意図的に南北間の対立を扇動した」とか「北朝鮮は権力が崩壊しかか
っており、軍が勝手に暴走して砲撃した」と説明している。

http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704369304575632392596501202.html
What Is Kim Jong Il Up to Now?

http://www.ft.com/cms/s/0/6959a9a0-f73d-11df-9b06-00144feab49a.html
Attacks that may signal a Pyongyang implosion

 私から見ると、権力継承の時期なので派手にやっているのは確かだと思うが、
北朝鮮の権力が崩壊しかかっていると見るのは間違いである。今春以来の北の
何回かの議会や党会議、中国との親密な関係構築の様子からすると、すでに
北朝鮮の中枢では中国式の経済開放をやる方向が定まり、数年前より安定して
いる(北の中枢は見えないので、何が起きるか予測しにくいが)。


http://tanakanews.com/100903nkorea.htm
中国の傘下で生き残る北朝鮮

 私の見方では、北が異様に激しい砲撃をしてきたのは、北の「宗主国」であ
る中国が台頭し、韓国の「宗主国」である米国が衰退する流れの中で、北の激
しい攻撃に対して、米韓がどのくらいの強さで北に報復・制裁してくるのか、
確かめるのが目的だ。案の定、米韓は、激怒するそぶりを見せつつも、国連で
北朝鮮制裁を強めることに消極的だ。そもそも、米国が国連安保理で北に対
する追加制裁を提起しても、中国とロシアが反対して流されてしまう。


http://tanakanews.com/101102korea.htm
中国の台頭に反応する周辺諸国(1)

 浮き足立っているのは、北朝鮮よりむしろ韓国の方だ。韓国の対米従属派は、冷戦後の91年に米軍が韓国から撤去した核兵器を、また韓国に戻してもらいたいと言い出している。冷戦直後、米国の単独覇権体制が揺るぎない時期には、核兵器を持ち帰ってもらう方が良かった。だが今や、米国が衰退して韓国から撤退していき、中朝が伸してくる中で、むしろ韓国の対米従属派は、核兵器で韓国を米国の支配下に縛ってもらった方が米国に見捨てられずにすむと思うようになっている。対米従属派は日韓ともにM(マゾ)だ(世界中でいじめを
やる米国はS)。

http://www.ft.com/cms/s/0/8edddda4-f616-11df-a313-00144feab49a.html
Seoul raises spectre of return of US nuclear arms


 韓国は、先日ソウルで開いたG20サミットに際し、以前からの懸案だった
米国と自由貿易協定(FTA)を締結(米議会で批准)してもらえると期待し
たが、それも実現しなかった。むしろ、米当局が連銀の量的緩和策(QE2)
によってドル安を誘導したので、韓国はウォン高やインフレに悩まされている。
経済面も、米韓の同盟が強化されているとはいいがたい。


http://www.ft.com/cms/s/0/3a38081c-ed72-11df-9085-00144feab49a.html
US-South Korea fail to agree trade deal

http://www.ft.com/cms/s/0/f891e718-f152-11df-8609-00144feab49a.html
Seoul raises rates to tackle inflation


▼イランを真似る北朝鮮核戦略

 私はもう一つの分析として、北の激しい砲撃の裏にある戦略が、北方領土
訪問したロシアのメドベージェフ大統領の戦略と似ているとも感じている。以
前の記事に書いたように、メドベージェフは「中露」対「米日」という対立軸
を作って中国をロシア(もしくは多極型世界)の方に近づけようとして、日中
の喧嘩に割り込むかたちで国後島を訪問した。

http://tanakanews.com/101106russia.php
◆メドベージェフ北方領土訪問の意味


 同様に北朝鮮は、米中の力関係が逆転する中で「中朝」対「米韓」の対立軸
を強化し、優位に立とうとしている。今回のように、38度線の周辺で北朝鮮
が米韓との対立を煽る過激策をやると、国内が本質的に不安定なだけに自国周
辺の安定を好む中国は、北朝鮮をしかるだろう。しかし中国は、北朝鮮の政権
が崩壊すると困るので、あまり北を制裁できない。中国が北朝鮮に最も望むこ
とは、市場経済体制を導入して中国型の安定を実現することだが、北朝鮮は張
成沢の出世などによって、その分野の努力をすでに始めており、中国に評価さ
れている。

http://www.atimes.com/atimes/Korea/LK09Dg01.html
Young Kim set for early China photo-op


