書評

堤未果著『ルポ 貧困大国アメリカⅡ』&孫崎享著『日本人のための戦略的思考入門――日米同盟を超えて』

書評を朝ブロの方にアップしました。 この二冊は、まだの方は、ぜひお読みください。 文庫本ですから、安いです。 以下は、わたしのup紹介ツィート。 http://akitsutanka.asablo.jp/blog/ 堤未果著『ルポ 貧困大国アメリカⅡ』岩波新書、書評up こんな対米追…

『イラク 米軍脱走兵、真実の告発』ジョシュア・キー著 合同出版、2008.9.1

リバーベントという名の、バグダードに住む若い女性の日記を、TUP速報というメール・マガジンで読むようになったのはいつ頃からだったか。二〇〇七年一〇月、ついに家族でシリアへ脱出するまで、イラクの「アンネの日記」とも言われる日記は綴られた。 この…

若桑みどり著『クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国』上・下 集英社文庫 2008.3

この書は、厖大な史料を駆使した学問の書である。 イタリア・ルネサンス時代を中心とする西洋美術史を専門とし、ヴァチカンの図書館で古文書を渉猟することのできる語学力をもつ著者が、そこに豊富に残された天正少年使節の史料を読み込んだものというだけで…

国に棄てられた兵士たち・・・奥村和一・酒井誠著『わたしは『蟻の兵隊』だった』岩波ジュニア文庫

この夏(注・2006年)、東京では、七月末に封切られたドキュメンタリー映画『蟻の兵隊』がしずかなロングランを続けている。中国山西省残留問題に関わる裁判で、最高裁に上告した最後の控訴人五人のうちの一人、今年八十二歳になる元残留兵奥村和一さんを追…

戦争の愉楽・・・井上俊夫著『初めて人を殺す 老日本兵の戦争論』(岩波文庫)

戦争の悲惨さについては、しばしば聞かされてきた。わたしたちは映像や活字やさまざまなかたちで見、聞き、このような戦争を再び繰り返してはならないと知っている。だが、これらはすべて、被害者の視点からする反戦平和の弁ではなかったか。 戦争には、じつ…

坂口弘歌集『常しへの道』角川書店、2007.11

朝日歌壇に、かの連合赤軍あさま山荘事件の坂口弘が投稿していると聞いたことがあった。歌稿集が出たという話も聞いたが、読みたいとは思わなかった。○○の、と銘打った歌集は、ほぼ例外なく冠の部分がものを言うのであって、歌を読ませるものではないからで…

班忠義著『ガイサンシーとその姉妹たち』梨の木舎、2006.9

この二月半ば、「ガイサンシーとその姉妹たち」という映画の上映会があった。班忠義監督に元日本兵と熊谷博子監督をまじえたシンポジウムもあるというので、雨の中を出かけた。本書は、その会場の前に積み上げて販売されていた。 映画を見たのでもうじゅうぶ…

鈴木邦男著『愛国者の座標軸』作品社2007.12

「一水会」という右翼団体があって、鈴木邦男という人がいることはおぼろげながら知っていた。教育基本法改正案をめぐって「愛国心」論議かまびすしい一昨年のある日、そのインタビュー記事を見た。「宝にも凶器にも愛国心は化ける」「自民党が卑劣だと思う…