 北朝鮮が米韓を攻撃する無茶をやった後、中国はあまり怒らず、南北双方に
対して冷静に対処するよう求めただけだ。北朝鮮は無茶をすることによって
「中朝」対「米韓」の構図を強化している。米国は、北朝鮮問題は中国に任せ
るしかないという態度を強め、米韓の関係が揺らぐ中、韓国は中国に南北問題
の解決をゆだねる姿勢を強めている。

http://www.ft.com/cms/s/0/27fe30c0-f5a3-11df-99d6-00144feab49a.html
US asks China to curb nuclear plans of N Korea


 北朝鮮は、米韓との軍事対立の面ではロシアを真似ているが、核開発の面で
はイランを真似ている。北朝鮮は11月前半、米国の核兵器専門家(Siegfried
Hecker)を招待し、寧辺の核施設を見学させ、軽水炉と、2000基の遠心
分離器からなるウラン濃縮施設を見せた。使用済み核燃料であるウランを濃縮
すると核兵器を作れる。米国側は驚愕した。

http://news.yahoo.com/s/afp/20101113/pl_afp/nkoreausnuclearenergy
US scientist says North Korea building light-water reactor


 米専門家が驚いたのは、北朝鮮が意図的に米国側に見せたウラン濃縮事業が、
米欧イスラエルから「核兵器開発している」と非難されているイランと同種の
事業だったからだ。

http://thecable.foreignpolicy.com/posts/2010/11/23/hecker_north_korea_now_has_same_nuclear_defense_as_iran
Hecker: North Korea now has same nuclear defense as Iran


 以前から何度も書いているように、イランはウラン濃縮をやっているものの、
IAEA国際原子力機関)の査察を受けており、国際的に容認されている
発電用の低濃度にとどまり、核兵器の開発をしていない。米イスラエルは「核
施設の空爆も辞さず」と言って脅すが、イランは「IAEAの査察を受けつつ
ウラン濃縮することは、あらゆる国に認められた科学技術振興の権利である」
と言って核開発をやめず、今ではイスラム世界や中露など、欧米以外の多くの
国々が、イランの主張を認めている。12月初めに、EUの主導でイランと欧
米との核問題の交渉が再開される予定だ。

http://tanakanews.com/100519nuclear.htm
善悪が逆転するイラン核問題

http://news.antiwar.com/2010/11/22/eu-iran-talks-likely-to-begin-on-december-5/
EU: Iran Talks Likely to Begin on December 5


 イランの主張が認められていく今の状況下で、北朝鮮はイランと同様のウラ
ン濃縮を始めた。米イスラエルプロパガンダを軽信して「イランは核兵器
発している」と思っている人は「北朝鮮はけしからん」と思うだけだが、イラ
ンの核開発が国際的に認められた範囲であることをふまえると、北朝鮮の策略
が、米国の裏をかく絶妙なものであることが見えてくる。米国は「北朝鮮はイ
ランと同罪だ」と非難するが、今後イランの主張が認められていくと、実は北
朝鮮の核事業も問題がなく、不当な濡れ衣をかけていたのは米国の方だという
「善悪の逆転」が起きるからだ。


 北朝鮮は核実験を行っており、すでに核兵器(未完成?)を持っている。米
国と中国は、6カ国協議を再開し、この北の核兵器を没収しようとしており、
ちょうど米国の特使が中日韓を回って6カ国協議の日取りを決めようとしてい
た。北朝鮮は、その最中にウラン濃縮施設を米専門家に見せた。その結果、米
国は「北はイランと同罪だ」と怒り出し「北がウラン濃縮をやめない限り6カ
国協議を開かない」という立場に転じた。ウラン濃縮は合法なものなので、北
朝鮮はやめないだろう。6カ国協議は開かれず、北は核兵器を手放さずにすむ。
北朝鮮は、見事に米国の裏をかいている。




朝鮮戦争が再発する?【2010年11月28日】 


米韓が挑発したら、北朝鮮は反撃する。北朝鮮は政権の世襲期にあり、国内の結束を維持するため、強気の態度をとる。朝鮮戦争が再発するかどうかは、北朝鮮の出方ではなく、米国がどの程度、北朝鮮を挑発するかという、米国の意志にかかっている。韓国は、自国が破壊される戦争再発を望まないが、軍事的に完全に米国の傘下にあり、米国が北朝鮮を挑発して戦争を起こすなら、韓国が止めることはできない。オバマ大統領は、北朝鮮の問題を軍事的にではなく外交的に解決したいと表明したものの、事態を掌握できていない。米軍(軍産複合体)が、勝手に事態を悪化させ、朝鮮戦争を再発しうる。

(以下有料)


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次は、副島隆彦氏の学問道場の掲示板からです。ここはアメリカの情報に詳しい。
なかの英文部分は省略します。全文を見たい場合は、リンク先へどうぞ。
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http://www.snsi.jp/bbs/page/1/
北朝鮮・韓国砲撃合戦 への ブレジンスキーの自署記事(戦略論文)を載せます。これが最高度での現状への理解です。  投稿者:副島隆彦:2010-11-26


副島隆彦です。  3日前の11月23日に起きた 北朝鮮・韓国の砲撃合戦(こういう砲撃は割とよくやっている。中国と台湾の馬祖=ばそ=島でも。ただし民間人は死なないように撃ち合う) のことを受けて、書かれた重要な 戦略論文(新聞記事)を、載せます。
この記事(小論文)を読むことが、事態への、最高度の理解となります。


書いたのは、スビグニュー・ブレジンスキーという世界戦略家(ワールド・ストラテジスト)です。 ヘンリー・キッシンジャーと同格の大物のアメリカの軍事・外交の戦略家です。 このふたりが、昨年(2009年1月)のオバマ政権発足の直前の1月初旬)に、北京に飛んで、「今後は、G2(ジー・ツトゥー)で世界を管理してゆこう」という世界戦略を決めたのです。
G2 とは、もちろん、アメリカと中国です。 それが、少しうまくゆかなくなった、とブレジンスキーは、以下の文で少し、本音で溢(こぼ)しています。


副島隆彦が日本の国家戦略家として、彼らの即席・緊急の論文を分析するといろいろなことが分かります。 ブレジンスキーでも、3月23日の韓国・哨戒艦(しょうかいかん、潜水艦攻撃用のデストロイヤー)沈没(誰も撃沈とは書かない。お笑いだ) 事件を、北朝鮮のせいにする、という謀略政治に故意に加担するのなだ、とやや、失望します。


それでも、ブレジンスキーは、元祖ネオコン(第一世代の米民主党ネオコン、スクープ・ジャクソンらと)なのに、今の第3世代ネオコンが、大敗したはずの、イラクアフガニスタン戦争にも、まだ懲りず、次に、無謀な、極東(ファー・イースト)での戦争を仕組んで仕掛けようとすることに対して、強く牽制(けんせい)していることが良く分かります。


(略)

スビグニューは、「グランドチェスボード ユーラシア(大陸)の地政学」(つまらない変な書名で、日経新聞から翻訳が出た) の著者であり、この大戦略論文 を 下敷き(青写真、ブループリント)にして、2001年からのアフガニスタン侵略戦争 と 2003年からのイラク戦争アメリカは始めたのです。きわめて良く書けている本です。


 「地球をグランド・チェスボード、すなわち、大きな碁盤(ごばん)の目に見立てて、ユーラシア大陸を、アメリカの世界支配用に切り分けてゆく」 という構想で書かれている論文です。中央アジアキルギスや、タジキスタンなどのことも実に正確に書かれていました。


ブレジンスキーが、以下の文で、 a state 「ある国」が、中東(ミドルイースト)でアメリカの言うことを聞かないから、それで仕方なく 極東(ヒガシアジア)で、戦争を仕組まなければいけなんじゃないか、と、「ある国」すなわち、イスラエルに あてつけの 怒りを表明しています。ここで、私は大笑いをします。 「あんたらも、大変だなあ」と、私は、自分も目先の仕事を抱えて大変ですけど、ポツリと言ってしまいます。


スビグニューの以下のFT(エフ・ティー、英フィナンシャル・タイムズ紙)への自署記事(戦略論文)を、じっくりと読みなさい。そうすれば、世界が、どのように動いているのが、分かるようになります。


 幕末の英国外交官で、戦略家のアーネスト・サトウが、横浜の租界地で、ぽろりと書いた英文記事が、「英国策論」と訳されて、それを、幕閣(老中たち)や開明派の大名、討幕派までが熱心に読んで、それが、坂本竜馬の「船中八策」になったのです。  そういうものですよ。

副島隆彦


(転載貼り付け始め)
 
( N研究員の文章と、翻訳文)

・・・・それでは、以下、私が急ぎで、おおざっぱに訳しただけですので、多少の誤訳もあるかもしれませんが、大きな内容をつかんで頂けると思いますので、ご参照ください。

 この記事でアメリカの考え方が分かれば、こんどは、中国の要人たちが、今回の北朝鮮砲撃事件に対してどのような発言をしているかという記事を探して、また後ほど、ご紹介したいと思います。


(転載翻訳引用始め)

● "America and China’s first big test"

アメリカと中国にとって最初の大きな試練」

By Zbigniew Brzezinski
ズビグニュー・ブレジンスキー筆)

Financial Times(フィナンシャル・タイムズ

November 23 2010(2010年11月23日)

http://www.ft.com/cms/s/0/a7d6c130-f73e-11df-9b06-00144feab49a.html#axzz169yEZ8F3



 私たちは、今日、北朝鮮による二度目の挑発的で実戦のような攻撃に直面した。最初の攻撃であった韓国軍艦への魚雷攻撃は、秘密裏に行われた。
その発端は意図的に隠されていた。しかし、その結果は明らかであり悲痛なものであった。今回の行為は明らかにおおっぴらである。火曜日の北朝鮮の攻撃の出所は疑いもないほど明白に突き止められている。これは法外な行動であり、戦争行為とみなされうる行為である。



 これは根本的な疑問を提示している。もしこのこれらの行為が計画的で意図的なものであったならば、北朝鮮政権は、すでに狂乱状態に至ったということを示している。
しかし、彼らの行動や目論みを理性的な観点で推し測るのは難しい。そうではなくて、北朝鮮政権がコントロールできない状況に陥っている兆候なのである。平壌ピョンヤン)政府の他の部局は、軍部も含めて、中央からの統率がきかないまま勝手な行動をとれる状況にあるのか。これはむしろ、さらに悪い可能性である。



 それでは、世界の主要諸国が解決のヒントさえないまま長年悩まされてきたこの問題をいったいどうすればいいのか。
ここで私たちは、さらに不確定な領域に足を踏み入れることになる。
つまり、この問題を考えることは、アメリカと中国という2大覇権国の間にある、歴史的に異なるふたつの視点(見解)の衝突を扱うことになるからだ。このことは、次第にあきらかになってきている。



 中国を考えるということは、歴史的にも自信を持った政権を扱うということだ。中国は、世界の権力配分が、最終的には自分たちにとって好ましい構造変化をするであろうという受け止め方をしている。
中国は、世界における自国の権力が増大していること感じている。そのため、かえって自制的な態度をとるようになっており、事を荒立てるのを避けようとさえしている。



 いっぽう、もうひとつの覇権国であるアメリカも、このたびの一連の事件に懸念を表明してはいるが、アメリカの場合、中国とは異なる歴史の段階にいる。おおやけの議論でも、歴史の潮流はいまやアメリカには不利な方向で対峙をしているという見解に独占されるようになった。
そのためワシントンは、集団的自衛権による反撃に出る必要があるという考え方に心を奪われている。しかし同時に、他国がその重荷となる責任を分担したがらないことにいら立ちを感じている。



 さらに悪いことには、アメリカは、中東本土から西南アジアまでの地域で、10年にも渡って続く地域紛争の災難にひとりとらわれたままである。
さらに最近では、中東に和平をもたらそうとするアメリカの主要な外交努力が、アメリカに完全に依存するある国によって完全に無視されてしまった。



 こうした状況のなかで、もし中国があまり対応しないことを好むのなら、さらなる挑発行為を招くことになるだろう。そしてアメリカは、中国が好まないさらに危険な過剰反応を、北朝鮮に対して示す結果になるかもしれない。



 バラク・オバマ大統領は、冷静で断固とした、世界的にもアピールするリーダーシップを、中国や他の6ヶ国協議のメンバー国との会談の場で示すことが重要である。



 オバマ大統領が、イニシアティヴを取らなければならない。このたびのような北朝鮮の挑発行為は、軽く流されてはならないし、外交官の対応だけに任せるようなことをしてもならない。
オバマ大統領は、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領に電話をして、彼が個人的で直接的なアメリカからの支援をすることを確認するべきである。それから、中国の胡錦濤(フー・チンタオ)首相に電話をして、非常に憂慮しているということを表明するべきだ。


 日本の菅直人首相にも電話をして、アメリカの太平洋における主要同盟国として、朝鮮問題に対処するアメリカの代理人としての役割を与えるべきだ。また、ロシアのドミトリー・メドヴェージェフ大統領にも電話をするべきである。そのあとで、米国務長官であるヒラリー・クリントンは、このオバマからの電話に続いて、国連安全保障会議の招集の準備を始めるべきである。




 北朝鮮は、明らかにサダム・フセインさえもやらなかったやり方で国際社会への挑戦を仕掛けていることは明らかである。
サダム・フセインをも超えるようなやり方で、なおかつ、イラン人でもやったことがないような手法でである。
イラン人たちは、おそらく偽りであるが、核兵器を求めてはいないと主張し続けている。この場合は、彼らにその事実を証明するように強要し続けるという形で、北朝鮮とは異なった対応をするべきである。
しかし北朝鮮の場合は、大胆で、傲慢にも自分たちの核戦力を誇示し、いまや明らかに挑発的、挑戦的になっている。



 この会談の中で話し合われるべきことのひとつは、北朝鮮に対するハイテクとエネルギーなどの特定の分野での懲罰的な輸出禁止措置を実施する可能性についてである。しかしこの対応は、平壌核兵器を持っていて、その政権内が狂乱状態にあるということが事実でないのならば、ひと騒動になるだろう。



 しかし、決定的に重要なことは、我々のアプローチは中国の意に反するかたちでは行われるべきではないということである。
巨大な民衆的な対立を引き起こすことは、アメリカの利益にも中国の利益にもならない。政府間の意見の相違は、管理・調整することができるだけの国際情勢の積み上げがある。
しかし、一般大衆の感情をかき立てると、そうした危機は制御することが難しく、かつ危険でもある。



 胡錦濤(フー・チンタオ)首相へのオバマ大統領からの電話は、おなじ懸念や利害を共有するリーダーどうしの会話となるべきである。
アメリカが中国に対して、何かを要求したり忠告をしたりするというものであってはならない。
それは、お互いの国益が危機にさらされており、私たちが効果的な対応をすることによって共有する利害がある事実を確認するものであるべきである。


The writer was US National Security Adviser from 1977-1981
筆者は、1977年から1981年まで米国安全保障問題アドバイザーをつとめた。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦

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さらに、独自のルートをもつ飯山一郎のLittleHPから。
独特の口調ですから、身構えを。
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http://grnba.com/iiyama/

2010/11/29(月) 「知らぬが馬鹿」
ワハハハハハ。天網恢恢疎にして漏らさず。
悪事は必ずバレる。 ほら、おとーさん、昔、あなたの浮気も必ずバレたでしょ?

さて…、「突然、北朝鮮が砲弾を撃ち込んできた!」 とマスコミが大騒ぎの延坪島事件ですが、じつは、逆に…、
アメリカが「主犯」で、韓国が「共犯」だった! ということがバレバレになってきました。
田中宇サンの 『朝鮮戦争が再発する?』 という有料論文の記事。↓


11月23日に米軍も演習に参加するはずだったのに、米軍は直前になって参加をとりやめ、韓国軍だけで演習をしたという指摘も出てきた。
米軍は、最初から北朝鮮を挑発するつもりで、自分たちは戦死したくないので、韓国軍にだけ演習をやらせ、どこにどう撃つかを、遠くから韓国軍に指示していた可能性がある。
米国の謀略で韓国兵だけが犠牲になるのは、3月末の天安艦沈没事件と同じ構図だ。



読みましたか? ↑ 恐ろしいですねー。
「米軍は、どこにどう撃つかを、遠くから韓国軍に指示していた可能性がある。」 って、アメリカは、何としても “戦争状態” をつくりだしたかったようですね。これは。


アメリカは、間もなくイラクアフガニスタンから撤退しなくてはならない。
だから、次の“営業拠点”をつくらないと、議会が予算を削ってくる。
兵士もクビにしなきゃならないし、軍事基地も不要になるし、武器も売れなくなる。
アメリカが売って儲けられる商品は、いまや武器ぐらいしかない。
だから、世界が平和になると、アメリカは本当に困ってしまうワケです。
アメリカは世界のどこかで戦争をしていないと食っていけない国ですからネ。


田中宇サンが参照した文献、US Marine won’t participate in exercise in West Seaを何気に読んでいたら、もっと凄いことが書いてある。
「韓国軍と米国海軍と沖縄の海兵隊は、海上訓練と上陸訓練を計画していた。」
なんてことが書いてある。さらに、この海上訓練と上陸訓練に対しては、北朝鮮だけではなく中国も強硬に中止を申し入れていたため、米軍は不参加にした…、
と、これは、在韓米軍(USFK)のスポークスマンが話したことです。



海上訓練と上陸訓練まで計画し、当日は当日で 4000発近い砲弾を北朝鮮のノド元で、ブッぱなし続ければ、そりゃあ、誰だって怒る、つーか激怒しますわ。ふつう。
で、こういう一連の話、経過、顛末(てんまつ)の全てを中国は把握していたワケです。アメリカも、すべてを知っていた。韓国も知っていた。
知らないのは、日本だけ。こーゆーの、「知らぬが馬鹿」って言わなかったっけ?



2010/11/29(月) 田母神俊雄を(少々)見直す。


2年前、私は、田母神俊雄航空幕僚長を逮捕せよ! と検察に口頭で告発した。
さらに、田母神俊雄には、軍人らしく腹を掻っ切り 自決せよ! と迫った。

罪状は、田母神俊雄が民間企業アパ社のパーティーに公用車で出席し,アパの社長をF15戦闘機に体験搭乗させ,さらにアパの広告雑誌に投稿し,デキレースで最優秀賞に選ばせ,300万円の賞金を手にした.これは収賄罪である! というもの。

しかし検察は動かず(田母神とは同じ穴のムジナ)、田母神も全く反省しなかった。

ところが本日…、
大阪の老友から、田母神にも長所あり! との電信(Eメール)が届いた。
田母神俊雄は阿呆な軍人であるが次のような賢明な発言をした、という電信だった。


アメリカは北朝鮮情報で日本をコントロールしている。
日本人は北朝鮮のミサイルに対して、過剰なまでに反応する。
アメリカが、特に北朝鮮の情報だけを日本に流しているからです。
アメリカは、北朝鮮によるミサイルの脅威を煽ることで、日本のミサイル防衛体制を強化させたいと考えています。
恐怖を煽れば、どんどん日本はミサイルシステムを買う。
さらに北朝鮮の情報も買うでしょう。 (日刊ゲンダイ2010年11月30日)



「男子三日会わざれば刮目して見よ!」(三国志演義
これは、日々鍛錬する男子は、3日も経つと見違える程成長している!
という意味だ。
なるほど! 田母神にしては、なかなかの発言だ。
まぁ、阿呆な田母神でも少しは成長するのだろう。

さらに驚くべきことに、田母神俊雄は次のような発言もしているという。


日本は、ミサイル防衛ばかりにカネをかけても仕方がない。
北朝鮮のミサイルで死ぬ確率なんて、交通事故で死ぬ確率の100分の1ぐらいだ。交通事故が怖くて車を運転しない人はいない。道を歩かない人もいない。交通事故以下の確率で起こることを心配しても仕方がないのです。


もっともっとビックリする意見も、田母神俊雄は開帳している。 すなわち…、
「日本は、“米軍基地の国外移転” と “対等な日米関係” を目指すべきだ!」
と断言したというのだ。これは、田母神にしては驚きの発言である。
志士・田母神俊雄。 見直したぞ。感心した!


田母神俊雄も、老境に入ってから、やっと独立心・自立心が芽生えてきたようだ。
少し遅いが、独立心・自立心が全くない対米従属派のガキ共よりは遙かにいい。
よって、余は、ここに特赦を発令する。
田母神俊雄航空幕僚長。貴様への切腹・自決命令は、本日、これを取り消す!



2010/11/30(火) 金王朝の “深い深い謎” −22−
めぐみさん 金正恩
目もと、鼻のつくり、小さな口…、たしかに…、
めぐみさんの写真はココから
金正日、完勝!』
皆さん。こんにちは。済州島の梁 (ヤン)です。よろしくお願いします。
さて、きょうは本連載について、少し説明させていただきます。
まず、この連載は、『ビビンバ!北朝鮮!』の続編ということです。
内容的には、荒唐無稽でトンデモ、歩いても駄目、というヒトが稀にいますが、私達は自信をもって「真実です!」と言い切っています。私達の仮説が「トンデモ説」に見えても、国際政治の様々な謎が見事に説明できるからです。
たとえば…、
ブッシュ前米国大統領は、北朝鮮を名指しで「悪の枢軸」、「テロ国家」と決めつけて、
経済的、軍事的に厳しく制裁してきました。
ある時などは、「北朝鮮空爆する!」 と江沢民国家主席(当時)に申し入れました。
これは 01年10月、北朝鮮が高濃縮ウランによる核開発に着手したとの情報を入手した時で、わざわざ江主席をテキサス州のクロフォード牧場(ブッシュ前大統領の私邸)に招き、「北朝鮮問題は米国だけでなく、中国に対する脅威でもある」として、空爆
を予告し、中国の協調を求めたのでした。
また、06年に渡米した横田夫妻には、米国は北朝鮮に対して断固たる姿勢で臨む!
と固い決意を表明しました。
しかし…、
北朝鮮に対し、これほど強硬だったブッシュ前米国大統領でしたが…、
2006年10月9日の北朝鮮の核実験の後は、みるみる態度が変わり始めました。
そして、2007年に入ると…、
「核施設の無能力化を進めれば、拉致問題とは関係なく、テロ国家指定を解除する」
との立場を、なんとブッシュの方から北朝鮮に伝えるのです。
そうして2008年、ブッシュはテロ支援国家指定を解除する手続きの開始! を命令し拉致問題については引き続き解決への協力姿勢を表明したのです。
この豹変ぶりには、さすがの被害者家族も 「裏切られた」 と失望の声を挙げました。

なぜブッシュは、北朝鮮の核実験後に、これほど豹変したのか?
江沢民に予告した空爆! これを、なぜ実行できないのか?
だんとつ世界一の軍事力を誇る米国が、なぜ断固たる姿勢で臨めないのか?
米国が、本気になり総力をあげれば、北朝鮮の核施設など一瞬で壊滅するのに…。
手も足も出ないアメリカ…、こんな感じなのです。北の核実験を見てからは。

2006年の北の核実験後、ブッシュは 「とにかく核を放棄してください m(__)m 」
この一点張りです。
北朝鮮を「悪の枢軸」と罵倒した頃のブッシュとは、まるで別人です。 なにしろ…、あれほど強硬に決定した「テロ国家」の指定をコロッと解除しちゃったのですから。

北朝鮮の非核化のためには、どんな条件でものむ!
こんな情けないアメリカになってしまった経過をヒル前国務次官補が白状しました。
なぜアメリカは、こんな腰抜け国家になってしまったのか?
答えは 『ビビンバ! 北朝鮮』 に書いてあります。
ようするに、超々小型の核兵器タングステン水爆』の存在なのです。
タングステン水爆』の存在を前提とすれば…、
アメリカが「腰抜け」になった理由も、他の国際政治の謎も見事に説明できるのです。
つづく.



2010/11/30(火) 日本人は、スッこんでろ!
シャープ司令官
延坪島の現場を視察するシャープ司令官
延坪島砲撃合戦から四日目の26日、砲撃で被害を受けた延坪島を視察したのは、
ウォルター・シャープ在韓米軍司令官兼韓米連合司令官。

この視察に合わせ(米軍幹部の視察は対岸から分かる)、北朝鮮は大砲を撃った!
海を隔てていても、北朝鮮側の砲弾の炸裂音はかなり激しく響いたらしい。
現場には緊張が走り、米国視察団の一行も全員が厳しい表情になったという。

北朝鮮が激しい砲撃音を発したことの意味は…、
北朝鮮は米軍が相手でも不退転! 戦争結構!」 というサインだとの解釈が多い。
実際、北朝鮮は全土が戦争前夜! という雰囲気だそうだ。(金虎情報も)。
北朝鮮は、海外に出稼ぎに出した約2万人の国民を急遽、帰国させている。
これは、戦争を覚悟したうえでの戦争に備えた人員補充だ。
北朝鮮は本気なのだ。 (cf. THE INDEPENDENT World)

日本のメディアは…、
北朝鮮は、米国と交渉したくて、ウラン濃縮工場の公開や無謀な砲撃をした。」
といったコメントを出しているが、何の根拠があって言っているのか?
北朝鮮は、そんな駄々っ子のような甘い国ではない。
米国と交渉したかったら、いくつものルートを持っている。
平壌には、米国のエージェントや、CIA筋がウヨウヨいる。

何度でも言うが、北朝鮮は本気である。
延坪島の演習が北朝鮮を崩壊させるための上陸訓練だと、認識していた。
だから、米韓が挑発してきたのだ! と本気で思っている。
上等だ! ソッチがそーなら、コッチもやってやろーじゃねーか! と覚悟している。
だから、延坪島の軍事基地に砲弾をブチ込んだのだ。
今日現在、たった今も、北朝鮮は…、
サシでアメリカと対決しよう! 勝負をつけよう! と本気で思っている。
65年もの長い長い微温湯(ぬるまゆ)のような平和に慣れて腑抜けた日本人は…、
せいぜいがアメリカの妾(メカケ)だ。 ゴチャゴチャ言うな! スッこんでろ!!
というのが金正日のホンネだ。 おと−さん、どーする?


2010/11/30(火) 交渉したい相手がいたら、まずブン殴れ!
今晩のNHKクローズアップ現代は、『緊迫の朝鮮半島北朝鮮砲撃の波紋〜』。
NHKは、他のテレビ局と同じように、相変わらず…、
北朝鮮の過激な軍事挑発は、アメリカを交渉のテーブルに引き出すためである」
と繰り返していた。 何の根拠も、何の証拠も、なーんにも提示せずに…。
立教大学の在日教授・李鐘元センセも、漫然と同意していた。

日本のテレビ局も、在日の教授センセも、どーしてこんなに非常識なの?

「ふつう、交渉したい相手を、先ずブン殴ってから交渉する? それで交渉になる?」
「ならないに決まってるでしょ!」

「交渉したい相手がいたら、先ずブン殴れ! そうすれば、相手は交渉に出てくる!」
「バーカ。出てきっこないでしょ!」
ま、日本のテレビってのは、米国の戦争屋の広報宣伝機関だからシャアないけど。